23話 イタズラ

 木の実の回収か探索か、どちらかを選べと言われたら、おそらく探索を選ぶだろう。

 探索程わくわくするものはない。


 しかし、安全面を考慮すると、適材適所というものがある。


 一応N2に相談すると、


「実の回収なんて、ミニN2達にでもやらせておけば良いさ」


 レイは私が守る、安心してくれ、とN2。

 こいつ自身、多分俺と探索に出掛けたいのだと思う。

 といっても前回は、通路に閉じ込められそうになったからな。

 自分の身は、自分で守る。

 そのスタンスでいこう、うん。


「N2が見てなくても、ミニN2達の操作は出来るのか?」


「単純作業なら、私の操作無しでも行動できるようにアップデートしておいた。視覚認知も加えたから、木の実の回収程度なら、彼らだけでも問題ないよ」


 いつの間にそんなのやってんだよ、と聞くと、左腕にチップを収納してる時の、ふと思い付いたタイミングだよ、とN2。

 新しいパーツがなくても、改善点を見付けた際は適業行っているらしい。

 もう何をされても、驚かない程度には慣れてきた。



 と、そうだ。

 探索に行く前に少し試したいことがあったんだ。


「N2、ペットボトルに貯めた雨水、持ってきてくれ」


「おーけー」


 植物の急成長の原因が何なのか突き止めるために、船内に置いてあった芋で、とある実験を試そうと考えた。


 まず船外へ持ち出し、日光を浴びせる。

 変化無し。


 次に、持参した水をかける。

 変化無し。


 そしてペットボトルに貯めた雨水をかける。

 変化無し……。


 あれー、マジか。

 てっきり雨水で急成長するもんだと思ってたのに。


 土も外に発現した植物と、同じものを使ってるしな。

 芋は雨が降る前から土に埋まっていたし、他の植物とは違うのか?


 のっけからうまくいかないか……。

 想像以上に、この星の常識に慣れるのは難しそうだな……。


 芋のことは一旦忘れ、船内に戻しておく。



 さて、ミニN2達はどんな感じかな?


 ミニN2達が、実を回収しやすいように、回収用の皿を地面に置いておいた。

 5体のミニN2達は、試行錯誤しながら木の実を集めているようだ。


 初めは各々が植物の茎を上っていき、実をもぎ取る。

 そして地表に降りて、もぎ取った実を皿に置き、再び茎を上っていく。

 それを数回繰り返した後、なにやら一ヶ所に集合したミニN2達は、今度は全員で一本の植物に向かっていった。


 2体が茎を上っていき、3体は下で待機。

 上の2体が実をもぎ取り、その実を下へ投げていく。

 が、うまくキャッチ出来ず、砂まみれになる木の実。

 その木の実を、何事もなかったかのように皿に入れていく。


 あぁーあぁー、大丈夫かこれ……。

 まぁ後で洗えばいいか……。


 砂にまみれた木の実を、てくてくと運ぶミニN2。

 それを眺める不気味な影……。


 そう、N2だ。


 どこかで拾ってきた枝を、両手がふさがれ、足下が覚束無いミニN2達の道上に、置いた。


 コケるミニN2。

 更に砂にまみれる木の実。

 それを見て、あははと笑うN2。

 そして怒る俺。


「やめろよ、一生懸命運んでるんだぞ?」


「あはは、でも、レイ、これ、毒あるやつ、ふふっ」


「だから、そういうのは先に言えって言ってるだろ!!」


 さすがにこれには釣られて笑った。

 どっか抜けてんだよなー、マジで。


 もういいや、探索行こう、探索。

 念のためシェルターはロックし、黒い生命体と遭遇した通路とは逆方向へ進むことにした。

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