第167話
手伝うと言ったはいいが……。
俺も専門家なわけじゃないからなぁ。
「村長殿、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします、ザーバレナさん。一応概要は伺ってきてはいますので、話を進めてください。わからないところがあれば都度、質問させていただきます」
「わかりました。では早速話を進めさせていただきます。私が進めたいのは、探索者の補助や支援を行う組織を作り運営するという事業です」
そこまでは聞いてる。
「具体的にどういったことをするつもりなのですか?」
「一つは彼らが収集した財宝や魔方具、素材等の買い取り価格についてです」
なんか安く買い上げてるって話だったな。
「協会が買い取ったものは専用の業者に販売され、その業者が色々な業者に販売する仕組みになっているのですが」
卸売業みたいなものか。
「その際に探索者に支払われる金額が、協会が専用業者に販売する価格の一〜二割程度なのです」
まじかよ。
卸に100ラル(一万円程度)で協会が売って、探索者側の利益が20ラル(2千円程度)で残りは協会の利益か。
協会側の手間がどれだけなのかわからんから、一概に批判もできないが、探索者の連中はそれで生活が成り立つのか?
「ですので一部の稼げる探索者達以外は、毎日ギリギリの生活を送っているのです」
はー、ファンタジー世界でも搾取の構図か。
いやまあ、ファンタジー関係ないけどさ。
「それで、ザーバレナさんはどうしたいんですか?」
「少なくとも引き取り価格を六割程まで引き上げてやりたいのです」
協会の買い取りに関わる業務の経費が全くわからんからな。
取り分が四割で運営できるのかね?
「ただ取り分が四割では経営的にギリギリの所なのです」
なるほどねえ。
まあ、裏で俺達が稼ぐって選択肢もあるけどな。
最初の数年はスタートアップだし、それでもいいんだが。
さて、どうするか。
「それにこちらは新興になりますから。販売する業者から足元をみられるでしょう」
まあ、妨害も含めて色々されそうではあるよな。
買い取りの問題に卸の問題か。
まてよ、こっちが金出して買い取るんだから、買い取った物も自分達で売ればいいのか?
それなら卸の上乗せ分もこちらの懐に入るしな。
「ザーバレナさん、その販売する業者をこちらがやるのは無理なのですか?」
「それも考えたのですが。私たちには買い取った品を流通させる経路がないのです。それに協会のある街で私たちにこういった事業を行う許可が出るののかどうかも怪しいですね」
「その辺は解決できそうかな。まあ確実ではないですが当てはあります」
販売チャネルがないことと、営業許可の問題だろ。
販売チャネルに関してはナセルリナさんとエチゴラさんに丸投げでなんとかなりそうだし、営業許可もガウンティ王国なら問題ないだろ。
とりあえずは一つ目の懸案事項はなんとかなりそうかな。
というか、あと何個あるのかね?
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