第48話 小人
「おお! 土の剣騎士ミヤゲよ。よくぞ戻った。」
「はい。ドワーフ師匠。」
「ミヤゲ。おまえの活躍は噂で聞いているぞ。師として、私も嬉しいぞ。」
「ありがとうございます。これも師匠が私を土の剣騎士に認めてくれたからです。」
土の剣騎士ミヤゲの師匠は、小人ドワーフであった。
「師匠。邪悪なる者として甦った伝説の剣騎士デカノーホウトを倒さなくてはなりません。ですが私の土の剣騎士の鎧では、邪悪なる者たちに対抗することができません。」
「分かっている。何も言うな。そう思って、地の精霊ノームに新しい剣騎士の鎧を持って来てもらっている所だ。」
「さすが、ドワーフ師匠。ありがとうございます。」
「それ程でも。ワッハッハー!」
得意げに高笑いするドワーフ師匠。そんな師匠を本気で慕っている土の剣騎士ミヤゲ。
「助けてくれ!」
そこに傷ついた血の精霊ノームが現れる。
「ノーム!? どうした!?」
「闇の精霊ドヴェルグにやられた。地の精霊の剣騎士の鎧を持っていかれてしまった!?」
「なんだって!?」
「私の新しい剣騎士の鎧が!?」
闇の精霊のドヴェルグに、地の精霊の剣騎士の鎧を奪われたと聞いて、土の剣騎士ミヤゲとドワーフ師匠は驚いた。
「ミヤゲよ! 直ぐに闇の精霊ドヴェルグの後を追い、地の精霊の剣騎士の鎧を取り戻すのだ!」
「はい! かしこまりました!」
こうして土の剣騎士ミヤゲは、奪われた地の精霊の剣騎士の鎧を取り戻す旅に出るのであった。
「と、言っても、どうやって後を追えばいいんですか?」
「道案内は、ゴブリンがしてくれる。」
「ゴブリンです。宜しくお願い致します。」
礼儀正しい邪悪な小人ゴブリンが現れた。
「こちらこそ、よろしく。私はミヤゲだ。」
土の剣騎士ミヤゲは、ゴブリンを仲間にした。
「それでは師匠、ノームさん。行ってきます。」
「がんばれよ。ミヤゲ。」
「バイバイ。」
ミヤゲはドワーフ師匠とノームに別れを告げた。
「待ってろ! 闇の精霊ドヴェルグ! 私の地の精霊の剣騎士の鎧を取り戻すぞ! いくぞ! ゴブリンさん!」
「はい! ミヤゲさん!」
ミヤゲとゴブリンは闇の精霊ドヴェルグを追いかける旅に出た。
「ゴブリンさんは、闇の精霊ドヴェルグが、どこに逃げたか知っているの?」
「もちろんです。全国ゴブリンネットワークに尋ねてみました。」
「全国ゴブリンネットワーク!?」
説明しよう。全国ゴブリンネットワークとは、ゴブリンのための、ゴブリンによる情報のネットワーク網である。
「闇の精霊ドヴェルグがいるのは、地底100階の魔のヤブシ再開発ダンジョンです。」
「地底100階の魔のヤブシ再開発ダンジョン!?」
説明しよう。地底100階の魔のヤブシ再開発ダンジョンとは、言葉の通り、そのままである。
「なんだかよくわからないけど、行くしかない!」
「行くしかない!」
「行くしかない!」
「行くしかない!」
「行くしかない!」
「行くしかない!」
こうして「行くしかない!」を流行語大賞にするべく、奇妙に連呼する土の剣騎士ミヤゲとゴブリンの冒険は始まった。
つづく。
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