7.困った時の相談相手③

宿に帰って下着を穿き替えた私は、再び頭を抱えていた。

先ほどまで悟りの境地に居たのだけれど冷静になってよーく考えたら何も好転していない事に気づいたからだ。


私の気持ちの方は整理がついたけど、アル君の傷ついた心は全く癒されていないじゃないか。


前世で妹のみことちゃんは、すぐに許してくれたけど俺の方は自責の念で数カ月は悶え苦しんだ覚えがある。

アル君にとって今は優しささえも刃になりかねない。



その辺りは110年も経つと男だった時の感覚が薄れてしまってよく分からない。

こうなったら背に腹は代えられない、恥ずかしいけれどその道の・・・・専門家達に聞いてみよう!


私は、とある人物に意見を聞くために王都の修練場に転移した。

その人物は、丁度3時の休憩中だった。


「そんな質問をするために俺の所に来たというのか?」

「はい、哀れな私をお救い下さい。剣性シコール様!」


「俺は、シコールじゃない!スコールだ!」

「失礼しました。コスール様!」


「貴様、ワザとやっているだろ?」

「うん」


「・・・帰れ!」

「そんなこと言わないでよ~。毎日シコシコ地道に木刀を振っているシコール様なら姉か妹のパンツでシコシコしてバレた事ぐらいありますよね?」


「ふざけるな!風評被害もはなはだしい!それにシコールと言うのは、貴様のせいで付いた仇名だ。・・・今では女も子供も寄ってこないし、素振りをするだけで毎日一生懸命シコっていると言われる始末だ!」

「風評被害ですか…では、姉か妹のパンツではシコった事はないと?」


「・・・・・・当たり前だ。もういいだろう、さっさと帰れ!」


うわぁー、コイツ絶対にやらかしてるけど誤魔化したよー。

ムッツリスケベ野郎は駄目だね。



「・・・と言うわけでオジちゃんに意見を聞きに来たんだけど」

「んーオジサンには、ちょーっと分からないなー」


王城の侍女専用更衣室で顔にパンツを被っている最中の国王に言われても説得力がないんだけど・・・


「誤魔化さないでよ!オジちゃんなら絶対にやってるでしょ?」

「いやぁー誤魔化したんじゃなくてオジサンの場合やりすぎて何回もバレてるから心が痛まないだけなんだ。」


常習犯かよ!聞いた私がバカだった!

オープン過ぎるスケベも駄目だ!


「・・・スギルはどうなのよ~?」


私は、王城内にあるスギルの執務室に移動していた。


「何で俺が、そんなことを言わなきゃならねーんだよ?」

「言わないと半裸になって泣きながらアリーヤを呼ぶわよ?」


「分かった!言うからやめてくれ!・・・思い出したくもないんだけどよー」


「なになにー?」

「姉ちゃんのパンツだと思ってやってたら母ちゃんに見られてさ・・・しかもそのパンツが母ちゃんのだったんだよ!・・・・・・うわぁあああ!!!」


スギルは、頭を掻きむしりながら浜に上がった魚みたいにビッタンビッタンと悶え苦しんでしまった。


あー、壊れちゃった。

これはこれでキツイ体験談なんだけど参考にはならないね。


箱入り娘アリーヤ痴女ラストは聞くだけ無駄だし・・・



「で、私の所に来たの?」


結局は、一番常識人のセリーナさんに相談することにした。


「はい、他に頼りになる人が居なくて・・・」

「そうね・・・在り来たりだけれどアル君とは、しばらく距離を置いた方がいいわね」


「はい・・・」

「丁度よさそうな仕事があるからやってみない?」


「どんな仕事ですか?」

「王都の西、フォーレの街にある冒険者ギルドの抜き打ち監査よ」


「監査って未成年の私がやっても良いんですか?」

「そうね、監査と言っても簡単なものだしチェックリストを埋めてくればいいのよ」


「それなら大丈夫そうですね」

「期間は2週間(12日)、移動が往復で8日で監査は予備日も含めて4日よ。十分余裕がある日程になっているわ」


「いつからでしょうか?」

「出発は、次の光の日よ」


「分かりました。やらせて頂きます。」

「気分転換になると思うからゆっくりしてきてね。」



気分転換か・・・私もアル君もまだ混乱しているかも知れないから良い機会なのかもね。

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