第一章Final(ちょっぴり熱い)

 ……と、ここまでが本日あった出来事でした。


 お兄様の部屋でわたくしが今日一日のことを話し終えると、お兄様は大笑いをした。

「うはは! あの千乃ちのちゃんが! 間違えられて! うんうん、かわいいじゃないか!」

「もう、お兄様! 笑いごとではありませんよ!」

 わたくしはふくれっ面をしてみせる。

「いやいや、千乃ちゃんは嬉しかったんだよ。すごくね」

「嬉しい……? 千乃は別に白木しらきを好いているわけではないのですよ」

「そうじゃなくて、うーん、璃子りこにはわからないかな。まあいいや、それで璃子は次の手をもう考えているのか?」

「ええ、もちろん。このままでは全員が不幸のまま終わってしまいますもの」

「あっはっは! 璃子らしい。いいじゃないか、このまま璃子の思うように頑張ってごらん。くぁわいい璃子だからきっとうまい一手を思いつくだろうなすりすりすりすり」


 ぎゃあ――っ! ほ、頬ずりをしないで下さいっ!!


 どん、と突き飛ばして。


 どりゃーっ、と机をひっくり返して。


 どすんむぎゅーぐえー、とお兄様を潰して差し上げた。のびているお兄様に冷ややかな視線を送りながら、わたくしは明日からの展開を考える。


 こうなれば、長期戦も辞さない覚悟で臨みましょう。祖父江そぶえの素行うんぬんはともかくとして、ハヘ子さんのゆく先は生徒会長の威信にかけて明るいものにしてあげたいし、それに、個人的にもわたくしはハヘ子さんのことをもう放っておけなくなってしまっているようですから。


 なので。ハヘ子さんと祖父江とは、もう少し長い付き合いになりそう。


 さっきお兄様にすりすりされた頬が、ちょっぴり熱い。

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