第2話

 3月1日。

 私は踏切を見つめながら、ぼーっと立って待っていた。

 黒、赤、黒、赤……。踏切の信号が点滅している。

 赤は…赤色キャップ帽が宝物の、ラムネさん。

 黒は…黒髪の私。

 私はそんな連想を、外に出てから繰り返していた。

 しばらくすると、電車が通りすぎていった。それで風がふいて、肌がすこし愉快だった。

 …歩き出すと、踏切の信号は見えなくなってしまった。……当然よね。歩けば角度も変わる。…そして、2度と同じ角度で見る事は出来ない。

 カメラ越しで見ると、景色が遠くなるから、私はそういう風には見ないと決めていた。

 なんでこんなにも、1度目の景色が大切なんだろう。

 それは、どこへ行ってもついてまわる気持ちだった。

 また赤信号で足どめをくらった。赤…ラムネさんだ。……私、ラムネさんにまた、変なメッセージを送っちゃったな。


るんこ:赤はラムネさんのカラー。


ラムネ:俺、赤色なの?戦隊ものかなんか?


 面会しても、優しいからきっと、何も言ってこない…。

 恥ずかしい。

 この間もつい、彼が動けない事を忘れて「どっか連れてって」とか書いてしまったし…これだけは申し訳なくて、もう話題にも出せそうになかった。

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