本編星2000記念SSと小話

ついに本編の星が2000を越えました……

ありがとうございます。次の目標は、★3000!?夢見るのはタダ!

まずは恒例の子供イリヤSSです!


★★★★★★★


子イリヤ :スゴイです!にせんです。イリヤはまだ百までしか数えられないですが、きっとスゴイんですよ!

ベリアル :はしゃいでおるだけで、結局解っておらんではないかね

クローセル:さすがにイリヤには、まだ早くございますな

子イリヤ :わかるです。お祝いにケーキが食べられるくらい、すごいんだと思うですよ!


ベリアル :……クローセル、小娘が遠回しに催促をしておるぞ

子イリヤ :ケーキ!ケーキ!!

クローセル:は、窘めて参りま……

ベリアル :さっさと買って来んか!

クローセル:与えられるので?

ベリアル :仕方あるまい、珍妙な踊りまで始めおった……

子イリヤ :わあい、わいわい、ケーキですっ


クローセル:……閣下も大概ですな

ベリアル :何か言ったかね?

クローセル:いえ、すぐに買って参ります!



□□□□□□(クローセル視点)


 今日は閣下が、イリヤに魔法を教えて下さっている。

 イリヤは何度も唱えようとしているが、さすがになかなか発動させられず、魔力が無駄に流れているのが感じられた。

「ふみゅう……。むずかしくて、上手にできません」

「構わぬ。まずはしっかりと詠唱を覚えよ。間違えておるぞ」

「むむむ?」

 どこを間違えているのか解らないようで、書き写した紙を見ながらゆっくりと詠唱を確認するイリヤ。どうやらメモが間違っているようだの。

 閣下は楽しげに笑うだけで、何処かは教えずに様子を眺めていらっしゃる。


 結局イリヤには解らなかったようだ。紙を握りしめて、こちらに歩いて来た。

「先生~。かっかが意地悪して、教えてくれません」

「ほほ、自分で気づくことも大事だからの。さて、その紙を見せてみなさい」

 くしゃくしゃになったソレを確認して、間違っている個所を指摘する。

 するとすぐに魔法は弱くではあるが、発動された。まだ得意属性以外はだいぶ拙いが、イリヤには魔法の才能があるぞい。

「できたです! 先生、ありがとうございます」

「もっと魔法の理解を深めれば、発動率はあがるであろうの」

「はあい!」

 ずっと失敗していた魔法が何とか成功して、とても嬉しそうにしている。

 とはいえ、子供が無理をし過ぎるのは宜しくない。ここでいったん休憩にしようと言うと、イリヤは頷いて切り株に座った。カバンから持参した飲み物を取り出して、飲んでいる。


 閣下もゆっくりとイリヤの近くにいらっしゃった。

「己で気付けるようにならねばな、小娘」

「……むうう。先生は教えてくれたもん」

 不満気に口を尖らせている。閣下、イリヤにはまだ難しすぎますぞ。

 魔法の詠唱を研究するのならば、阻害されている部分や改善の余地がある文言を、察する事が出来ねばならぬ。だがそれは専門職の人間のする事で、このような子供に求めるのは、ちと早すぎるであろうの……。

 通常の人間は魔導書を買い求めて、そこに書いてある通りに唱えるだけ。

 イリヤには、閣下がわざと知らない振りをしているだけに映ったであろう。


「かっかは~、ベリアルさんなのに、かっかです。へんなの~」

 意趣返しのつもりであろうか、不可解なことを言い始めた。発言の意図はよく解らないが、一つだけ確定している。これは私に、とばっちりがくるぞい……!

「どういう意味であるかね……?」

「イリヤはかっかと仲良しだから、先生があだ名を教えてくれました。ベリアルさんなのに、かっか。かっかっか!」

 イリヤが口に手を当てて笑っている。まさか、よもやそんな勘違いをしておったとは……! ずいぶんと地獄の王である閣下に、気安いと思ったぞい!

「……クローセル。どうなっておるのだね!!」


 閣下が赤い瞳で私を睨む。どうりで何度説明しても理解しない訳だ……!

「も、申し訳ありませぬ」

「かっか、また先生をイジメてます。意地悪は良くないですよ!」

 当のイリヤは、閣下の赤いマントをツンツンと引っ張っている。何が楽しくなったのか、くるまって遊び始めた。

「これ、小娘! 我のマントで遊ぶでないわ!」

「イリヤ隠れちゃった。いないですよ」

「おるではないかね!!」

「あは、きゃははは」

 声を立てて笑っているイリヤ。

 うまく話が逸れたので、口を出さないほうが良さそうだの。

 それにしても閣下で遊ぶとは、本当にとんでもない小娘だぞい……!

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