お赤飯
「ねえ父さん。餡子って何?」
「小豆っていう豆を砂糖と蒸したりして作るものでな。このずんだによく似ているから食べてみろ。」
父からずんだを貰うと舐めてみるロレン。
口の中にクリームのような甘味でいて甘みに角が立ちすぎるような気がする味だった。後半にピリリと舌を刺したの味があったが山椒だろう。
「果物より甘いね。」
「それが好きになれない人は多いんだ。そもそも肉饅頭の代わりに作られたものだが甘く作られることが多くなってそうなったらしいがな。」
「なんで代わりに作ったの?」
「仏教、という宗教があってな。仏と呼ばれるものになる修行を行う宗教で父ちゃんの故郷の仏教の中の宗派の禅宗と呼ばれる宗派では魔物の肉を食べるのを禁じていたために代わりに畑の肉と呼ばれる豆を入れたのが始まりだそうだ。」
「へえ。宗教ってなに?」
「信仰、ようは信じているものだな。ルタは精霊を信仰しているように仏や神、ドラゴンなんかが信仰される対象で人が偉大だと思うもののことだな。宗教はそんな信じている人が集まってできるもので宗派とは同じものを信仰しながらも考え方違う派閥ってことだな。」
「信仰。」
ロレンはアレを思い出していた。アレもまた巨大な力を持っていた。
「深く考える必要は無い。心の内の何かだと思っておけばいいさ。」
父はロレンを撫でながらお菓子を食べるよう勧める。
「はいはーい。お赤飯ですよー。それと胡麻塩です。」
店員がお赤飯を持ってきた。ロレンの目から見るとお赤飯は白い粒に紅い豆が入り彩りがとても鮮やかな見た目に思えた。
「ほれ食べるぞ。」
ロレン達にも分けていく父。
「なんだか日なたの匂いみたいなのがあるね。」
「そうね、なんか私は好きになれないかな。」
「ロレン、ビアンカこのお豆は大豆よりコクは無いけどこの香りが補ってる反面慣れてないから不快に感じているだと思うよ。」
「よくわかったわねレナ。ちゃんと手伝いの成果が出てるわよ。」
「まあ慣れないと食べれないからな。俺も最初は凄い嫌いだったしな。香りってのは慣れてくると美味いもんだぜ。」
「ねえ父さんユウイチ叔父さんが言ってたけど冒険者試験で取れる食べ物ってやっぱり美味しくないの?」
「美味しくないというよりは食べ慣れていないというのが正解だろうな。例えば軟らかい食べ物ばかり食べる人間にとって硬い食べ物は噛み砕くことはできない。逆に硬い食べ物ばかり食べる人間だと柔らかな食べ物は気持ち悪く感じるらしい。」
「むむむ?」
可愛いらしく首を傾げるロレン。
「まだまだロレンはそこら辺が子供のままだからな。大人の身体になっても経験が足りていないから味覚がまだまだ幼稚だぜ。」
「うーん?」
「ちょっとアナタいじわるしすぎよ。」
「仕方ない答えを教えてやるか。」
「ちょっとまって父さん。答えは自分で探すから大丈夫。」
父は少し考えるとすぐに了承の返事をした。
「ああ解った。プロ試験で体験して来い。さあお菓子を、喰いまくるぞ。」
こうして家族のティータイムは終わった。
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