第六話 日記帳のお話といえば、やはりこの展開なの。
「あの……
と、リンダさんの
「な、何でしょう?」
と、リンダさんに少しばかりの恐怖を
――これこそ本当に『
だからこそ、ホッとした。
これからはミステリーを意識することなく、
第五話で試した通り、西暦と月日を入れることによって、
『時間軸の入り乱れ!』を解消することができると思えた。
『わたしは、これからも読み続けて、
語り続けるから、
で、本題に移るとするが、
前作の『旧校舎の魔法少女』をモチーフとした四季の日記帳は通り過ぎ、その先にある新たな日記帳が二冊目を迎えるに至った。まあまあまあまあ、ややこしいようだが、累計するならば六冊目だ。前作とは、もう目的が異なったものになっている。
つまり、日記帳に綴られている『現代』も、
二〇一六年の『遠い未来』のこの場所に
日記帳の持ち主は、わたしなのだから。それまでの
それがまた、
今この風景の中にいるリンダさんの願いなのだ。
その依頼に対して料金を
ここでは無償の愛。
小さい頃に憧れた『正義の味方の理念』が、まかり通っても良いと思う。
……つまりこの物語の世界は、親から子へと、
『これからの子に未来を
――右の条々(webなら上)を踏まえつつ、一旦停止を
それにしても眼鏡の奥から刃のような視線。
同じ丸い眼鏡でも、日記帳に描かれている『
『ああっ、このままでは、
リンダさんが、とても怖い人になってしまうよお』
そう胸中で叫びながらも、空気の変化もなく普通にお話は続くのだ。
まずはリンダさんからだ。
「何と言いますか、その、あくまでわたしの中の問題なのですが、瑞希先生のイメージが変わったといいますか……あっ、でも、勝手にそう思っていただけかもしれませんし」
さっきまでの鋭い視線とは裏腹に、
いつものような口調だ。まあ、せっかくだから訊いてみる。
「あの、リンダさん、差し支えなければでいいのですが、わたしに
という具合に……勇気の出力を試みた割には、我ながら、か弱い口調。
ええっと、それから、
テンパった!
「瑞希先生それ、似合わないよ」
と、自身でもそう思っているだけに、きつい一言だ。
それでもあくまで無邪気な口調。それが
――今ここに三人いる。わたしは二十六歳になって海里さんも十五歳。高等部一年生になった。そんな感じで同じ二〇一六年でも、弥生から皐月へ移り変わったが、前作と
と、いうわけで、わたしは産休に入っている。
ここは公営住宅の四棟、三〇三号室。とうとう日記帳の瑞希ちゃんと、同じお家になってしまった。そしてここは、わたしのお部屋だ。このように時間軸が変動しても、ぬいぐるみのパンダさんは、何も変わらずパパのように、わたしを見守ってきた。
そんな中、出会いはロングだったけど、
すっかりミディアムボブに定着した海里さんを見て、
「多分、この子の言った通りだと思います。やんちゃと言いますか、瑞希先生には何かこう力強いイメージがありましたけど、……ごく普通の女の子だったのですね」
と、リンダさんの言う通り
「がっかりしました?」
と、我ながら思わぬ台詞。ピッタリ過ぎるタイミングで
その時だ。
パッと明るく、
「ううん、そんな瑞希先生で安心したよ」
と、海里さんは言った。
「子供は素直ですね。……瑞希先生のことを、よく見ていると思いますよ」
シンクロ、心重なった。
リンダさんは、海里さんの言葉を待っていたようだ。
おっとり系の優しそうな趣の人。それがいつもの姿。
――でも、本当は恐ろしい人だと思う。幾つも引き出しがありそうで、何処までわたしのことを見て知っているのだろう? ……全くもって、想像不可だ。
本当に、読めない人だ。
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