放浪の画家

作者 さい

257

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★★★ Excellent!!!

ファンタジー世界を舞台にしたミステリは商業作品においても圧倒的に数が少ない、そんな事実からも判るように、(特に中世西洋風)ファンタジーとミステリは基本的に相性が悪いものなのですが、こちらの作品はそんな杞憂を見事に払拭してくれました。
魅力的な謎とその論理的解明さえあれば、剣と魔法のファンタジー世界でも充分に面白いミステリは書けるのだということを、この上ない形で証明しています。

少々頼りない相棒のウィングはワトソン役にうってつけですが、ここでは錬金画家の一人称で話が進みます。
そんな主人公の造形がとにかくカッコいいのです。
抜群の頭のキレに軽妙な口調。
ハードボイルド要素も感じられますね。
描くことで様々なものを実体化できる画家という設定もシビれます。
黒幕と思しき〈あの男〉(この辺りも百鬼夜行シリーズの堂島静軒みたいでワクワクします!)が出てきてからは散発的だった物語にもなんとなく筋道が浮かんできて、更新は現在止まっているようですが、今後の展開も気になるところです。

抽象的なファンタジー世界に現出する、トリッキーな謎とロジカルな解決。
紛れもないミステリの一級品です。

★★★ Excellent!!!

錬金画家のドルとアヒル(もどき)のウィングの織りなす一話完結の上質なミステリー。特筆すべきは、物事の顛末が明らかになった時の爽快感! これが素晴らしく気持ちいい!
それから、ドルとウィングの軽妙な会話も忘れてはいけない。あなたも言葉遊びと会話のリズムの虜になることだろう。
この小説には、『気持ちいい!』が詰まっている。
小さな物語の積み重なりから覗き見えるのは、ドルを追いかけてくる『過去』だ。
追ってくる『あの人』は誰なのか? 『あの国』とは?
そういった疑問に、過去に読んできた物語が答えた瞬間といったら!
ぜひ、みなさんも堪能してほしい。

★★★ Excellent!!!

現実の画家たちが、もし錬金画家だったら、と妄想するのは楽しい。

伊藤若冲の描く鶏は気性が荒いだろうなぁとか、ゴッホの糸杉とか、エル・グレコの天使とか。それぞれに、どんなだろうと数々の妄想が膨らむ。

描かれたものが実体化するようになったら、楽しく、そして迷惑だ。

それでもすべての画家は錬金画家であるべきだ。平面という桎梏を超えて質量とボリュームを望まない絵があるだろうか(抽象画や写真がこの世界にあるのかは知らない)。

漫画やアニメがあれほど実写化され、フィギュア化されるのはそういうわけだろう。

そう、この物語は描出された絵を実体化できる画家の物語だ。そんな画家がかつて絵であった相棒ウィングと放浪するのだから面白くないわけがない。

さて、本作には、謎がちりばめられている。主人公も謎だらけだ。

命からがらのハードな冒険もあれば、のどかな道行きもある。それでも必ず作者はこの物語に謎を用意してくれる。世慣れた画家ドルはいつも読者やウィングより一枚上手で物事の裏側を見透かしている。

ミステリーには明るくないけれど、こういった場合、探偵よりも助手の一人称を採る一般的ではないだろうか。しかし、この小説の場合謎を解くドルの一人称である。

謎の答えが閃いても、ドルは寡黙にやり過ごすことが多い。洞察をすぐさま地の文の書き連ねてしまっては謎にならないからだ。

答え合わせはウィングとのやり取りで行われる。この容易に感情移入させてくれない一人称が、欠点とならず、この作品においては魅力的な距離感となっている。

作中の謎よりも、そのあたりの小説としての謎に僕は興味がある。

同音異義語を使った言葉遊びも作者の嗜好に留まらない秘密があるような気もするが気のせいだろうか。

「あれが成立するってことは、ドルたちが話しているのは日本語なのだろうか?」とややこしいことを考えるのもまた悪くな… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ファンタジー世界を舞台とした(私たちにとっては非日常の)〝日常の謎解き〟といった趣の作品。主人公はその気になれば戦闘もこなせそうな〈錬金画家〉だけど、彼の最大の武器はその頭脳。掴み所のない悪意を看破し、したたかにかわす姿には私たちが生きる現実の世界でも通用するカッコよさがある。チョコボを連想させる相棒との掛け合いも読んでて楽しい。おすすめです!

★★★ Excellent!!!

