閑話、お騒がせスギル

スティファニー・オルティスです。

3月10日水の日、スギルが女の子を連れてギルドにやってきた。

・・・っていうか首輪をつけられて連行されてきた。物凄くグッタリしている。

もしや!婦女暴行罪的なアレでしょっ引かれた!?


「すみません!ウチのバカスギルが何かやらかしましたでしょうか?」

「行き成り失礼な方ですわね。ワタクシの旦那様に対してバカとは!しかもウチの・・・ですって?」

「失礼しました。ウチのギルドと言う意味です。・・・スギル結婚したの?」

放っておいたら頭からカビとかキノコが生えてきそうな顔をしていたスギルの目に少し力が戻った。


「スティファニー頼む助けてくれ!俺はハメられたんだ!」

「あら、ハメたのはアナタじゃないですか♥あの熱い夜忘れられませんわ♥」

「あの・・・そういうのは余所でやって下さいませんか?ここは、冒険者ギルドなんで…」

なんか無性に爆発魔法が使いたくなってきたよ


「そうでしたわ!冒険者登録をお願い致します。」

「あ、はい。」

受付用紙に必要事項を書くように言って渡す。

女の子の名前は、アリーヤ・ワイトイヤー17歳。ファミリーネームがあるし、国名と同じだ…珍しいね。


魔力測定は、一般人よりはマシなぐらい。

戦闘力測定は、ザッコスさんよりは強いかなってぐらい。ぶっちゃけ弱い。

はい、登録完了っと


「なあ、スティファニー一生のお願いだから助けてくれよー!」

「ちょっと、スギル!顔が近いってやめてよもうっ!」

ぐいぐい迫ってくるのでスギルの顔を掴んで抑え込む。


「そこ!何をイチャイチャしてますの!スギル様は私の旦那様ですよ?」

「チクショー!何か!何かないか・・・これだぁーーー!!!」

ん?魔力の指輪がどうしたんだろ?


「この指輪は、スティファニーとの婚約指輪だ!」

ビシィっと左手を突き出して薬指に2個はまっている指輪をアリーヤに見せつけている。

「ちょっと何言ってるの!?私を巻き込まないでよ!」


「ふ、ふふふふふふふふ、よろしい決闘ですわ!」

「えー!やだよめんどくさい」


「貴女!それほどまでにスギル様を愛してるとおっしゃるの!?」

「そんなこと一言も言ってないよ!」

「とにかく決闘ですわ!田舎のギルド嬢ごとき叩きのめしてあげますわ!」

また話を聞かない系の人なの?ホントにめんどくさいなー




◆◇◆◇




「くじ引きで勝負内容を決めるぞ。5回やってスティファニーが勝ったらアリーヤとの婚約は解消だ!良いな?」

スギルが急にイキイキと仕切りだした。

ワタクシが勝ったらどうなるんですの?」

「んー、俺も男だ。諦めてアリーヤと結婚してやる。」

「言質はとりましたわよ。念のために誓約書を書いてくださいまし」

「うう・・・しかたねぇ分かった。」

さっさと茶番を終わらせて業務に戻りたいんだけど、セリーナさんがアリーヤの相手をしてて良いって言ってるしなー


「1回戦目引くぞ!・・・なんだこりゃ?『家柄』って卑怯だぞアリーヤ自分に有利な勝負をぶっこみやがったな!」

「ほーほっほっほ!獅子は、ウサギを狩るのにも全力を尽くすものですわ!」

「くっ、一応判定するぞ・・・」

ワタクシは、アリーヤ・ワイトイヤー。王位継承権は低いですがこの国の王ノーリオ・ワイトイヤーの娘ですわ!ほーほっほっほ!」

「はぁ…私は、スティファニー・オルティス。エルフの里長の娘だよ。めんどくさいけどママが引退したら里を治めなくちゃいけないの」

高笑いしていたアリーヤがむせた。


「げほっげほっ、はぁはぁ…何でこんな街にエルフの次期里長がいますのよ!?」

「よっしゃー!何か知らんがスティファニーの勝ちってことでいいな?」


2回戦目、パンツ勝負・・・アリーヤの判定勝ち(審判エミリー)

ウサギさんパンツが狩られた!?


3回戦目、魔法勝負・・・スティファニーの圧勝(審判ギルド長)

ふふん、私に魔法で勝とうなんて1000年早いよ!


4回戦目、テーブルマナー・・・アリーヤの圧勝(審判セリーナ)

・・・(涙目)


「5回戦は、(勝った!)『オッパイ』勝負だ!」

スギルが高らかに勝負名を告げた。


「ぅぅ…ひぐっ、スギル様は…そんなにワタクシのことが嫌いなのですか?」

アリーヤがボロボロと涙を流して泣き始めた。

「あースギルが女の子泣かしたぁー!」


途端にオロオロするスギル

「ち、違うんだアリーヤのことは別に嫌いじゃねーけど一夫一妻はちょっと勘弁してほしいかなって・・・」

ワタクシは、スギル様が他の女性と仲良くしているのは耐えられません!」

うん、分かるよ。女性の立場からするとそうだよね。好きな人には自分だけを見ていて欲しいし


「ねえ…二人は、出会ったばかりなんでしょ?焦らないで少しずつお互いのことを知っていけばいいんじゃない?」


今までのは何だったんだという感じでアリーヤを優しくあやしながらスギルは去って行った。

女の涙・・・最強の武器だね。

その後、半年ほどの交際を経てスギル達は結婚した。

アリーヤは降嫁したので、アリーヤ・チマヨイになった。チマヨイが付くだけでバーサーカーみたいな名前になるね


年が明けた1月1日闇の日、アリーヤが女の子の赤ちゃんを出産した。

タイミングからして1回目の性交で妊娠していたので、どの道スギルに逃げ道は無かったと思うけど

大量にコスプレ衣装を進呈したのが功を奏してスギルのハーレム願望は消えたみたい。

自分で渡しておいてなんだけど、獣人プレイとか私には無理だな~あんなのをお尻に挿…まあ二人とも喜んでるみたいだからいいよね。


スギルは、Sランク冒険者兼宮廷魔法使いの特別顧問になって活躍しているらしい

出会った頃は、いつ野垂れ死んでもおかしくないような状態だったのに、たった数年で随分成長したね。


まあ、せいぜい幸せになってよ

おめでとう、スギル




あとがき

アールストからスギルが居なくなりました。

国の名前は、ワイトイヤー王国(通称:白耳王国) 元ネタは、ベルギー(白耳義)

今更だけど、アールストがまんまなんで場合によっては街の名前が変更になるかも


因みにワイトイヤー王国は、大陸最大の国でありながらエルフの里の子分的な立ち位置なので、ママ > スティファニー ≧ 国王といった力関係になります。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る