8-6.ダンジョンアタック

オォォオオオオオオオオン!



・・・と空洞音が鳴り響く(気がする)ダンジョンの地下2階、私達は入口から全く前に進んでいなかった。

っていうか斥候の私が進んでいないせいだった。


「スディファニーどうしただ?早く行くっぺ」

「わ、私は、弓で援護するからジョージが先に行ってよ!」


「何言ってるだ、罠の発見とか索敵が大事って言ったのはスディファニーだべ」

「「んだんだ」」


「そ、そうなんだけどね~・・・」


改めてダンジョンの奥を見つめると、すごく暗いし…



オォォオオオオオオオオン!



と唸るように空気が鳴動している気がして・・・ぶっちゃけ…ものすごく恐い。

さっきから暑くもないのに背中に変な汗をかいている。


前世では、失神者が多数出るレベルのグロいホラー映画を見ても笑っていられたのに・・・!


ゴブリンの巣穴の時は、キーラさんが斥候をしてくれたから気にならなかったけど・・・どうやら私は暗い洞窟みたいな場所が苦手らしい。

冒険者としては致命的な欠陥だね…とはいえ、へっぽこ農民達にはびびっていると思われたくはないので腰が引けながらも斥候をこなすことにしよう。



「スディファニー・・・何だかすんごく腰が引けてるべさ」

「スカートが短いからパンツが丸見えだべよ」


「あ、バカ!教えたらプリップリのケツが見れなくなるだ!」


デミとアナからの指摘で姿勢とスカートを直して、覗き魔はブン殴っておいた。


「まったくもう!」



イラッとしながら再び進み始めたんだけど、イライラして罠ばかりに注意していたのがいけなかった。


トサッと上の方から私の目の前に落ちてきた長いモノがウゾウゾとうごめいた


「ぴゃっ!」




◆◇◆◇




スティファニーは、短い悲鳴を上げたと同時にバッタリ倒れて気絶してしまった。


原因は、上から落ちてきた長さ2m程のムカデでウネウネと動いており見ようによってはヘビのように見えなくもない。


強力な毒を持っているので非常に危険なのだがデミが投擲したスキによって貫かれて既に絶命していた。

デミとアナがスティファニーの様子を確認したのだが、白目をむいて完全に意識を失っているのでしばらくは起きそうになかった。


「スディファニーが気絶しちまったっべさ」

「すかたねー、揺すっても起ぎねーがらジョージが背負って行くべよ」

「分かっただ。罠は、デミがスキで突きながら確認して進むだ。アナは、明かりを頼むだ。」


「分かったべさ。」

「んだ、明かりだべな・・・〈光球ライトボール〉」


アナの魔法で拳大の光の玉が現れて辺りを照らし出し十分な視界を得ることができた。


「よし、行くだ!」


3人は、洞窟の奥へと進んでいった。・・・行ってしまった。

通常であれば、引き返すかスティファニーの意識が回復するのを待つべきであった。



しかし予想に反して3人は、魔物をなぎ倒しながら順調に歩を進めており現在は、地下5階を探索している。


デミは、スキで隙のない罠探しをしている内に〈罠探知〉のスキルを習得していた。

更に魔物を警戒していたことにより〈魔物探知〉も習得している。


アナの〈光球ライトボール〉は、太陽のように明るくなって熱いし眩しいので頭の近くに浮かせていたものを更に高い所まで移動させてある。

敵が出た際には、デミの手が足りなければ光球からビームを出して敵を焼き尽くすという常識外のモノになっていた。

もうオリジナル魔法の〈太陽球サンライトボール〉と言ってもよいのかもしれない。


一方ジョージは、おぶっている人の尻を撫でまくっても相手に悟られないという無駄な技術を手に入れていた。

外野には尻を撫でているのはバレバレだし、もちろんダンジョンの攻略には全く役に立たない。



暫く進むと清浄な空気に包まれた空間に到達した。



「この辺りは、魔物の気配もねぇし休憩できそうだべさ」

「そんだなー、ジョージもいつまでもスディファニーの尻さ撫でてないで休むべよ。」


「・・・分かっただ。」


ジョージは、渋々と言った感じで背負っていたスティファニーをゴツゴツした地面に降ろす。

寝袋などはスティファニーのアイテムボックス内なので敷くものは何もない。


スティファニーは、寝苦しいのか単に寝心地が悪いのか身じろぎをし始めた。



『□□□□□□□、メイ!』


何か異国の言語でうわ言を喋っているがジョージ達には全く分からない。



『■■■、メイ●■▼▲!●■!●■!メイ!メイ!』


かろうじて連呼している「メイ」と言う単語だけは、拾えたがそれ以外はよく分からなかった。


涙を流してジタバタと暴れ始めたので3人で引っ叩いて文字通り叩き起こすことにした。




◆◇◆◇




ペチン! ペチン! ペチーン!

ぼよん ぼよん ぼよ~ん!

パン! パン! パーン!



顔と胸と太ももが痛い!


容赦のない痛みで目が覚めるとバカ3人が私をビンタしまくっていた。


「痛い!痛い!痛いってば!やめて!」


「お?目が覚めただか?」

顔を叩いていたのはジョージだった。後でぶっ殺す!


ぼよ~ん! ぼよ~ん! ぼよ~ん!


アナが目をカッ開いて私の胸を叩き続けている。



「アナ!スディファニーさ起きてるからもう叩かなくていいべさ!」


デミが羽交い絞めにしてやっと叩くのを辞めさせた・・・どんだけ巨乳に恨みがあるの?


