最後の三分・読んだら死ぬで 第二章

京丁椎

『読むな』って何でやねん(笑)


『 この文章を読むのを我慢すれば、あなたはシャングリラという名の桃源郷ユートピアへ行ける。我慢する時間は三分間だ。たった三分間、この続きを読まなければそれでいい。とにかく三分間我慢しろ。たった三分ぐらい我慢出来るやろ。三分言うたらカップヌードルにお湯を注いで食べごろになるのが三分や。そのぐらい我慢出来るやろ。言っとくけど最後まで読んだらアンタの人生がどうなるか分からんで。























 おい、何スクロールさせてるねん。最後まで読んでしもたらえらい目に会うんやでぇ。アンタ、命は惜しくないんか? 何が起こるかはワシも知らんで、ええか、三分や、えっと、今からやと二分半チョイやな。ええか、最後まで読まんかったらエエからな、最後まで読んだらアカンけど、途中で読むのを止めたらおっちゃん許したるしな、な? 君は何歳や? ああ、まだ若いやないか。おっちゃんみたいになる前に深く考えて物事を進めて欲しい。ほな、サイナラ。
























 だから、三分間だけ我慢せいて言うてるやんけ。な、何でアカン言うてるのにスクロールさせてるんやって、三分間我慢せんかったら大変な事になるんやからな!





 とにかく、おっさんの願いは君が人生の最期の時に「楽しい人生だった……」って安らかに眠る事なんやから、な、な、なっ! まだあと二分以上あるやないか、こんなカクヨムのランキングに載らん駄文を呼んで人生終わらせとうないやろ、人生の最後の三分がこんな駄文を呼んで終わりましたなんてなったら、あの世でジャイア〇ト馬場に馬場チョップされるで。下手したら十六文キックどころか三十二文ロケットランチャーを喰らうで、ええな、もう二分を切ったから、我慢してスクロールを止めるか、ブラウザの戻るをクリックして引き返せ! なっ! 頼むでっ!



























 オイこら……オッサンの忠告を聞かんとスクロールしてからにホンマにもうっ! 激オコプンプン丸だゾッ☆! ……それでもまだ読むかこの野郎。え? 「私は女の子」ってか? インターネットは顔が見えんから注意せんとな。……じゃなくって、読んだらアカン言うてるねん。読んでも良いけどな、これだけは、これだけは守ってほしい。最後まで読んだらアカンで! エエな!



























 あのなぁ、おっさんの事をホンマに舐めてるやろ……ん? 『馬場チョップされたい』やて? アカンって! だ~か~ら~もうちょっとだけ我慢したらええやないか、っていうか、アンタ、ジャイアント〇場を知ってるんか? え? 『ゆっくり動く大きい爺さん』だって? ふざけるな! あの世へ行ったらバリバリに動ける状態なんやぞ! え?「プロレスファンです」やと! 動画で我慢しなさいっ!





 だからあと少し。もう一分半くらい我慢したらええから! 最後まで読まんかったら柔らかな布団で眠れるし、温かい食事も提供されるから! じゃあそう言う事で、もうちょっと我慢なっ!




















 読むんかい、おいっ!



















 ほら見てみぃ! オッサンの睨んだ通りや! まだ読んでるやんけっ! 最近の若もんは言うても解らんのか? 最後まで読んだらアウトやで! 頼むこらここでやめて! ななななな! なって! 頼んだで!





























 よ~し、解った。これだけ頼んでも最後まで読むつもりやったら言うとくわ、三分経った時に読んでたらアンタ死ぬで。三分未満でも最後まで読んだら呪われるで。おっちゃんはな、死神なんや。カクヨムのプログラムに隠れて人の命を奪う死神なんや。悪いけどアンタの幸せを奪う、そして命を戴く……と言いたいところなんやけど、ここまで付き合うてもろたら無理やわ。そこまで非情になれんわ。ゴ〇ゴやったら撃つとこやで。もうすぐ三分やなぁ……でも最後まで読んだらアンタの命は無いし、どうしようなぁ……よし、じゃあ今回だけやで。今回は許すから、次はアカンで、エエな。






―――――最後の三分・読んだら死ぬで 第一章・完―――――





 第二章へ続く。』


 カクヨム三周年のイベントを見た僕は思わず「何だこりゃ」と言ってしまった。 

 誰もが評価の☆なり応援の♡を一つでも多く得ようとしている中に見つけたこの作品。最後まで読んでみたが何も起こらない。


「まぁ頭がおかしい作者なんだろう、バカじゃねぇ?」


 そう思いつつお情けで星一つと数文字の応援コメントを入れ、ついでにそいつのページを見たら『最後の三分・読んだら死ぬで 第二章』とあった。


「な~んだ、二章なら別小説にするんじゃねぇや。まぁついでに読んでやるか」


 キャッチコピーは相変わらず『読むな』(笑) 応援するふりしてアンチレビューを入れてやろう。某巨大掲示板に晒してやろう。


「え?」


 そんな事を思いながらページを開いた瞬間、目の前が真っ暗になった。


「だから、読むなって言うたやんけ……」


 大鎌を持った髑髏が哀しそうにしている。


 開いたページに在ったのは一行のみ。


『-最後の三分・読んだら死ぬで 第二章・完-』


 死神だ。漫画やインターネットの画像で出てくるベタな死神だ。ページを開いた途端にたった一行の第二章は終わった。そして、一瞬で読み終えた僕は死んだ。


「おっちゃんの言う事を聞かんとカクヨムのランキングにも載らんしょーもない文を読んで死ぬって、アホか! さんざん読むなって言うたやんけ! だいたい最近の若者はホンマに人の言う事を聞きよらん。そもそもアカン言うてるのに『二章は?』とか『続きが気になります』と違うっちゅーねん。ええか……」


 最後の三分間、死神のオッサンに説教をされてから、僕はこの世を去った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最後の三分・読んだら死ぬで 第二章 京丁椎 @kogannokaze1976

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