第107話
「サベロー、何があった!?」
「お前の妻二人がぶちキレた、そしたら街が一瞬でこうなった」
原因は身内でした。
暴れてるのはクリスとセフィか。
「それでなんであの二人は怒ってるんだ?」
「お前、いきなり冷静になるのな」
「暴れてるのがクリスだけじゃなくてセフィもだからな。あちらが、なんかやらかしたんじゃないのか?」
おー、デカイ家がぶっ飛んだ。
「お前なんかスゲエな。その通りだ、ほれ」
サベローの示した先には二組の夫婦と二人の女性。
全員軽い怪我をしているみたいだな。
「全員、知霊樹に捧げられた女性の家族だ」
「なんでここにいる?」
「あのデカイ人形が暴れたのは生け贄達が原因だと言われたそうだ。それで当人がいないから家族が責任をとれと、吊し上げられたらしい」
あの老人達が扇動したか。
にしても煽られる連中もどうなんだろな?
「俺達は後から合流してきたクリス様とセフィ様の一緒にケイト様の母親を探しに街に入っていた。そこで母親達が吊し上げられている現場に鉢合わせしたのさ」
「ケイトは?」
「もちろん助けに入ったさ。あそこで暴れている二人と一緒にな」
うん、終わったなラグレシュル。
飛び込んできたやつが危なすぎる。
「んでまあ、助けに入ったケイト様達を野次るだけならよかったんだがな」
「石でも投げたか?」
「その通りだ」
まあ、そこまでやっちゃったんなら仕方がないかな。
「それはしょうがないな」
「止めないのか?」
「石投げたんだろ? そんなもん喧嘩売った奴等が悪いだろ」
「だが街が燃えてるぞ」
「消し炭じゃなくて良かっただろ」
今度はでかい屋敷が粉砕された。
ナディの風魔法も火力たけぇな。
「それともサベロー、あんたが止めるか?」
「こんなもん止められるかよ。それに俺も吊し上げられる側だからな」
お、魔動機兵。
あ、全部落ちた。
「こんな胸くそ悪い街、俺にとってもどうでもいいわ」
それでもクリスもセフィも手加減してるな。
壊れてるのは
「ならどうする、俺のところで働くか?」
「それもいいかもな。だがお前に敬語かぁ」
「場所さえ考えてくれれば、普段はそのままでいいぞ」
「そうもいかんだろ?」
「その辺は任せるよ。どうせただの村だしな」
「ただの村はこんな戦力抱えてないけどな。こんなの一国の軍隊でも相手にならねぇだろ」
「それでどうするよ」
「そうだな、妻と娘に本当にまた会えたらお前のところで働いてやるよ」
「わかった」
二人もとりあえずは落ち着いたかな。
「旦那さま〜」
「サシチ様〜」
飛び込んできた二人を受け止める。
「二人ともお疲れさん。クリス、セフィ怪我はないか?」
「私は大丈夫です、旦那さま」
「私も特に問題ありません」
「ケイト、親御さん達は全員動けるか?」
「大丈夫です、先生」
ケイトも無事助けられたし、長居は無用だ。
さっさと帰りますか。
「まてっ!」
「おい、なんか言ってるぞ」
「あの老人達から俺達に有意義な話なんかあると思うか?」
「まあ、ないだろうな」
「なら聞く必要ないだろ」
「待てと言っていぎゃ」
一人消し炭になったか。
この状況で攻撃するかね。
足止めのつもりでも、あり得ないだろ。
「貴様ら、この責任どう取るつもりだ!」
「サベロー、ラグレシュルのトップはすげーな」
「流石に俺も驚いてるよ」
「これだけの被害を出して、只で済むと思うな」
「消し炭にしますか?」
「いや、もう帰ろうか」
「わかりました。早く帰りましょう旦那さま」
「そうですね。説明してもらわなければならないことがあるようですし」
……。
俺の戦いはここからか。
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