ある小さな幼子の記憶
「◼️◼️◼️、もうすぐお兄ちゃんになるし《世界の祝福》も授かるけど。例えどんな祝福でも、この子を守ってね。」
まだ3歳なったばかりの幼子に問いかける幼子の母親。
「うんお母さん。」
「女の子ならアイリス、男の子ならナギ。あの人は貴方を愛していないように感じてるかもしれない。お母さんとは違う別の人が生んだ子供の方ばかり構っているように見えるけれど貴方のことはきちんと見ているわ。」
「そうかな。」
「目には見えていなくともおのずと見えてくるようになるわ。そのとき◼️◼️◼️はこの世で最も強い意志を持つ人達の一人になれているかもね。だからそんな人達になれるようにこの子を守ってみなさい◼️◼️◼️。」
母親はお腹を左手でさすり息子である幼子の頭を右手でさする。
「《世界の祝福》は貴方の根源なのだから、きっと貴方にしかできないものが生まれる。」
◆◆◆
「うおおおおお!!」
ロレンに死の間際の記憶が走る。
「ハアハア、ここは商会の病室か。」
「そうだよー主人。」
「ファニ助かったぜ。もう何回死んだっけ?」
「8回目だよ。」
そうロレンは既に何回も死んでいる。
「今回は初めての死に方だったな。」
「そうだね。圧死、切り傷による出血多量死、修行のあまりの量によるショック死、溺死。こんなにいっぱいあったのに今回のが一番主人を蘇生するのに苦労したよ。」
ファニはプンプンしてる。
「すまなかったファニ。」
「じゃあ主人、今度新しくできた喫茶店に連れてってよね。」
(謎の声S:この作品のメインヒロインってレナじゃ無かったっけ?ファニがヒロインに見えるぞ。おい作者起動修正しろよ。)
「今度レナ姉さん達と一緒に行くか。」
「うんそうしよー。」
ガチャ
扉の開く音がした。
「お、ロレン君目が覚めたか。今回は一時間で目が覚めたな。もう身体が蘇生されるのに慣れてきたか。」
「まだ一時間しか経ってないなら修行できるな。」
「ああ、だが今度は魔力と氣の訓練をしてもらうぞ。環境適応の修行はまた明日だ。」
「わかった、あとユウイチ叔父さん。レナ姉さん達と遊びに行きたいんだがいいか?」
するのユウイチはニヤニヤしだした。
「行くなら子供の体型に戻ってからの方がいいな。それが終わったら区切りもつくからいいぞ。魔力と氣の訓練をやりながらでもできるからビシバシ行くぞ。」
「わかった。覚悟しておく。」
「じゃあ飯食うから着替えたら降りてこいよ。」
そういいユウイチは出て行った。
「あいよっと。」
ロレンはベットから起き上がる。
「はい主人、着替え。」
ファニは触手でロレンの着替えを渡す。
「ありがとうファル。」
「主人?僕はファニだよ。」
「あれ?なんでファニのことをファルって呼んだのだろう。」
ロレン自身も分からなかった。そしてファニも度々ファルと呼ばれていたことを覚えていなかった。
「まあ偶々間違っただけだろ。じゃあ下に行こうぜ。」
ロレンは着替え終えると病室を出て行った。
『◼️◼️◼️、貴方は一度守ってくれた。命と引き換えに貴方の肉親を。だから、貴方を不幸の身となる約束をして死んでしまった私は貴方を現世に戻してあげないといけない。一人の息子を愛してやまない母として自分の間違いを正さなくては示しが付かないのだから。でも、もし貴方にもう一度お願いができるのなら◼️◼️◼️の肉親をまた守って欲しい。彼らが道を踏み外さぬように。』
ふとロレンの耳にそんな言葉聞こえた気がした。だがロレンは空耳と思い。階段を降りていく。
食堂に来るとユウイチ達が料理を注文して待っていた。
「主人、今回は早く目覚ましたが何度も死なないでください。心臓に悪いです。」
「すまんチェシル。で、チェシルの心臓ってどこにあるんだ?」
「今は無いですが人型で作れるようになったら全部作るつもりです。」
(謎の声S:え、未来形?)
「そうだよー主人。精霊が人型になったら作れるようになるって言ってたよ。」
レイのことを触手で指すファニ。ファニはまだレイのことを認めていない。最近、チェシルにお株を奪われさらにライバルが増えようかという自体にファニは結構ご立腹だ。
「おいおいファニ、レイのこと認めてやれよ。お前が一番なのには変わりないんだしさ。」
ファニを撫でながら諭すロレン。その姿はどこか父ユウゾウを思わせるような面影あった。
「まあまあロレンや、ファニのお説教は飯を食ってからしようじゃないか。」
セイゴが促してきた。どうやら料理が来ていたようだ。ロレンの目の前に焼き野菜と熱血応援団鶏のローストチキンが並んでいた。
「食。」
レイもまた早く食べたいようだ。
「じゃあ食うか。」
ロレンはがぶりと熱血応援団鶏のローストチキンを噛みちぎる。
「美味いな。」
「それもまた修行の賜物だぞロレン君。」
「?」
「アンネさんから聞いたが、以前はガツも噛みちぎることができなかったようじゃないか。熱血応援団鶏のローストチキンはそれ以上に弾力と硬さが上のものだ。美味しく食べれるようになる。これもまた冒険者プロ試験で必要になることだ。」
「ふーん。」
ロレンはガツガツと熱血応援団鶏のローストチキンを食べながらユウイチの話しを聞く。
「プロ試験じゃあ毒だろうが異臭の放つものだろうが食べなければ生きていけない。特に硬くて食べようとしても食べられない場合がプロ試験で死ぬ要因で最も多いんだよ。」
冒険者プロ試験、その試験内容は毎年変わる。だが基礎は変わらない。冒険者とは未知の中で生きる者なのだから。
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