まだ読み途中なのですが、素敵な世界に浸れている興奮を先にレビューにさせて頂きます。
錬金画家という不思議な画家と、まさかのアヒルの冒険ファンタジー。ファンタジーとミステリーをうまく絡ませ、一人と一羽の巧みな掛け合いに読んでいて笑いが零れたり、大変驚かされたり、時にはひやりとして恐ろしくもなります。読者を考えさせる作品で、『読む』だけの楽しさとはまた別の『考える』興奮と面白さに出会えるお話です。なにより主人公の相棒であるアヒルがとても良い味を出していて、最高に好きです。
主に連作短編のような形式なのでミステリーとは言え大変に読みやすく、ファンタジー要素もあるためミステリーが苦手な方も手を出しやすい作品だと思います。どのお話から読んでも楽しめます。
情景描写や人々とのやり取りも素敵で、不思議な画家とアヒルの旅を見たい方にもおすすめです。

★★★ Excellent!!!

描いた絵を具現化する能力を持つ画家と、愛くるしい相棒との旅物語。しかし、ただの旅ではなく、行く先々で遭遇する事件や出来事の謎を解いていくというもの。基本的に連作短篇のような形なので、どの話から読んでも楽しめると思います。
謎解きもあれば、相棒との笑えるような掛け合いもあり、アクションもある。淡々とした調子で進んでいくものの、結構すごいことになってる。それがまた面白い。
ファンタジー好きだけでなく、ミステリー好き、まったりとした旅物語好きな方でも楽しめる作品だと思います。

★★★ Excellent!!!

作者様は読者に対して、大変気を遣っている方。
話によっては、長くなる物もあれば、あらすじにある通り、基本的に一話、一話の構成。文章を見ても、伝わりやすさと見やすさに気を遣っている。
ミステリーの難度は丁度良く、幅広い読者が楽しめるように考えられている。
個人的に、作者様の姿勢には感銘を受けているほど。

話は、旅をしながら、行く先々で起こる問題を解決していく、と言った感じ。
推理物の話かと思いきや、アクションまであり、まさに冒険。
分かりやすいイメージとしては、『ホームズ』だろうか。
コンビも癖があって、個性が強い。
錬金画家という、特殊な力を持つ主人公ドルの活躍ぶりは、読んでいて惚れ惚れした。
絵を描いたら、具現化するのだから、画家にスポット当てた設定が活きているので、素直に驚いた。
個人的には、コンビのやり取りでの際、アヒルもどきの反応がツボなので、読み進めている内に、いつの間にか気に入ってしまった。(笑)

ともあれ、読んで、想像するのは、他の小説でも共通するかもしれないが。
加えて、本作には『考える楽しみ』がある。

ミステリーというジャンルの持ち味を遺憾なく発揮しているため。
少しでも興味が湧いた方には、是非とも作品に目を通していただきたい。
この作品の楽しさに少しでも気づけたら、きっと病みつきになるのは、間違いないだろう。

★★★ Excellent!!!

描いた絵を具現化する能力を持った錬金画家と彼の相棒であるアヒル君の掛け合いが楽しい冒険ファンタジーです。
この冒険というのがくせもので、単にモンスター退治ではなく謎解きや旅、探検といった内容がメインとなっています。彼等は冒険者というより傭兵やトレジャーハンターと表現した方が合っているかもしれません。
基本一話完結型でどこからでも気軽に読める点も素晴らしい。

そう、わざわざモンスターの巣に飛び込まずとも、この世界には厄介な犯罪者やそいつらが仕掛けた危険な罠に満ちているのです。道端の何気ない立て看板、親切に泊めてくれた隠者、簡単に解けそうな遺跡の罠。そこには思わぬ悪意が込められているかも……?
鋭い観察眼で秘められた悪意と謎を解き明かし、今日をどうにか生き延びろ!
 
臆病とはすなわち用心深さに他ならず、それを欠いた者が生き延びられるほど世の中は甘くないのでした。そんなシビアな世界で画家でもある主人公は何を思うのでしょう?
どうやら浪漫と芸術を愛する気持ちを捨ててしまったわけでもなさそうです。
ミステリーや意外性、どんでん返しが大好きな「ひねくれ者」の貴方へ、おススメです!

★★★ Excellent!!!

絵を描き直せば新しい発想が生まれるだろう。それは無限の白。
テンポはややスローな印象。二人の機知に富んだやり取りに思わず笑みがこぼれた。
伏線はどの話にも敷かれており、これほどの伏線回収はなかなか出来ない。一話毎に異なる楽しみがある。
僕も具現化物を書いたことがあります。しかし、あまり上手くいきませんでした。そういう意味では凄いなと思った。

★★★ Excellent!!!

ミステリーでありながら、ファンタジーな冒険。
ファンタジーな冒険でありながら、ミステリー。
不思議な組み合わせで、最後のどんでん返し。
恐らく読者は、想像がつかない結末でしょう。
一つ、言える事は、この作者だからこそ、二つの要素がベストマッチなのでしょう!

★★★ Excellent!!!

ミステリーと思って敬遠するなかれ。作者は優しいので、重要な部分には傍点が引かれており、私みたいなミステリー音痴でも謎がわかるようになってます。
謎がわかると爽快感があってなかなかにミステリーは面白いですね。
そしてこの作品は「なるほどードルさんすげーっす」ってなるように書かれているので爽快感2割増しです。大体が1話完結式なのでお暇な時に1話ずつ、いかがでしょうか。

★★★ Excellent!!!

