♥️第74話

『ちょっと、おきなさいよ』


 ん?

 まずい!

 気を失ってたか。


『ちょっ、急に起き上がらないでよ』


 どのくらい意識を失ってた?

 状況は?


「ルド、ランガー、リシャル、レーブ」


『ここにはいないわよ』


 ポピー?


「ここは?」


『あんた達の天幕の中よ。大丈夫、特に問題はないわ』


 俺はどうなったんだ?

 確かキョウの料理を食べて……

 料理で気絶したのか!?

 判別でも特に問題はなかったはず。


 これは不味いな。

 判別で毒物反応がでない毒物があるってことだよな。

 それともキョウの料理が特別なのか?


「ポピーは大丈夫なのか?」


『?』


「キョウの料理を食べてたよな?」


『美味しかったわね』


 ????


「なんともないのか?」


『特になんともないわね』


 竜すら気絶したのにか?

 種族の特性か?

 個人差か?


『カシュタンテとルドさんも美味しそうに食べてたわよ』


 意味がわからん。

 舌にあうあわないを通り越して、体にあうあわないなのか……

 あわないと問答無用で意識刈り取りか。

 スキルや魔法で判別できなさそうだし、一発勝負か。

 飯食うだけで命懸けとか、こええよ!


 ん?


『な、なによ』


 ポピーさん、なんで大きくなってるの?

 そしてえらい薄着じゃないですか?


『そ、そんなにじっくり見ないでよ』


 うん。

 まあ、そういうことなんだろうな。

 ここまでお膳立てされてるってことは、みんなのほうも問題なしってことでいいのかね?


『ちょ、ちょっと』


 ここまでされてなにもしないって選択肢はないな。


「悪い、まだうまく体が動かせない。こっちに来てもらえるか」


『う、うん』


 ポピーがちょこんとベッドの角に腰掛ける。


「もう少し、こっちに近づいてくれ」


『うん』


 起こした上半身のすぐ横に、ポピーが座り直す。

 すぐ目の前にきた綺麗なピンクの髪に軽く触れる。


『ん』


 照れくさそうな、それでいて嬉しそうな声がもれた。

 続けて軽く髪をすくように頭を撫でる。

 左手で頭を撫でながら体を動かし、ポピーの背中を覆うように体勢を変え、ポピーの腰に右手を回す。


『ん』


 ポピーが背中をあすげるようにもたれかかってくる。

 さらに近くなったポピーの頭に軽く口づけ。

 そのまま背後から腰に両腕をまわす。

 首筋に三度軽く口づけ。


『あ』


 ポピーから艶かしい吐息がもれる。

 今度は反対側の首筋に、少しだけ強めに二度口づけ。

 そのまま、耳にも軽く口づけ。


『んん』


 少しだけ体の距離をあけ、そのままポピーの唇を奪う。

 唇をあわせたまま、ポピーの上着を脱がし、その体に軽く触れる。

 ポピーの緊張が指先を通して伝わってくる。


 唇をはなすと、何とも言えない目をしたポピーが不安そうにこちらを見てくる。


「髪も目も綺麗なピンクだな、ホントに綺麗だ」


『ん、ありがと』


 嬉しそうにポピーが微笑み、今度は自分から唇を押し付けてくる。

 どうやら緊張はほぐれたみたいだ。


 さて、ポピーに喜んでもらうため、さらにがんばりますか!




『にゅふふふ、サスチ〜』


 誰がサスチだよ。

 横で幸せそうに寝言を言っているポピーに軽くデコピン。


『んにゅ。にゅふふふ』


 喜んでもらえたかな。

 寝顔は半笑いで寝てるせいで若干あれだな。

 まあ、そこも含めて可愛いと思うのは惚れた弱みなのかね。


 眠るポピーを置いて外に出る。

 多分、妻たちが待っているからな。


「佐七さん」


 キョウの目がとろんとしている。

 いや、キョウだけじゃない。

 妻たち全員の目が艶かしい光をはなっている。


「おい、ちょっと待て。もしかして聞いてたのか?」


「あれはずるいよ、あんなの聞いたらボクもう我慢できないよ」


 巴、あれだ。

 嬉しい柔らかさなんだが、若干腕がミシミシいってる。


「主様」


 カシュタンテ、なんですでに半脱ぎなんだよ。


「おぶ」


 いきなり唇を奪われる。

 キョウ!?

 珍しいな。


「サシチ様……」


 空いてる方の腕もとられた。

 心地よい柔らかさ。

 そして、ちょ、そっちにうでは曲がらないよ!


「あ・な・た」


 背中にも心地よい柔らかさが。

 そしてマジで体が、いろんな方に折れそうだ。

 なんかみんな強くなってませんかね?


 まあ、何はともあれ大激戦!

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