番外編、ノスタルジック・バレンタイン
結構未来のお話。
どうも、スティファニー・オルティスです。
私も成人して150歳になりました。色々とあったけれど元気に生きています。
いま恋人がいるのかは内緒だよ♡
今日は2月14日、バレンタインデー
「チョコが食べたい・・・そうだ!地球に行こう!」
こんな感じの京都に行くぐらいのノリで地球に里帰りすることにした。
今までにも何度か地球に行って買い物などをしたことがあるので慣れたものだよ。ふふふ。
ぶっちゃけると地球は、150年以上経っても田舎の方は、然程発展していなかった。
都会の方でも車が空を飛んでるってことは滅多にないし
技術革新はしているけれども基本的な暮らしぶりは変わっていない。
宇宙戦艦もないし、青いタヌキ型ロボットもいない。あれ?ネコだっけ?
まあいいや、さっさと行こうっと
「
ぐっ、やっぱり何だかんだと無茶な事をしているので二重程度の魔法なのに消費がきつい!
普通の人じゃ無理。世界の移動ってコストやばすぎだよ~私じゃなければ無理だね♪
魔法陣が展開されいよいよ移動となったところで
「ひゃっ!」
急に足が滑って体勢崩したと思って下を見たら昨日お楽…置いておいたバナナを踏み潰していた。
・
・
・
「ぶべっ!」
移動後に姿勢を崩してしまい地面とキスをしてしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
サラリーマンのお兄さんが親切に声をかけてくれた。
「ペッペッ、大丈夫です。お騒がせしました。」
口に入った砂とかゴミを吐き出しつつお礼を言う。
「――――――ッ!?・・・すごく日本語がお上手ですね。」
慌てて目をそらしてお兄さんは言う。
ああ~、日本人は目を合わせるのが苦手だからね。
「昔、日本に住んでましたから。じゃ、私行きますんで!」
「あっ・・・」
顔を赤くして何か言いたそうだったけど、まあいいや
・
・
・
・・・ちょっとおかしい。いつもと何かが違う。
先ほど気づいたスカートがめくれ上がっていた事の方ではなく、街の様子がへんなの
前世の頃から様子が変わってないっていうか・・・当時のままだし
最初に里帰りした時は、100年以上経っていたので実家は跡形もなくてどこに何があったのかすら分からない状態だったのに
今いるこの場所は、前世の記憶そのままの風景だった。
何か時間の分かるものは・・・
2019年2月14日(木) 08:02
見つけたデジタル時計にはそう表示されていた。
「は?
おっと、素が出ちゃった。
どういうことなの?
せっかくだから、ちょっと実家を覗いてみようかな?
長居しすぎると時空のねじれが酷くなって帰れなくなるかもしれないんだけれど、ちょっとだけなら。
気配と姿を消して更に、魔法で壁抜けをしたら・・・すぐそこに母さんが居た。
私にとっては150年以上前のことだけれど、まだ1ヶ月ほどしか経っていない母は、涙を流しながら仏壇に手を合わせている。
母さん・・・
自分の遺影なんかあまり見たくないのだけれど気にはなるので正面に回って・・・
「ぶっ!」
「?・・・いま何か音がしたかしら?」
危なかったー、何とか耐えた!偉いぞ私!
何に驚いたかだって?・・・遺影の写真が、死んだ日のバッチリメイク女装バージョンなんだよぉ!
今すぐ、あーって言いながら石に頭を打ち付けたい!!!うぎぎぎぎぎぎ・・・!!!
何してるの母さん!!
写真写りはすごく良いんだよ、美人さんだよ。でもね、男だから!遺影に使うのはやめて!
・・・部屋の方は、どうなってるんだろう?
見ない方がいいって、絶対見ない方がいいってと…もう一人の自分が言ってくるけれど気になって仕方がない。
恐る恐る壁を抜けると・・・・・・。
隠しておいた衣装コレクションが、マネキンに装着されてディスプレイされてるーーー!!!!
やめてぇえええええ!!!!
私のHPは、無限だけどダメージも無限ならHPは、0だよーー!!!!
死ぬ・・・ここに居たら死んでしまう!
一刻も早く家を出よう!
「はぁ、はぁ、はぁ、まさか実家で死にかけるとは思わなかったよ。」
落ち着け~私、深呼吸よ!
すーはー、すーはー、ひっひふー、ひっひふー・・・あれ?
また来れるか分からないし父さんでも見に行ってみるかな・・・
パソコンに向かって仕事をしてるだけで動きがない。・・・つまんない。
まあ、当然だよね会社に居るんだから。
「はぁ・・・」
父さんは、ため息をついて胸ポケットから何かを取り出した。
「ちょッ!」
「ん?今誰か後ろに・・・居るわけないよな。」
そりゃビルの24階ですからね。
思わず声が出ちゃったのは、父さんが取り出した何かが
お前もか父さん、何してるの!
