閑話 邪魔された惨劇(???サイド)

タタンタタン……タタンタタン……


 独特な走行音を一定に刻みつつ、電車は線路をひた走る。

 その先にどんな目的地があるのかは分からないけど、ただただ淡々と……。


タタンタタン……タタンタタン……


 そんな車両の内部は無人、誰一人として乗ってはいない。

 だけど……そんな無人の車両のはずのに、内部はどんな惨劇があったのか分からない程におびただしい大量の血液で汚染されていた。

 何両編成かは定かではないけど、1両目と2両目だけ……。

 そして、『それ』は無人の三両目の客席を見て首を傾げていた。


---ナゼ?---


『それ』にとって、今の事態は非常に不可解な事だった。

 いつもであれば今日この3両目に、己の不運に怯える最高の味付けを終えた『食事』があったはずなのに……それが無い。


『それ』はいつも通り、手順通りに目を付けた『食材』に最高の味付けである『1両目』と『2両目』を施していた。

 なのに肝心の収穫の時だと言うのに、いつまでたっても3両目に現れないのだ。


---おかしい---


 それは立腹し不快な気分になる。

 そんな事は今まで無かったのに。


 今までも、忘却せずに恐怖心を残したまま目覚めた者はいた。

 その者たちは恐怖心から逃れる為に、あらゆる方法を使って『ここ』に来る事を拒もうとしたのだ。

 時には薬を使い、時には自身に苦痛を与えて、あるいは他者に協力を仰ぎ……。

 しかし、いつもその行為は無駄に終わる。

 人という存在である以上、生物である以上『眠り』から逃れる術は無いのだから。

 ……だと言うのに。


---不愉快---早く来い---早く寝ろ---


タタンタタン……タタンタタン……

 無人の電車の3両目、『それ』予定通りに進まない事態に苛立ち始めていた。 




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