間話「ある拷問官の最期」
気を失った神官長を見下ろすナセル。
あとは……、
「後始末をしようか?」
ギロリと睨み付ける先──。
未だに神官長を拘束している拷問官が一人。
そいつは神官長を拘束することで自分は許されたと思っているんだろうか?
…………。
甘いっつの。
今まで、何人殺してきた?
今まで、何人を拷問した?
今まで、何人命乞いした?
「ツギハ、オマエダ」
「ひっ!?」
ジョバァァァ──と失禁しているが知ったことか。
両親の如く、二人はあっさり殺してやった。
リズの如く、一人はじっくり甚振ってやった。
ならお前は?
大隊長はさ……。
焼かれて死んだ────。
ならお前は?
「走れ」
「ひぃ」
は・し・れ
ゆら~りと幽鬼のごとく迫るナセルに恐れをなして、最後の拷問官が走る。
走る。
失禁し、脱糞し、
ひた走る。
どこへ?
どこどこどこどこ!?
み、味方はどこだ……?!
拷問官が見渡す先にいたのは、僅かばかりに残ったアンデッド達。
神官長の言う本物の神殿騎士団とやら。
彼らは神官長が気絶すると同時に統制を失っていた。
今では大半のものがボロボロと崩れ落ちる中、比較的新しい死体だったものは、まだウロウロと彷徨っている。
ありがたい……味方だ!!
助けてくれ!
助けてくれ!!
愚かにもそのアンデッドに助けを求める拷問官。
だが、
「うううう~……」
「ああああ~……」
「ぐるるるる……」
ガシリと捕まる拷問官。
凶暴な面をしたアンデッドどもは、餌が来たと言わんばかりに彼を引き倒すと──────。
うぎゃああああああああああ!!!!
ブチブチと引きちぎられ、食いちぎられる拷問官。
その激痛の中。
ドイツ兵達がわらわらと集まりアンデッドを仕留めていく。
その後ろから悠々とやってきたナセルは、ドイツ兵に指示を出す。
ここに残ったのが最後のアンデッド──本物の神殿騎士団のなれの果てだ。
「汚物は消毒しろ」
『
ドイツ軍工兵装備のM35火炎放射器──。
──ブォゴゴォォォォオオオオ!!!!
アンデッドどもを滅却中のドイツ軍工兵の真っただ中。
ギャアアアアアアアアアアアア!!
まとめて焼き殺されていく拷問官。
ジタバタと暴れるだけあって元気も元気。
ボロボロと燃え落ちたマスクの下の素顔は────まぁーそれはそれは醜いものだ。
それが今の火炎放射によってできた火傷なのか、元々なのかは知らない。
彼らがなぜ拷問官になったのかなど知らない。
知りたくもないし、知る気もない。
ただ知っているのは……こいつは、コイツ等はリズを甚振る時に間違いなく楽しんでいた。
職務?
聖務?
信仰?
違う……。
こいつはら最初から歪んでいやがるんだ。
「仕事の楽しみを見つけましょう」……そんなスローガンがあったな。
拷問官の楽しみは、人の痛みを楽しむこと────。
人が痛がる姿が楽しいとか、気が狂ってやがる……。
ならば、知れ。
今、知れ。
人の痛みを──今こそ、知れッッ!
今ここで初めて人の痛みを知れッッ!!
楽しいか?
嬉しいか?
気持ちいいか?
「んなわけねーーーーーだろ!!!」
死ね!
死んで詫びろ!!
殺した人々。
甚振った人々。
楽しんでバラした人々に!!
死ねぇぇぇぇ!!
ナセルの叫びのなか、拷問官が一人バチバチと燃え尽きていく……。
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