8-3.乱

街に戻った私達は、討伐完了の報告をするために冒険者ギルドに直行した。


ギルドに入った私達を見つけた受付のお姉さんが慌てた様子でこちらに近づいてくる。

あ、依頼の受付をしてくれた人だね。


「お疲れ様でしたキーラ様、急なお願いを聞いて頂いてありがとうございました。」

ぺこりとキーラさんに対してお辞儀をしてお礼を述べた。


「あの、そのことなんだけどね・・・」

「大丈夫です。分かってますから、私からガツンと言いますので」


キリッっとした顔でこちらを睨んできた。


ちょっと!そんな、いたずらをした子供を見るような眼をやめてくれませんかね?

ジョージ達はともかく私は悪くねぇ!


しょぼくれてうつむいているジョージ達をスルーして何故か私の方に向かってきた。


「?」

「ジョージさん達は反省しているのにステファニーさん、貴女は何で他人事みたいな態度をしてるの!?」


「ステファニーじゃなくてス『ティ』ファニーです。」

「口答えしないの!」


後で失敗したと思ったけどここでお姉さんの怒りを爆発させてしまったらしい。


何も悪いことしてないのに正座させられてクドクドネチネチとお説教を受けている。

ジョージ達は、一見反省したように見えるのでお説教されていない・・・納得いかないよー!!!



「・・・コラ!ちゃんと聞いてるの!」

「え、だって・・・」

「だってじゃありません!」


ゴンッ!と拳骨をもらったと同時にジョパッとおしっこをちびってしまった。

しかも、パンツを貫通して床に少したれたし!?


もう、情けないやら悲しいやらで涙が出てきてしまった。


「ひぐっ・・・ぐすっ・・・」

「泣いたって許しませんからねッ!」


「待ってください、スティファニーは悪くないんです!話を聞いて下さい!」

見かねたのかキーラさんが助けに入ってくれた。


巣穴に入ってからの経緯を説明し、ゴブリン100匹以上いたこと

特に脅威度Sのボス、マイティゴブリンを私が倒したことを強調してくれた。



「マイティゴブリンなんて聞いたことも無いけど・・・」

「お見せしますので近くに来てください・・・」


十分引きつけたところでアイテムボックスからマイティゴブリンの生首を取り出して思いっきり突き付けてやった。


「ひっ、ひああああ!!!」


ジョロジョロジョロジョロ!


受付のお姉さんが盛大に漏らして私の正座している場所までびしょびしょになった・・・



よーし、計 画 通 り !



これで私のちびりも帳消しだよ♪


「私が殺りました(キリッ)」

「わ、分かったから!生首をこっちに向けないで!疑ってすみませんでした!」


と言うことで誤解は解けたし、違和感なく〈浄化〉ピュリファイケーションを発動してちびった事実をもみ消した。




◆◇◆◇




誤解も解けて謝罪してもらったのでさっき件は、引きずらないようにした。

監査の評価に反映しないという意味でね。


私もムキになってやり返しちゃったしお姉さんも公衆の面前で漏らしたのは恥ずかしかったよね



さて、済んだことは忘れて祝勝会?をやるっていうことで午後3時にもかかわらず酒場にやってきた。

マイティゴブリンの魔石が結構高値で売れたから皆で山分けしたんだ~


ジョージ達には、装備を整えたり冒険者の基本講習を受けるように言ってお金を渡しておいた。

思う所があるのか今日はゆっくり休むと言って宿に入って行った。



「じゃあ俺達は、飲んで食って騒ごうぜ!」

「さ、ティファちゃんも座って座って♪」

「あ、はいお邪魔します。」


ディグホースとキーラがお酒を頼んだけど私は、まだ未成年だからノンアルコールじゃないとだめだね


「マスター、アイスミルク…ダブルでね!(ドヤ顔)」

「・・・お嬢ちゃん、悪いけどミルクはないから果実水を飲んでおいてくれ」

「あ、はい。それでお願いします。」


うん、ミルクが飲みたかったわけじゃないから良いんだよ。セリフが言いたかっただけだから



「「「かんぱーい!!!」」」



コツーン!と木のカップを合わせてグビグビと液体を飲み干す



「「「ぷはーーっ!」」」



いやーうまい!五臓六腑に染み渡るねぇ・・・ってオッサンか私は!