 主人公はアヒルと共に放浪する錬金画家。錬金画家は絵に描いた物を実体化できる。その中でも至高の作品は、普通の絵とは違い、水にも火にも強い。アヒルも誰かの至高だったらしいのだが――。
 放浪する画家は、各地を巡り、その土地で起こった謎を解いていく。その謎解きは本格的ミステリーだ。物質的なトリックあり、論述トリックあり。主人公の頭脳にかかれば、どんな謎もたちまち解けてしまう。しかし主人公はその謎の答えを、心に秘めたまま旅立つのだった。何故なら彼の行動原理は正義感ではなく、好奇心だからだ。それに、謎の答えが常に人々を幸せにするとも限らないのだから。
 錬金画家は土地によって待遇が二つに分かれる。忌避される所と、利用される所だ。主人公の出身地は、後者のようだ。出身地から旅に出た主人公とアヒルのバディは、悠々自適に見える。しかしそんな「二人」に纏わりつき、不穏を運ぶ影が迫りくる。短編ミステリー集で、一話完結でありながら、常に「二人」に対する謎が追走しているという仕組みの作品。
 困ったことに、特に推薦する短編は見つからなかった。何故なら、どの話も秀逸で見事なトリックがあり、伏線があり、どれも推薦したい一話ばかりだったからだ。そして、短編でありながら絶妙につながっている壮大な物語だからだ。
 
 この作品に出会えて良かったです。作者様に感謝です。

 是非、是非、御一読下さい!

★★★ Excellent!!!

錬金画家とその相棒が織りなす異世界ファンタジーストーリー。
キノの旅を思わせるような構成で、基本的に一話完結なのでとても読みやすい。
また、主人公と相棒の会話もシャレが効いていて、読んでいてとても楽しかったです。
素敵な物語なので、ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

 この物語は冒険と言うより旅行記と言った方が良い。
 錬金画家のドルと奇妙な鳥ウイングの珍道中。大それた目的などないぶらり旅。
 魔族と戦って世界を救うとか、戦乱の世界を統一するとか、そ~んなお題目に胸焼けした貴方、本作でまったりと一人と一羽の旅を楽しみましょう。

★★ Very Good!!

錬金画家という独自の職業にスポットを当てた「そうぞう」の豊かな作品。
比重が錬金――科学の祖たる故か技術寄りっぽいのも雰囲気が素敵。
流浪の画家は人に踏み込んだり踏み込まなかったり。
ドライであるようで、何か思うところもあったり。
理解者が『相棒』だけと見えつつも、それにも少し影があったり。
パーソナルなところが見え隠れしたりと。
どことなくその『つかみどころのなさ』を空気感で感じ取れるような。
芯はあるけど、底が知れない井戸を除くような妖しさを秘めています。

★★★ Excellent!!!

錬金画家、描いたものを具現化する力をもつ画家のこと。主人公のドルはそんな力を持っていて相棒のウィングと旅をしている。二人の何気ない会話を聞きながら一緒に旅をしているような感覚で読める。

知的でありながらくど過ぎない文面が読みやすく、ついつい没入していますね。
彼らと共に、アテもない旅路を歩んでみるのもいいかなと、レビューさせていただきました!^_^

★★★ Excellent!!!

ファンタジーの話としても面白いです。キャラクター造形とか世界観とか上手ですし。

でも、時々、変化球で読者の思惑を外してきます。
何にも事件が起きず、主人公が想像するだけの回もありますしね。

うーん、と首をひねってやっとさっき気づきました。

ああ、これ。ミステリーなんだ、と。

両属性持ちの方へ。お勧めです。

★★★ Excellent!!!

読んでるとクセになりますねこれ。

主人公のドルと創作アヒルのウィングが出て来るんですけど、二人の掛け合いが段々と中毒のように効いてきて読み進むにつれ、「次の話は? 次の話は?」ってなります。

ていうのは話の構成にあると思うんですけど、毎度変わらない二人の設定とその時々で出会う異なる特色を持った街の人々の掛けあい、分かりやすい構図なのだけど飽きずに延々と読めます。教訓めいたお話ばかりなので「ほお、そうかあ! 今度はそう来るかあ!」と感心しっぱなしでした。

どうやって考えてるんでしょう、気になります。

★★★ Excellent!!!

頭の切れる錬金画家のドル。
なぜか喋る鳥のウィング。

そんなひとりと一羽の珍道中です。

世界観が丁寧に造りこまれており、また話によっては小さな謎ときもあったりして楽しめます。

基本的に一話完結型で気軽に読めるのでオススメです。
私は異世界転生ものやハーレムものはほとんど読まないので、こういう良質なファンタジーがもっと増えてほしいなぁ…と思った次第であります。