戦闘後
「デモンストレーションは続けるんだろう。」
ユウゾウはこの惨劇からまだ再開するのかという運営の意思を聞く。睨みつけられた学園長はどこ吹く風のように当然といった顔を出しながらうなずき肯定の意を示す。
観客たちの様子を見ると続けられそうには見えないのだが
「済まんが学園長どのこちらからも補賃を出すので後日にしてはもらえぬだろうか。流石にプロ冒険者のバトルロイヤルは国民には刺激が強すぎたらしい。」
貴賓席より国王からの声が上がる。国王の顔色は芳しくない。冷や汗をダラダラ掻く姿は彼もこの試合の熱に当てられたことを示す。それだけではない他にも見ていた王族5名のうち4名は気絶していたのだ。下手な戦争よりも見ること自体が過酷な速度の試合。実際は敢えて見えるくらいのスピードに成るよう調整していたのだが本気で無かったというわけではない。
ユウゾウはあらかじめ十と百からロレンに行っていた訓練と似たように全く真逆のプロセスで負荷をかけていた。百に自分の周りの空気の時間を限りなく遅くさせ十には氣によって自己治癒力を阻害させた。
ロレンはファニに自分の身体を侵食させ全組織の動きを阻害。ユウゾウとほぼ同じ負荷をかけていた。
レナはレナでマッコリの性質を生かし自分の血液に侵入させ赤血球の量を調整して低酸素状態を創り出していた。
これらの工夫によって国民でもギリギリ見えるくらいの動きで行っているため彼らが本気を出せば国がいとも簡単に滅ぶことが伺えた。学園長がどこ吹く風な理由は過去に本気のプロ冒険者と対峙し生き延びたことがあるからだ。それゆえに彼の人望は厚く学園においては王族以上の権限を持たせれている教育者。
「しかし、それでユウゾウ殿は納得できますかな?」
今回、ユウゾウにおいては無理を言って牧場を離れてもらったこともあり今日しか時間が取れずとても後日に回せるようなものでもなかった。
「確かにそいつは無理だな。帰ってきた上の子たちにいくらかは任せては居るがまだ半人前だし、アンネもとッとと帰ってこいって言ってるしな。」
ちなみにロレンには里帰りさせろと伝言もあるのだがあの新婚バカップルを姑に邪魔させるのはいかがなものかと結婚推進派のユウゾウは悩みに悩んだ末連れ帰らないことにしている。
「と言って居るが国王としてはどう見る。」
「や無得ない事情があるのなら仕方あるまい。お二人だけでもやってくれれば国民に示しが付くだろう。」
「それならセイゴさんを呼んでおくか?」
「ん?ロレン、セイゴさんとは誰だ?」
「なんでもユウイチ叔父さんの親友でプロ試験は一緒だったんだが俺よか旅している年数も経験もあの人の方が多いしプロには年数はあんまり関係ないからいいんじゃねえのかな。あの人ならすぐ来てくれるし。けどあの人戦いの手の内はさらしたがらないんだよな。」
「それができるのならこちらからも報酬を支払う。次回は戦いではないので安心してくれ。済まぬが頼むロレン殿。」
デモンストレーションはお題を言わず突如として行われるプロ試験を模した形で行うのだが次は戦いで無いとするとどんなものをやらされるのか。ロレンは非常に楽しみにしていた。
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