「うめぇ!酒がしみるぜー!」

「ディグったらオジサンみたいよ?」

「だってオジサンだからな!HAHAHA!」


「私のも飲んでみる?」

「じゃあ俺のと交換して(グビグビ)・・・こっちのもうめーな!」

「うん、おいしいね♥」


ディグホースとキーラがイチャイチャしてる。すごくイチャイチャしてる。


「・・・。」

「あら?ティファちゃん口に合わなかった?」

「いえ、夫婦っていいな~って思って・・・」


う~ん、まだ成人してないし結婚適齢期を含めたら150年ぐらい猶予があるから良いんだけどさ目の前でイチャイチャされるとモンモンするわけですよ。

って言うか爆発しないかな~!


イラッとしたのでヤケ食いするよ!

ががががっと口に料理を片っ端から詰め込んでいく・・・


「ヴッ・・・!!!」


喉に詰まったー!


「むもーーー!?」

「何だ、詰まったのか!?」

「大丈夫ティファちゃん!?ほら、これで流し込んで!」


キーラさんが手元にあった飲み物を渡してくれたのでグイッっと一気に流し込んだ。


ゴックン!!


「ぶはーーーーッ!!!」

「だ、大丈夫か嬢ちゃん!」


「はぁ、はぁ、大丈夫です・・・」

「無事で良かった~」

「ホントだぜ、脅かすなよ嬢ちゃん」


「すみませんでしゅた・・・ひっく」


「何だぁ?今度はしゃっくりか?」

「あ、ごめんディグ・・・ティファちゃんにお酒飲ませちゃった。てへっ☆」


おさけ?あたまが ぐーるぐーる・・・




◆◇◆◇




「にゃはははははははは!たーのしー!!!」

「おい、嬢ちゃん大丈夫か!?」

「ああ・・・酔っ払っちゃったみたいね。」


「こまかいことは、きにしないでたのしもーよ!にゃはははは!」

「お、おう」

「あら、意外と大丈夫かも?」


ディグホースとキーラは、急に笑い出したスティファニーにびっくりしたが一応コミュニケーションがとれるので気にしないことに・・・できなかった。

スティファニーは、二人が追加で注文した酒のカップを奪い取り・・・両手に持ったそれをグイッと一気に飲み干したのだ!



「にょほほほほほ!しぇかいがまわりゅ~」



相当酔いが回ったらしくテーブルに突っ伏してしまった。


「おいおい、大丈夫か嬢ちゃん!?」

「駄目ね、ティファちゃん今日はもうお部屋に行って寝ましょ、ほら来て」


ぐにゃんぐにゃんになっているのにキーラが引っ張って行こうとしても全く動かない。



「らいじょーぶれひゅ!おらー!おしゃけどんどんもってこーい!」


ガバリと起き上がって大丈夫だと言うが誰がどう見ても大丈夫ではなかったし追加の酒まで要求してきた。



「お嬢ちゃん、すまんが法律で未成年にはお酒は提供できないんだ。」

「なんらとー!わたしゅはおーろしゃまらろ!」


「何言っているのかよく分からんが誰だろうと未成年には酒を出さん。さっきのは事故ってことにしておくが後一口でも酒を飲んだら出禁にするぞ?」

「・・・しゅみませんでしゅた。」


強面こわもてのマスターにビビったのか急に借りてきた猫みたいに大人しくなったが部屋に戻るつもりは無いようだ。



「いいもん、わたひはミルクをのむもん!」


いじけたスティファニーは、アイテムボックスに手を突っ込んで透明なグラスに入ったミルクを取り出してチビチビと飲み始めた





「うまぁあああああああああああああいいいい!!!」


「「「(ビクッゥ!)」」」




突然大声を出すから酒場に居た全員が飛び跳ねるほどびっくりした。



「これ、おいひいにょ~ん。もういっぱい・・・」



スティファニーは、もう一つのグラスを取り出したところで電池が切れたように寝てしまった。



「ふー、やれやれだ。嬢ちゃんが暴れ出さなくて良かったぜ。」

「ごめんね、私の不注意だったわ。ティファちゃんを部屋に寝かせてくるから戻ったら飲み直しましょ♪」


「ああ、すまんが頼むぜ」



スティファニーをお姫様抱っこして運んでいくキーラを見送ったディグホースは、ふとテーブルの上にあるミルクに目がいった。



「んー俺は、あんまりミルクは好きじゃないんだが…あんなに叫ぶほど美味いなら一口飲んでみるか」


本当に一口のつもりで飲んでみるとキンキンに冷えたミルクは、驚くほどに美味かった。

目を見開いて一旦グラスをテーブルに戻したのだが中身は既に空になっていた。


「あ・・・」


今すぐにもう一杯飲みたかったのだが無い物は無い。

グラスの底に残った最後の一滴をすすり、中を意地汚く舐めまわしてしまうほど美味しかった。


「明日になったら嬢ちゃんに聞いてみるか・・・」

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