第2話 フリーライター 筧民世

勇者 筧民世

ステイタス

 鬱 -40

 妄想 20

 散漫 - 50

 記憶 20

 狂 30

戦績 革命のリーダーとして領主をギロチンにかけた


――リーダーとなって革命を起こしたとか。

 そうだよ。けど、嫌んなったよ。心底うんざりだ。奴隷根性が染みついててどうしようもねえやつらさ。

――なにがあったのですか。

 なにがあったも、なかったもねえんだ。重税で苦しんでるっていうのが話の始まりだ。

――そこからですか。

 あったりめえだろ、フリーのライターなめんな。

 召喚されてきてみりゃ、モンスターなんかいやしねえ。勇者気取ったところで、ただ飯食らいのロクデナシ扱いだ。領主のやつが重税課していて俺を食わすのも苦しいって泣きついてきやがるから、世の中の仕組みってやつを滔々と話して聞かせたわけさ。民主主義入門だな。

――はあ。

 生返事してもダメだぞ。話し始めたからには最後までキッチリ聞いてもらうからな。

 税率だってみんなで決めていいんだぜ、集めた税の使い道をみんなで決めていいんだぜって言ったときには、驚いてたな。見込みがあるじゃねえかと思ったんだ、そんときは。

 で、座学をやりながら、革命の準備だ。コーヒーショップでな。そこは歴史にのっとったわけだ。

 俺も気分が乗ってきたもんだから、いろいろ作戦を授けてだな、領主の首をギロチンにかけろっつってハッパかけたんだ。ぽかんとしてたな。そんなこと考えてもみなかったらしい。おいおい、お前らなんの作戦練ってたんだっつって。いよいよ覚悟が決まったって感じだったな。いいツラ構えになったと思ったんだけどな。

 いや、うまくいったんだ。革命な。ギロチンスパーンて、気持ちよかったなあれは。首のねえ人間の体ってのは間抜けなもんだった。不謹慎だけど、笑えたな。

 頭に袋かぶって、両手であたりをさぐってるの想像してみろ、笑えるだろ。同じようなもんだ。袋かぶるどころか頭がそっくりなくなってる。で、両脇から腕を抱えられて見世物台から降ろされる。な?笑えるだろ。

――それで、なにが問題だったんですか。

 領主がいなくなったら、急におろおろしだしたんだ。なにをどうしたらいいかわからない、勇者さまどうしたらいいんですかときたもんだ。あんだけ教えたのにな。みんなで決めればいいんだって言ってやっても、誰もなにも言わねえ。つくづく奴隷根性が染みついてやがんだ。領主をどこからか連れてきたらなんて言いだすやつが出てくる始末さ。

 せっかく俺がみんなのいいようにやってやったってのにな。あったまきちまって、お前らのことなんかもう知るかっつって、出てきちまったんだ。で、むしゃくしゃしてるから、もう家畜の餌でも、切り身でも、ミンチでもなんでもしてくれ。

――なんでもしてくれっていわれましても。

 ここで廃棄になった勇者を処分すんだろ。

――はあ、まあそうですが。一応お知らせしておくと、村の人たちはうまくやってるみたいですよ。

 なんだ、領主を調達したのか?

――筧さんの残したメモ、村人が筧さんの話を記録したメモ、そんなものをかき集めて、すこしづつみんなで物事を決めることを学んでいるみたいなんです。

 本当か?じゃあ、よかったじゃねえか。やっぱ俺がいたのがいけなかったんだな。やればできるやつらだったってことか。

――よろしいんですか?

 なにが。

――まだ処分するには夢と希望に余裕があるみたいですよ。

 いいんだいいんだ。俺がいたら、またあいつら人に頼って奴隷に逆戻りしかねないからな。ここでスパッとやってもらったほうがいいんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます