第227話
ん?
誰か来た?
「おじうえ~」
「おお、おお、レーレ。よく来たな」
「申し訳ありません、兄上。いつのまにか部屋を抜け出してしまって」
「おじうえ~、母上が遊びに行っちゃいけないって」
「レーレ、気にすることはないぞ。私はもう皇帝じゃないんだ、いつでも遊びにおいで」
……。
ダチキッシュさん……。
姪馬鹿?
「兄上、そうやって甘やかして」
「ふん、いいのだよ。どうせ気になどしないだろヒダリ殿」
まさかの展開だな。
こんなおっさんのギャップとかいらねえから。
「ヒダリ殿?」
「あ、ええ、大丈夫ですよ」
「ほらな」
「な、兄上? 宗主様?」
「どうも初めまして」
「も、もうしわけありません。ご無礼をお許しください」
?
ああ、一応宗主だしな。
そうなるのか。
「レリャリア、ヒダリ殿はその程度でお怒りにはならんよ」
「そうですね、時と場合によるのかもしれませんが。特に不快な思いもし得ちませんし、気にされなくてもよいかと思いますよ」
「ありがとうございます!」
「まあ、挨拶くらいはしておけ」
「は、そうですね。重ね重ね申し訳ありません、私はレリャリア・ノーゼノン」
「レーレお前もだ」
「はじめまして、レーレシア・ノーゼノンれす」
「私はサシチ・ヒダリともうします。どうぞよろしくお願いいたします」
「サヒチ?」
「レーレ!?」
「レリャリアさん、気にしないでください」
うんまあ言い難いよね。
サシチって。
「レーレ、いいか。この人はな一応偉い人だから、せめてサシチ様と呼んでやれ」
一応ってなんだよ。
「ふん、業務のほとんどをナルディスナ様やレイラ様に任せている奴など、一応で十分であろう?」
こっちの思考を読むんじゃねえよ。
サベローと一緒に玉座に並べるぞ。
まあ、間違っちゃいないけどな。
「サヒチ様」
「なんでしょうか? レーレシアさん」
「あれはなんですか?」
おお。
玉座のサベローに目を付けるとは。
レーレシア様いろいろわかってるね。
「ご興味が?」
「はい」
「お好きになさって結構ですよ」
「おい!」
大きな声を出すなよサベロー。
レーレシアさんが驚く、いや驚かないのか。
「ちょ、そんなペタペタ。イタッ、目に指が」
うーむ、レーレシアさん。
なかなか大物?
「あはははは」
「ちょイタっ。そんなにひっぱら、イタっ」
ん?
離れた。
もう飽きたのか?
サベロー駄目駄目だな。
「おじうえ、これとこれ貸して」
「かまわん、好きなものを持っていけ」
「わーい」
違った!
凶器を取りに行ったのか!
「ちょ、ダチキッシュ皇帝、村長」
「どうしたサベロー?」
「すごく嫌な予感がするんだが。具体的に言うとレーレシア様の両手にあるものがだな」
羽ペンとインクだな。
人型ロボットまであるのにボールペンとか万年筆みたいのはないのか?
技術の張っての仕方がちぐはぐすぎるな。
それだけ武力に力を注がなきゃ生き抜けない環境が長いてことか?
「よいしょっと」
「ちょ、レーレシア様、なにを?」
「ここはこうで」
「レーレシア様?」
「レーレはお絵描き中は人の話を聞かんからな」
「いや、聞かんからなって。しかもお絵描きって」
「さてヒダリ殿、先ほどの話の続きを聞かせてくれ」
「ああ」
「おい、ちょっと、おいいい」
がんばれキング!
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