朝鮮ラストプリンセス

 明治時代というのは、日本が、欧州の真似をしまくったばっかりに、民主主義が退化した時代だった。

 華族制度なる階級制度を設け、それまで、役割分担でしかなかった士農工商の士の部分を本当に、欧州の貴族制度と同じにしたため、日本の長年に渡って続いていた天皇が民衆の後見人だったという民主主義を潰してしまった。差別よりひどい階級制度を国に導入してしまった為、男尊女卑も起きてしまった。民主主義の観点からいうと、太平洋戦争に負けて良かった。日本は、華族制度をやめ、階級制度を廃止した。天皇は国の象徴となり、かろうじて天皇制による民主主義が残された。こうして、また、身分制度の殆どない平和な日本がやって来た。


 この激動の時代、日本は、天皇制と天皇家は、何としても維持したが、併合国だった朝鮮の王室、当時の皇室には、とても冷淡だった。大東亜と銘打った太平洋戦争に敗戦した日本は、皇室にした李王朝の皇太子家族と姫の国籍を剥奪。同じく、帰れるはずの祖国は、米国傀儡の為政者、初代大統領の李承晩が、自分の地位が危うくなるからと、朝鮮の王の帰還を拒否。当時、韓国の王室に返り咲けるはずだった李垠、妃の李方子、ラストプリンセスだった徳恵翁主は、韓国の国籍も失った。


 ラストプリンセスの徳恵は、李氏朝鮮国王・大韓帝国皇帝高宗の王女。高宗の側室が生んだ。高宗が、高齢になって生まれた姫だ。日韓併合は、1910年。徳恵翁主は、1912年生まれ。併合されてから生まれたお子だった。


 幼少期は、蝶よ花よと育てられ、幼稚園までは、高宗が徳寿宮内の即祚堂に設けた幼稚園で学んだ。しかし、1921年からは、日本語学校に入れられ、日本語の授業を受けさせられる。それでも、12歳の内地に渡るまでは、作詞の才能を認められ、2曲、曲を付けてもらい「童謡の姫君様」と讃えられた。当時の写真を見ても本当に可愛く、才能にあふれた姫君だった。


 この後12歳で日本に強制的に連れてこられ、ホームシックにかかったにもかかわらず、帰国を許されず、精神疾患になっても帰国を許されなかった。この時、義姉の、李方子(李垠に嫁いだ日本の皇族)は、皇室は、無理やり、日本人の血を朝鮮の皇室に入れようとしていると憤っている。

 徳恵翁主の兄夫婦の住まいは、旧赤坂プリンスの建物。義妹の徳恵翁主も、日本に来てから、彼らと共に住んでいた。 

 この後、病は進むが、一時小康状態となったときに、結婚させられ、その後、いろいろあって離婚させられ、李承晩が、韓国で酷いことをやらかし過ぎて、1956年にアメリカに亡命。次の政権、朴正煕の時代に帰国できるようになる。もう、その時は、才気あふれる姫の面影はなく虚ろな目をしていた。



 この話、むかし新羅が、百済を打ち破って、日本から独立する前の新羅(韓国の慶尚道=キョンサンド)の王室の状態と良く似ていると思った。西暦600年代の話だが、この時の日本の皇室がやっていることは、当時と全く変わっていないじゃないかと思う。


 日本は、記紀で、日本の史実を隠してしまったため、その前の正確な歴史は辿れない。大雑把に言うと、西暦300年の卑弥呼がいた時代まで、韓国は、百済、新羅、伽那の3つに分かれていた。この後、日本は、大和朝廷ができる。大和朝廷ができた後、大和朝廷は、韓国に攻め入ったのではないだろうか。そこで、韓国は日本色に染まる。伽那は元々日本。百済は、中国と日本を繋ぐ通商的同盟国。新羅は、日本に侵略された国になった。それから暫らく、今の韓国と同じぐらいの土地は、白村江(663年)の戦い迄、日本になった。

 この時も、それらの国の王族は、日本で学ばすと称して、子女を日本へ連れてこさせていた。新羅は、自国の王子が帰国したのを狙って、百済を攻めている。そして、新羅は朝鮮半島を歴史上初めて統一した。

 ここから日本の皇室のやり方が見えてくる。自国の男系は、絶やしたくないが、支配した国の王室に、日本の皇室の血を入れたがったということだ。日本は、戦争を嫌う節があり、民に迷惑を掛けない代わりに、トップの血に関しては、えげつなかったと言うことだろう。


 華麗だった朝鮮のラストプリンセスは、日本に無理やり連れてこられた。日本は、彼女が、精神疾患を患っても帰国させなかった。敗戦して国籍も奪った。韓国の李承晩も奪ったが、朴正煕政権になって、帰国が許された。その時には、もう、廃人同様だった。徳恵は、義兄の李垠に先立つ1962年1月26日に韓国へ帰国し、ソウル大学医学部付属病院に入院した。純宗(最後の皇帝)の純貞孝皇后の没ごろから、異母兄李垠の妃だった李方子とともに昌徳宮内の楽善斎に住み、1989年4月21日に同所にて死去。長らく病に伏していたという。

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