まあいいか、そんなことより



「ねえ?ここどこ?…私が気絶してからどのくらい経ったの?」



どうやら3時間ほど気絶していたようで時間は、お昼になっていた。

しかも、ここは地下5階だった。


何で進んじゃったのよ!?


正直言えばもう帰りたい。怖くてちびりそうだし・・・って言うか普通におしっこしたい。

トイレ・・・なんてダンジョン内に無いし!


物陰で一人でするって言うわけにもいかない。排泄中に魔物に襲われたらと思うとゾッとする。

ラノベの主人公達は、どこでどうやって用を済ませてるのよ!


すごく恥ずかしいけどデミとアナに見張ってもらいながら用を足した。

ぅぅ・・・もうダンジョンなんて二度と入らないんだからね!


用を済ませて戻るとお腹もすいたしお昼ご飯を食べることになった。


「スディファニー、『メイ』って何だべか?」

食事中、唐突にジョージが質問をしてきた。


『メイ』?日本語のイントネーションっぽいけど・・・何?

心当たりは・・・多分ない。

思いつくのは、国民的アニメの【とうもころし】を持っている妹ちゃんぐらいかな?


「意味がよく分からないんだけど?何でそんなことを聞くの?」

「スディファニーが寝てる時に、泣きながら何度も『メイ』って言ってたべさ」


とデミが言い、アナも頷いている。




うむーん?やっぱり心当たりは…無いね。




「心当たりは無いし多分、寝ぼけてただけじゃない?」

「それならいいだ」


と、その話題はそこで終わった。




◆◇◆◇




食事が終わったタイミングで


「ね、ねえ、もう街に帰ろうよぉ~」

「何でだべか?泊りだって言ったのはスディファニーだべ」


ジョージに帰ることを提案したけど3人とも進む気満々の顔をしてるし。


「さではスディファニー・・・ビビってるべな?」

「え゜!?・・・びびび、ビビってなんかないし!」


アナに図星を突かれてやせ我慢をしちゃったけど、正直言うと今すぐにでも帰りたい。


「わっ!」

「ぴゃいぃぃぃ!」


デミがいきなり後ろから大声を出して肩を叩いてきたので悲鳴を上げて地面に頭を抱えて伏せる。


「「「・・・・・・。」」」

「び、ビビってないもん!驚いただけだもん!」


だから生暖かい目で見るのはやめて!



結局、誰の目から見ても役に立ちそうにない私は、中衛に回されていた。


隊列は、前衛兼斥候のデミ、中衛にアナ…そのローブの端っこを握りしめたへっぴり腰の私が続き、後衛ではジョージが背後を警戒している。


完全にヘタレた私は、何かあるたびにアナに抱き着いて足を引っ張りまくっていた。

それでも3人は破竹の勢いでダンジョンを進んでいく。



何やかんやで夕刻になる頃には、10階でボス戦に突入しジョージがボスの頭をクワで耕して倒していた。


「どうだべ?オラの武技アーツ、〈10連耕し〉は?」


謎のオリジナル武技アーツを使ってるし・・・巨体のミノタウロスをあっさり屠ったのでドヤ顔するのも当然だね。


デミもミノタウロスにかなり手傷を負わせてたし、アナなんか謎ビームで腕をスパーンと飛ばしてたし・・・


私?震えながら弓を引き絞っている間に戦闘が終わってたから何もしてないよ。

もう、私いらないね。


ボス部屋を抜けて野営することになったんだけど・・・


当然トイレはないし、ベッドもない。

お風呂もだって入りたいし・・・え?贅沢だって?


私は、お姫様だからいいの!それに、ダンジョンなんかもう二度と入らないし!


ありったけの魔力ゴリ押しでダンジョンの壁を掘って【家】を作る。




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!




虫だって一匹も入らないように結界を張りめぐらしてと・・・お風呂にトイレ、寝室も作ろう!

〈聖域〉サンクチュアリで結界を張って完成!



ドヤ顔で3人を見たけど驚いてくれなかった・・・



もういいよ!気を取り直して夕飯を食べよう


アイテムボックスから食材を取り出して女子3人で料理を作る。

あれ?2人共包丁さばきがめちゃ上手いし手際も良いし!ぐぬぬ・・・


デミとアナの料理は、素朴だったけど…とても美味しかった。

悔しいけど私の料理は、美味しいと言えば美味しいけどインスタント感がある。・・・料理の勉強しようかな。



お腹が落ち着いたらお風呂♡

2人共脱いだら結構ええ体してはりますやん!



キャッキャウフフタイムは、見せられないよ!

すごく良かったとだけ言っておくよ…やっぱ男を知っている女は違うね~



ジョージ?一人用のお風呂とか用意するの面倒だから〈浄化〉ピュリファイケーションをかけといたよ。

お風呂から出たら何か…部屋の隅っこで体育座りで泣いてた。



さあ、明日もダンジョン攻略があるしもう寝よう。


「「「おやすみ~♡」」」


特大サイズのベッドで私を真ん中にして女の子3人で寝っころがる。

何気に初めての女体サンドだよ!

左を向いても右を向いても女の子!嗅いだことのない女の子の匂いがする!(ハスハス)幸せ~♪


寝間着も私が用意したスッケスケのネグリジェで柔らかい感触がダイレクトに伝わってくるぅーー!!!



「うおおおおおおおおおおおおおおおおんんんん!!!!オラもそっちの部屋がいいだぁあああああああああああああ!!!開けてけれぇええええええええええ!!!!」

「うっさいなー…〈防音〉サウンドプルーフ!」



独房…いや、一人部屋のジョージがうるさいので防音防音っと♪



静かになったし女の子の香に包まれながら私は目を閉じた。

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