294 水流魔法
タブレットに表示されているのは……。
レベル59
称号:笑顔の伝道師・農家・神帝・エレメント火・ボアキラー・ノービス・ごっこ勇者
クラス:猫耳
サブクラス:神帝
BP8
スキル:共通語3
共通語書読1
魔人語3
辺境語0
獣人語0
音感0
察知1
料理1
農耕1
剣技0
槍技2
・二段突き2
・旋風槍0
斧技0
盾技0
火耐性3
水流操作3
水中呼吸3
魔力操作5
魔力変換5
魔法:草4
・サモンヴァイン4
・エルサモンヴァイン1
・グロウ4
・エルグロウ1
・シード4
・エルグロウシード1
・ロゼット2
時4
・タイム2
・ストップ1
・ヴィジョン2
・リターン3
火燐1
・スパーク1
水流3
・ウォーターバレット3
・ウォーターウォール2
・ウォータークォリティ2
こんな感じだ。
項目が増えすぎて何が増えたか探すのが大変だが、多分、名前に水が付くものが増えた項目だろう。いや、まぁ、感覚的にこれが増えたんだろうなってのは分かるんだけどさ。
スキルに水流操作と水中呼吸、魔法に水流属性かな。スキルは両方とも3だし、魔法も三つ増えている。蛸が持っていた力をそのまま取り込むことが出来たからか、最初からレベルが高いな。
んで、大きいのはBPが8も増えているってトコだな。これを活用出来るのは大きいなぁ。8もあったら、一気に時魔法を強化出来るか。異常な増え方だけど、多分、それだけ、あの蛸が生きていた中で吸収が出来ず魔石へとため込んでいた魔素が多かったってことだろう。そして、それをこれだけ俺の力にすることが出来たのも、俺がしっかりと魔素を吸収することが出来たからだ。
……。
この世界は魔素で作られていて、周囲に魔素が溢れている。だから、それが見えて力とすることが出来る自分なら、上手くやれば、本当はいくらでもレベルを上げられて、いくらでもBPとして力を蓄えることが出来るはずだ。まだ、それが出来るほど魔素の扱いになれていないから、こうやって魔石を介して取り込んでいるワケで、8増えたのだって多いように感じられても、俺が魔素を完全に扱えるようになった時のことを考えたら……驚くほどの数じゃあない。まぁ、そこまで出来るようになったら、この世界において神に等しい力を手に入れたのと同じってことになるんだろうけどさ。
まぁ、当分は無理だな。
俺にはまだまだタブレットという補助輪が必要だ。
というワケで、手に入れたスキルと魔法を試してみようか。なんとなくは分かるけど、なんとなくだからな。
スキルの方は試すまでもなく想像が出来るから、後回しだ。まずは魔法からだな。んで、と。ウォーターバレットは蛸が使っていた水を飛ばす攻撃と同じかな?
よしッ!
――[ウォーターバレット]――
魔法が発動する。
……。
って、したよな?
何も起こらないぞ。
――[ウォーターバレット]――
やはり何も起こらない。
――[ウォーターウォール]――
同じようにウォールの方を使ってみるが発動しない。何も起こらない。
……。
何が悪いんだ?
何が条件なんだ?
って、あ。
水?
俺は湖に駆け寄る。そのまま湖の水に手をつける。
――[ウォーターバレット]――
湖から水弾が飛ぶ。
バスケットボールサイズの弾が勢いよく飛んだな。うーむ、これが正解だったか。
となると……。
――[ウォーターウォール]――
湖の水が勢いよく壁のように持ち上がり、そのままざぱーんっと落ちた。
壁だな。うん、壁だ。
水が必要で正解だったかぁ。
……。
って、これ、凄い微妙じゃあないか。水がないと使えないのか。そりゃあ、湖の中に棲息している魔獣が使っていた能力だし、当然といえば当然なんだろうけどさ。
次は……。
――[ウォータークォリティ]――
ん?
先ほどまでの魔法とは少し感触が違う。なんだ、これ。
湖に浸けた俺の手の周りから苔が生え始めている。水が草によって淀み始めている?
って、もしかして、この魔法って、自分が住みやすいように水質を変える魔法なのか。うわ、微妙。俺は別に水の中で暮らすワケじゃあないからなぁ。不要と言えば不要な魔法だ。
うーん、魔法は微妙だったなぁ。
で、次はスキルか。
水流操作に水中呼吸。
これはそのままだろうなぁ。
俺は湖に顔を突っ込む。
……。
うん、呼吸が出来るな。予想通りだ。だが、だがッ、だ!
呼吸は出来るけど、呼吸する度に口の中に湖の水が入り込んでくる! しかも、だ。水を無理矢理酸素に変換しているからなのか、水に含まれている酸素を吸い込んでいるからなのか、地上で息をするのよりも苦しい、辛い。酸素の量が少ないのか?
呼吸は出来るけど、これだけで水の中で暮らせるかというと……無理だな。水中での活動時間を延ばす程度にしか使えそうにない。
水流操作は……あー、これ、アレか。水の流れを読むことが出来るスキルか。流れを変えたり、作ったりすることも出来るみたいだけど、それには単純に力が必要と。筋力で行うならさ、スキルが無くても同じじゃあないか。まぁ、流れが見える分、自分が望むように、予想したとおりに水流を作れるんだろうけどさ、それでも微妙だよな。
うーん、全体的に微妙だなぁ。
発動させる必要があるスキルじゃあないから、手に入れていて損はないけど、それだけだな。
今回の収穫はBPを大量に手に入れたことだけか。まぁ、それが狙いだったんだから、一応は、成功か。
「突然、湖に顔を突っ込まれて大丈夫なのでしょうか?」
「姉さまが突飛な行動に走るのは今に始まったことではない。気にするな!」
実験を行っていた俺の背後からそんな声が聞こえてくる。
俺はゆっくりと振り返る。
そこに居たのは……。
「まーう」
赤髪のアダーラと人型に戻った天人族さんだ。もちろん羽猫も健在だ。
「あ、えーっと、気付いたんですね。大丈夫ですか? そろそろ帰りましょうか」
負傷していた天人族さんも目覚め、もう大丈夫そうだ。これで拠点に戻ることが出来るな。ま、まぁ、俺ならリターンの魔法を使えばいつでも何とでもなったんだけどさ。
「ええ、帰りましょう。姉さま、私はもう空腹で倒れそうです!」
俺はアダーラの言葉に苦笑する。
俺を律儀に待ってくれていたのか。
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