第5話

 俺は横目で、るんこを見た。…怖いくらい、ずっと。

 今は、この空間が大切すぎて。……頭の中の引き出しもカラだった。

 俺も彼女も、お互いに顔が火照っている。気持ちの目印は、それでだけで十分だった。

 誰よりも近づきたくなって、無意味に足元にあるセンサーで、自分のベッドをチェアにしたけど…終わりのない見つめ合いが始まってしまった。

 …結局、るんこの方が折れて、天井のパソコンを俺の視界の範囲まで下ろしてくれたのだった。


ラムネ:ランプ、大切にする。


るんこ:うん。


ラムネ:るんこの顔も、俺だね。赤いから。


るんこ:顔はともかく、私は黒髪だから、黒だよ。


ラムネ:知ってる。さっき聞いた。


 俺とるんこは、すこしだけまた目が合った。


るんこ:笑ったね。ちょっと馬鹿にしてるでしょ。


 俺はそれを読んで、驚いた。

 ……気づかれた事、ないのに。


ラムネ:ビックリした。俺の顔、動いた?


るんこ:うん。動いたよ。嘘じゃない。


 これが仮に嘘だったとしても嬉しかった。

 心までは止まってないんだ。だから、動いたんだ。…そんな風に思った。

 俺が「動いた」という事実に、あっけにとられてると、るんこが目のすみで、またモゾモゾと動いた。

 ……頬に突然、感触が来た。目を見開くと、るんこの顔が、そばにあった。

 俺は何が起きたのかわかって、ますます顔が火照った…。俺がしたかったのに。


「おめでとう。赤い、ラムネさん」








 end

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いとしい色の中に うなぎ @unagi0619

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