最初に投げかけられた疑問から始まり、丁寧に秘密が紐解かれていく様子が描かれていて、最後までとてもおもしろかったです。なんだかこのしっかりと構成された独特の世界観の中をエミリアといっしょに旅しているような感覚でした。あと個人的にですが、物語の間の司教様であったり、他の登場人物であったり、現代を見渡しても通じるような「ああ……」と頷きたくなる言葉や考え方が散りばめられていて、その共感がさらに作品に入り込む呼び水になっていたようにも感じました。
不思議で、静謐で、美しい物語をありがとうございました。こんな事を言うのは、野暮で、的外れかもしれません。しかし、それでも考えてしまいます。いつの日か、正方形の外側に想いを巡らせる住人が表れるのだろうかと。正方形の街の住人に話したら、想像力が豊かだねと笑われてしまいそうです。やっぱり野暮ですね。クアドラードの街に、正方形のご加護があらんことを。