「あ、部長~!奥さんが居るのにそんな綺麗な人の写真を見てため息ついてるなんて~」
「あ…いや、これはむす・・・」
「あー!娘さんだったんですか~!そういえば居るって言ってましたよね~!」
「ん、んんああ・・・」
「すごい美人さんですね~、いいな~」
「んん、ああ・・・」
やめてぇえええええ!!!!
オーバーキルだよおおおおおお!!!!
・
・
・
そうだ!
妹の命ちゃんなら大丈夫だろう。
今、10時前だから高校で授業中かな?
早速、命ちゃんが通う高校に赴き教室を覗いてみると
「あれ?命ちゃんが居ない一体どこへ?」
家には居なかったから病欠ってことは無いと思うんだけど?
あ、魔法で探知すればよかったね。では早速・・・
家から離れた場所の公園で命ちゃんを見つけた。
寂しそうにベンチに座っている。
命ちゃん・・・泣いて、るの?
表情に元気がない。
よく見ると泣いてまではいないけれど目は真っ赤になって潤んでいる。
「お兄ちゃん・・・。」
って私が死んだのが原因か・・・嫌われて無かった様で安心はするけれど
あ!・・・そういえば、今日は命ちゃんの16歳の誕生日だった。
プレゼントをあげるから期待して待ってろと言った覚えがある。
何かアクセサリーを買ってあげようかと思ってヘソクリを引き出しの裏に張り付けて・・・
くっ、あの部屋に戻るのはキツイけど今はお金が要る!
待っててね命ちゃん!
◆◇◆◇
さて、アクセサリーを買ってラッピングもしてもらった。
どうやって渡そう。
ただでさえ17歳も離れていた妹だったし今は、150年以上の意識のずれがある。
しかも、今の私は女性だし日本人ですらない。めっちゃ警戒されるだろう。
でも、この時空に居られる時間は刻一刻と迫ってきている。
そろそろ帰らないといけない時間になってしまう。
やるだけやってみよっか、女は度胸!
気合を入れて命ちゃんに向かって歩いていく・・・あ、やっぱり怖い。いや、行くんだ私!
あ、やっぱりちょっと・・・
そんな感じに私の足取りはヘロヘロと覚束ない。
そんな状態なので近づいている間ずっと命ちゃんに見つめられていた。
「お兄ちゃん・・・なの?」
「何でバレたの!?見た目も性別も全然違うでしょ!」
何か、いきなりバレたし。
「だって、その『ぽやぽや』した表情と動きがお兄ちゃんだし。」
「『ぽやぽや』って失礼だな命ちゃん!?遺憾だよ、抗議だよ!」
っていうか『ぽやぽや』って何!?何だかすごくバカっぽく聞こえる!
「そんな、ぽや顔で怒られてもね・・・幽霊にでもなったの?」
「『ぽや顔』って何!?ドヤ顔みたいに言わないでよ!それに、ちゃんと生きてるよ。生まれ変わったんだよ女の子に…」
「生まれ変わったって・・・1ヶ月じゃそんなに育たないし、やっぱり幽霊になって女の人に憑依してるんだよね?」
「違うってば!何か、タイムスリップ的な感じだよ?」
魔法の制御に失敗して滑ったとは言えないし。
「何で疑問形なの?よく分からないけど?」
「私にも分からないけど…ちょっとね、ここに来たのは偶然みたい。それに、あまり長居出来ないの。」
「そっか・・・。」
「はい、約束してたプレゼントだよ。お誕生日おめでとう、命ちゃん。」
アクセサリーの入った包みを渡す。
「覚えてくれてたんだ…ありがと、お兄ちゃん!」
「偶然だけどね。」
「じゃ、私からも」
と言って出してきたのはハート形の箱に入ったチョコレートだった。
そういえば、チョコレートのことすっかり忘れてたね。
「いいの?誰かにあげる分じゃなかったの?」
「お兄ちゃんのお墓にお供えしようとしてたのだからお兄ちゃんのだよ。」
お墓・・・改めて聞くとちょっとショックだね。
「そっか、ありがとね命ちゃん。最高に嬉しいバレンタインチョコだよ!」
あ、時空からチリチリした感覚があるここに居るのもそろそろ限界みたい
「さてさてと・・・もう行かないといけないの。ごめんね命ちゃん。」
「そんな!もう少しだけ・・・!」
チリチリがビリビリに変わってきた。
「ごめんね、ホントに無理みたいだから・・・」
パリパリと可視化された電気のようなものが時折体の周りを走るようになってきた
「もっと話したいことがいっぱいあるの!」
「私もだけど、今話せていることが奇跡なんだよ?」
涙を流す命ちゃんのおでこにキスをする。
「さよなら命ちゃん、
「お兄ちゃん!―――――――」
魔法陣が正常に展開されて私の体は、元の世界に戻ってきた。
はぁ・・・、もう会えないね。時間軸が滑ったのは偶然の産物だし。神の領域だから。
滑り具合によっては、宇宙に放り出されて死んでたかもしれないし・・・危ない危ない。
今度から気を付けよっと。
偶然の短い再会だったけれどとても嬉しかった。
命ちゃんからもらったチョコをひとかじりすると、とっても甘くて美味しくて幸せな気持ちになった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます