第270話 チームルルの新人?
格納庫に来るのも久しぶりだ。
ここ最近なぜか大忙しだったからな。
「セブーン」
「おお、ルル。相変わらず楽しそうだな」
「モチロンですヨ。セブンの新シイお土産もありマスシ、毎日がハッピーでス」
いい笑顔だ。
目の光に若干のヤバさが混じってるが。
「お土産とはずいぶんだね」
「ソラハラヌさんもいたのか」
「ああ、ルル君達に呼ばれてね。機体の解析を手伝わされていたのさ」
それはしょうがないか。
使ってた当事者に、説明を求めるのが一番早いからな。
ただ、ソラハラヌさん、かなり忙しいはずじゃ。
「ああ、心配しなくても今日はお休みだよ」
ならいいのか?
いや、良くないな。
申し訳ない、貴重な休みをルル達に。
「ソラハラヌさん、お疲れ様です」
「なんだい急に。別に僕も好きでやってることだからね」
「ああ、確かに。あの資料を見るとそんな感じはしますね」
「僕の研究資料を読んだのかい?」
「ええ」
「どう思った? 率直な感想を聞かせてよ」
これはあれだ。
博士や教授達と同じ空気だ。
チームルルにまた人員が増えたか。
「わかりました。といっても門外漢の部分も多々ありますので、見当違いの発言は大目にみてください」
「もちろんだよ」
ソラハラヌさん、近い、近いよ。
そんなつかみかかるほどの勢いでこなくても。
普段はつかみどころがない感じのキャラなのに。
「では、まずクジラについてですが。あれは魔獣ではありません。どちらかというと私達に近い存在かと。あえて言うなら迷宮種とでもいいましょうか」
「なるほど、その理由と根拠は?」
「私がクジラと話が出来るのは、ご存知かと思います」
「ああ、あれは驚いたね。しかもヒダリ君以外にも何人もいるんだから」
「あの言葉、実は魔窟や魔塔との会話で使う言語と一緒なのです」
「ちょ、ちょっと待ってくれないか?」
?
「今、魔窟や魔塔との会話と言ったかい?」
ああ、そうか。
彼等が話せることは、あまり知られていないんだったな。
ここしばらくは、当たり前のようにコミュニケーションをとるようになってたからな。
すっかり忘れていた。
「ええ、あまり知られていないようですが。彼等は生物、しかも我々と意思疏通ができる存在ですよ」
「ヒダリ君が言うんだ、本当の事なんだろうね。まさか魔窟や魔塔が生物だったとは」
「私がまとめたレポートで良ければ、後程お渡ししますよ」
「本当かい?」
だから近いってば。
おっさんに詰め寄られても、これっぽっちも嬉しくないよ。
「え、ええ。ですから落ち着いてください」
「ああ、済まない。どうにも自分の好きなことになると暴走してしまってね」
「そういうこともありますよ」
チームルルはそんな人たちばかりだからな。
むしろ暴走してるのが普通レベルだ。
「うーん、ヒダリ君に組織を潰されたときはどうなるかと思ったが、むしろ今は感謝しかないよ!」
組織の存在が軽すぎるよ。
まあ、組織の人達も楽しそうに働いてくれてるみたいだし、良しとしていいのかな。
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