第2話 帰ってきちゃった
「それでよ兄貴、これが本当に低レベルすぎてさ」
「あぁ…」
コンビニで買ったアイスを片手に少し雲が多い黄昏時の道を弟と二人歩く。
「全くロクに知識も実力もねーのにでけー顔すんなっつーの。
不愉快で不愉快でしかたがねー」
「…ん?」
弟の話に耳を傾ける僕の目に不思議なものが映った。
家の前に知らない女子がいる。
「なんだよ兄貴?…あん?誰だありゃ?兄貴の知り合いか?」
「いや…?」
身に着けている制服に覚えがないので少なくとも同じ学校の生徒ではない。
その時点で知り合いには程遠かった。
「…おい!誰だあんた!?」
理久が大きな声で見知らぬ女子に話しかける。
「…え?あっ!快人!理久!久しぶり!」
「…あん?誰だお前?」
「…もしかして、優姫?」
僕は記憶の中の印象とは大きく異なる目の前の女子に対してその名前を口にした。
随分昔にさよならした、幼馴染の女の子の名前を。
「覚えていてくれたの!?嬉しいな~。さすが快人!
それに比べて理久はひどいね!忘れちゃったの?」
「あぁ?優姫って…あの優姫か!?」
「そうだよ~、君たちと昔遊んだ、その優姫ちゃんだよ~」
「いやだって、お前、えぇ!?昔と全然違うじゃねーか!」
理久が驚くのも無理はない。
僕たちが知っている天見優姫という幼馴染の女の子は、少なくともこんなに明るいキャラじゃなかった。
「えへへ…うん。帰ってきちゃった。快人、理久。ただいま」
まだ新学期が始まって間もない夕暮れ時のとある日に。
僕たちは過去の思い出と似ても似つかない幼馴染との再会をするのだった――
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