第104話

「先生、知霊樹が!!」


「なんだこれは」


 巨大な樹木が巨大な人形へとその姿を変えていく。

 変形ロボ?

 樹木からロボットへの変形は斬新だな。


「これだけ巨大な樹木がその形をここまで大きく変化させるとは、やはりこれは植物ではなかったか。いや、もしかするとかなり特殊な種類なのか? サンプルを採取して確認してみたいところだな」


 そういう見方もあるか。


「ケイト、破片は残した方がいいってことだな?」


「多ければ多いほうが助かります」


 ということは消滅させるのは無しだな。


「わかった、なるべく形を残す方で対処する」


 となると動力源を潰すか?

 いや、動力源もそれはそれで調べがいがありそうだしな。

 どうするか?


「うお、危ねえ!」


 とりあえずはケイトとサベローを逃がすのが最優先だな。


「せ、先生?」


 ケイトを抱える。


「しっかり掴まっててくれよ」


「はい」


 ケイトが両腕を首に絡めてくる。

 サベローはまあ、さっきと一緒でいいか。


「またこれかよ。しかも今度はローブのフードの中かよ」


「なんなら放り投げてやろうか?」


「ち、わかったよ」


 転移の移動先の指定が上手くできない。

 なにか妨害するような魔法でも使われてるのか?

 俺一人なら問題ないが、ケイトとサベローまでいるとなると危険過ぎるな。


「二人とも舌噛むなよ」


 転移ができないなら走るしかない。


「ぐおお、揺れる揺れるぅぅ」


「サベロー、黙ってないと舌かむぞ」


 これだけ離れておけば問題ないか。

 保険にパーカーも預けてあるし、大丈夫だろう。


「二人ともここで待っててくれ」


「なんでもいいが元に戻せよ」


 離れてみると、やはりデカイな。

 これ全長7~80メートルくらいあるんじゃないのか?


「無視するなよ、元に戻せって」


 あれルルもサンプル欲しがりそうだな。


「先生、お気をつけて」


「おいぃぃぃ〜……」



 この巨大ロボット、確実に地球の影響を受けてるよな。

 どっかで見たことあるようなデザインだし。

 接触があったとか言われてる地球の奴の影響か?


「何処のどいつか知らんが逃がしはせん」


 あれに乗ってるのか?

 もしかして五人とも?

 ノリが完全に合体ロボじゃねぇか。


「驚くがいい!」


 胸部から五属性の魔法。

 ということはあそこがコックピットか?

 しかし操縦のノリまで地球の影響受けてるのかね。


「知霊の泉、返してもらうぞ!」


 ん?

 なんか来たかな。

 もしかして巨大ロボが見たかったか?


「どこを見ている!」


 特定は無理か。

 それならそれでやりようはあるか。

 しかしあの巨大ロボ周囲の被害とか考えてるのか?

 普通に街に被害が出てるんだが。


「ちょこまかと、小賢しい!」


 まあ、俺が心配することじゃないか。

 それよりも折角面白い奴が出てきてるんだ、色々ともらうものを貰っていこうかね。


 とりあえず、左腕!

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