閑話、最後の魔王

Side:色欲の魔王ラスト


「うそ・・・暴食の魔王グラトニーが死んだ!?」


あり得ない!

そう、あり得ないし訳が分からない!殺しても死なないような七魔王の中で最も不死性のあるグラトニーが死ぬなんて想定外よ!

もう七魔王は、ワタシラストしか残っていない・・・・・・・・


7年ほど前に嫉妬の魔王エンヴィー(ブラックゴブリンシャーマン)が生まれてすぐに狩られた。

最弱の魔王なので何らかの事故があっても仕方ないと思える。


しかし、直後に最強である憤怒の魔王ラース(ブラックオーガロード)まで狩られる異常事態が起きた。

ラースも育ち切ってはいなかったが人間ごときがどうあがいても倒せるレベルではなかったはずだ。


傲慢の魔王プライド(ブラックコボルトキング)と強欲の魔王グリード(ブラックオークエンペラー)が様子を見に行って殺られた。

この時点で過半数がやられてしまった。


1年ほど前には、潜伏していた怠惰の魔王スロース(ブラックカオススライム)が冒険者に発見されて倒されてしまった。

そして現在、完全体になったグラトニーが完全討滅されるに至る。


一体どうしたら良い?

ワタシの生き残る道は・・・もうあまり時間がないスロースを倒した冒険者がすぐそこにまで迫ってきている。


死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない。


もうなりふり何て構っていられない!

ワタシは、最終手段を使うことにした・・・




◆◇◆◇




いつものように冒険者ギルドの受付で業務をしていたらロビーに空間転移の兆候が現れた。

歴戦の冒険者達は、すぐにその場で伏せたり物陰に隠れる。逃げ遅れた駆け出しも安全な場所に引っ張り込んで事態に備えた。

私も、いつでもシールドを張る準備を整えている。


ドシャリと一人の人物が空間の歪みから落ちてきた。っていうかスギルだった。


「・・・スギル!どうしたのこの怪我・・・ボロボロじゃない!」

「ハァ、ハァ、すまねぇ、魔王を倒す時にドジを踏んじまってこのザマだ。何とか命からがら逃げてきたんだが・・・」

「魔王め!よくもウチのペットを!」


「俺ペット枠だったのか!?…まあそれは良いとして、この傷は魔王じゃなくてアリーヤにやられたんだ」

「え?何でアリーヤが・・・?」

あれ?よく見たら怪我がしょぼい。見た目は腫れているから酷いけど引っかかれたり叩かれたりといった感じで大した怪我じゃなさそうだ。


「魔王は倒したんだが罠に嵌められて、ハメられた。」

「は?」

「魔王が俺の子を妊娠したんだよ。色欲の魔王だから妊娠チェックを簡単にできるんだとさ・・・」

何でそんなことになってるのよ。


「ガチギレしたアリーヤが話を聞いてくれなくてさ」

「魔王なんか殺っちゃえばいいじゃない」

「いや、それがな・・・最初は、向こうもこっちも本気じゃなかったんだけどよ。お互い熱くなっちまって…」

「なーに?惚気話でもしにきたの?爆発させるよ?」

痴話喧嘩なら勝手にやってて下さいませんかね?


「爆発はやめてくれ!あ、やべぇそんな場合じゃなかった!今アリーヤと魔王が取っ組み合いのケンカをしてて俺じゃ止めらんねぇんだ!一緒に来てくれ!」

「えー、めんどくさいなー何で私なのー?」


「何とかしてくれたらスティファニーが前から欲しがってたアレ・・をやるから頼む!」

「行くわよスギル!もたもたしてんじゃないよ!」

「お、おう・・・」




◆◇◆◇




王都にあるスギルの屋敷に転移してきた。

「2階の方でやりあってるはずだ、頼むぜ!」

「確かに床がギシギシいってるわね。よーし、行ったるでー!」


2階に上がってそーっと扉を開けて中を覗いたら…満開の百合の花が咲いてました。

あれが魔王かー、ピンク色の髪にカワイイ系の顔で胸もバインバイン。コウモリみたいな翼と悪魔っぽい尻尾があるね。

アリーヤがガンガン攻められてトロっトロになってる。

すごく色っぽいなー攻められたら私も落とされるねコレは…


『ど、どうだ行けそうか?』

『ハァ、ハァ、イクには大分時間がかかりそうだし、ここは私に任せてスギルは下で待っててハァ、ハァ』


『何だか息が荒いけど大丈夫か?』

『大丈夫だから下に行って赤ちゃんの面倒でも見てて!絶対に上がってきちゃだめだよ!』

『お、おう・・・』


1時間ほどしたら頬を染めて腕を組んだアリーヤと魔王が出てきた。

二人とも瞳孔がハート形になってる気がするよ。

ふぅ・・・ええもん見せてもらいましたわー。今晩は、すっごく捗りそうだよ♡


「で?結局どうなったんだ?」

「私にも分からん(スッキリ顔)」

いや、そんなマジかよみたいな顔で見ないでよー


「アナタ、魔王ラストワタクシのお嫁さんにしましょう!」

「・・・ん?つまりどういうことだ?」

「ワタシは、二人のお嫁さんになるってことよ♡」

「「(ずきゅーん♡)」」

1ヶ月後、3人は結婚した。

こういう形の愛もあって良いのかな?・・・末永く爆発して下さい!


結局私の方は、覗きをしていただけでロクな働きをしなかったのでスギルからアレをもらえなかったよ。

ちくしょーめ!



七魔王:全滅



あとがき


七魔王 死亡集

①嫉妬の魔王エンヴィー(ブラックゴブリンシャーマン)

 武技:ロング・パワーシュート

 姿はしっかり確認されず消し飛んだ


②憤怒の魔王ラース(ブラックオーガロード)

 武技:五重パワーシュート

 スティファニーの渾身の武技で頭部が消し飛んだ


③傲慢の魔王プライド(ブラックコボルトキング)

 武技:ソードバッシュ

 手加減を失敗して破裂した、本文に直接描写無し


④強欲の魔王グリード(ブラックオークエンペラー)

 首スパーン


⑤怠惰の魔王スロース(ブラックカオススライム)

 魔技:聖炎乱れ斬り、焼死 (スギル)

 


⑥暴食の魔王グラトニー(ブラックハングリーコング)

 魔法で太陽に転送されて、焼死


⑦色欲の魔王ラスト(ブラックサキュバス)

 末永く爆死 (スギル)

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