14話 スナック

 芋からは2センチ程の芽が出ていた。

 芋が成長するかどうかのテストを、穴に行く前に設置したケースで、水ありと水なしの2パターン試していたが、その両方のケースの芋から芽が出ている。

 水ありの方の芋の方が、若干芽が大きく成長している。

 成長具合からして、水ありの方が成長するには良い状態なのだろう。


 とまぁ冷静に分析してはいるが、通常であるならば、この芋の成長速度はおかしいと捉えるべきだ。

 土に植えてから2時間足らずで芽が出た。

 この星の芋の成長速度は、これが普通なのか、土の中から掘り起こした刺激による成長なのかは定かでないが、俺の知っている芋の成長速度ではない。


 考えられる別の原因が、先ほど感じた「星の変化」だ。

 きっかけは、N2が見つけた光るコケ。


 確証はないが、何もなかった土地から突然コケが生えていた。

 ひょっとすると何もなかったわけではなく、元々コケが繁殖するための菌がそこにあったのかもしれない。

 しかし、何らかのトリガーで繁殖のスイッチが押され、先程の光景が実現した。

 コケが生えたことは事実だ。


 俺達のした行動の何かが、植物に影響を与えた。

 そう考え、急いで宇宙船の芋を確認しに来たのだ。

 結果は的中。

 案の定芋は、発芽するという形で成長を示していた。


「レイ! イモが! イモが……! なんで、どうして?」


「生きてるって言ったろ? 仲間を増やすために成長しようとしてるんだよ。芽を出し、根を張り、葉を付けて、やがて分身を作る。そうやって仲間を増やしていくんだ」


 はぉー、と声にならない関心を示し、N2は芋の芽に優しく触れた。


「何かいいことがあったのかな?」


「はは、いいことか。そうかもしれないな」


 実際はこの星が変化したから、であると思うのだが、これといった確証はない。

 俺達が回収した芋以外も芽が出てるのか?


「N2、トンネルを掘ったときに見つけた芋、あれどこやった?」


「えーと、逃げちゃった。私が必死にトンネルを掘っている隙に、いなくなっていた……よ」


 こいつ、俺に食われまいと埋め直しやがったな?

 まぁ、また見つけたときに確認すればいいか。

 コケ以外の植物の発生があるか気になるし、いずれにせよ探索は必要だな。


 芋の話ばかりで流石に空腹の限界だ……。

 残り3袋のスナック菓子を食べるぞ。

 このスナック菓子もとい、製品名「お芋揚げちゃいました」は、他社とは一風変わった味を提供することで、ニッチなニーズを相手にしてきた製品だ。

 3袋のうち、味はすべてバラバラだが、今回はこのパインソーダ味を食す。


 芋を眺めるN2を横目に、椅子に腰かけ包装袋を破る。

 ん~、この鼻をかすめるフルーティーな香り、たまらんな。(※ポテチです)

 改めて頭のおかしい社員がいたもんだと思う。


 空腹という最高のスパイスさえ無下にする味に、顔を引きつらせていると、何それ何してるの、といった表情を浮かべながらN2がこちらを見ていることに気付いた。


「食うか?」


「くう?」


 比較的小さなひと切れを、N2に手渡す。

 手渡されたそれと、俺の顔を交互に眺め、首を傾げて見せる。

 ふふ、困ってる困ってる。


 見本というわけではないが、引き続きパインソーダの味がするチップスを口に頬張ると、N2も真似して頬張る仕草を見せるが、当然口がないので無残にも小さなチップスはさらに細かくなった。


「あーぁ。そいつぁあそこに植えてある芋の仲間だったんだぜN2。かわいそうになぁ、そんなになっちまって、N2にそんなにされちまって」


 うぅ、と小さく呻いた後、N2は細かくなったチップスを拾い上げ、芋の植えてあるケースに入れた。

 ひとしきり入れ終えた後、腕に付いた油を不快に思ったのか、両手を土に突っ込む。

 手を引き抜くと、油でまみれた手に更に土が付き、助けてという目線を送ってきた。

 なにやってんだあいつ。

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