地獄の修行
ロレンは素振りをした。
まず日本刀で次に小太刀、薙刀、大剣、長剣、短剣、ククリ刀、蛇腹剣、部族剣各種、片手斧、両手斧、部族斧各種、棍棒、棒、槌、槍、鬼の金棒、六角槌、鉄球棒、パイルアンカー、長槍、短槍、ハイベルト。それらを全ての流派を達人レベルに極めるまで実践も交え振り続けた。
「さあ童、飛び道具に入るぞ。」
和弓、西洋弓短弓長弓それぞれ、部族弓各種、ボウガン、回転銃、狙撃銃、単発式拳銃、自動拳銃、機関銃、散弾銃、吹き矢、投槍、投げナイフ、投げ斧各種、クナイ、手裏剣各種、チャクラム各種、石、パチンコ、糸、唾吹、鎖鎌。その全てを本来の射程距離の三倍まで偏差射撃を行えるくらいに鍛錬し続けた。そしてそれぞれを使った技術も織り交ぜて様々な撃ち方とそれに応用する体術も学ばされた。
「次は武術だ。」
古式柔術、柔術、忍術、カラリパヤトゥ、琉球空手、太極拳、象形拳各種、骨法、相撲、ムエタイ、パンクラチオン、サバット、テコンドー、ボクシング、民族武術各種。それらを稽古を付けた本人達相手に倒せるようになるまで修行した。
「次は料理な。」
古き東西の食材を具現化させ毒の分別、解体法、最低限度で食べれる調理法を叩き込まれた。
「次、医術。」
東洋、西洋の薬学、解剖学、経穴学、症状診断、原因物質の調べ方。それらを実際に体験させられた。ユウイチときのように弱らせたものなどではない。実物を用いてウイルスに感染させた。
「次、武器の製造、手入れ。」
鍛治などの金属加工、木の加工、布地の扱い、刀研ぎを手が原型をとどめないくらいに練習した。
「最後、哲学。」
生きる、地方ごとの宗教観、心の支え、人間が何を求め生きるのか。その答えが出るまで考え続けた。
ロレンはこの哲学という学問が理解できてしまった。同時に終わり無き門を開くことを意味する。哲学者という点で言えばまず上がるのはソクラテスだろう。彼の有名な言葉だと
「よく生きる」
「無知の知」
この言葉が理解しづらいことにはあることが要因とされる。ソクラテスに限らず哲学者の殆どが自閉症を患っていたとされる。自閉症を簡単に言えば思春期特有の思考である社会的立場の確立と認識を発展させた状態。即ち、自分の人生への世界、宇宙、あるいは神への意味を見出すこと。これでも分かりづらいが、要は砂漠の中にあるたった一つの砂粒が何のためにどのような目的で存在しどのような影響を与えているのかを考えている。
訳がわからないだろう。何の意味もないモノに意味を見出す。自閉症の例は他にもあるが、哲学者の殆どはコレから来ていると考えられている。ある意味宗教への反逆と時の国の指導者や教皇に当たる人物は取っているが、あくまでも究極的なマクロ視点における終わりの無い考え方。
細胞に意思はあるのか、答えは否とは言い切れない
だが宇宙に意思はあるのか、答えはわからない
しかし我々には意思がある宇宙でいう細胞よりも小さな私達がだ
ならば細胞に意思はあるのでは無いか
自分達の知らない領域で
そう自問自答すること。ロレンもまた、自問自答する。終わりの無い思考をと共に。
時に人はそれを未知と呼び、けっして触れてはならない箱とする。そう教義に反した考えであり神の否定とするためだ。
故に宗教に迫害され、それでも尚思考する者達を学者と呼ぶ。
そして最も異端と呼ばれた学者は哲学者と呼ばれ、そのことこどくが処刑され今も尚精神病と差別される。
だが誰よりも現実を考えているとも取れる。
何故ならば導き出した答えが正解とは限らない。例え偉人の出した答えは正しいとは限らない。新たな正解があるかもしれないのだから。その逆も然り。だが未知があるかも知れない。それを発見、証明出来ない領域に達したとき今ある考えを崩し再構築する。その繰り返しこそが自分の真の答えを出す手段。過去の遺物を否定し、新たなモノを作り出す。
式を壊し独自の式を創り出す。現代では真っ向から否定される。だが過去でもそれは同じ。
知識を蓄えた賢者への蛮勇の愚者の知恵比べ。
ロレン達は自分の祖の起源、生き様を自問自答する。
そう悠久の時を経て
彼らは舞い戻る、最恐を手に入れるために
ロレンは手に入れた生きるという哲学の果てに
全ての民族が感じ扱った
生を
死を
天を
氣を
邪を
獄を
冥を
呪を
祝を
心を
鬼を
光を
闇を
界を
無を
魔を
生きた
それが終わった瞬間、ロレンの服は黒く染まった。
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