1677話 緊急帰国
風呂でイチャイチャしベッドでも激しくイチャイチャしていたら、いつの間にやら寝ていたらしい。目が覚めたらおそらく夜中。しまったな。晩飯食わずに眠り込んでしまったのか。でもそこまで腹はへってないなぁ。小腹がすいたと言えばすいてるが。
まあいいや。トイレに行ってまた寝よう。
「ピュイピュイ」
あらコーちゃん。起きてたの?
「ピュイピュイ」
あー、酒とお薬だね。おまけにツマミも欲しいんだね。そうだね。コーちゃんは今日ずっとアレクと一緒にアーニャの世話をしてくれたんだもんね。じゃあ一緒に飲もうか。別室で窓なんか開けちゃって、外の空気を感じながら冬の星空を眺めながらさ。
「ピュイピュイ」
ふふ、首に巻き付いてきた。かわいいんだからもう。呼び鈴の魔道具をポチっとな。ここに限らず高級宿ってのはいつでも好きな時に客室係を呼んでいいのだ。だから遠慮なく押す。
来た。注文した。酒は熱燗で、ツマミはそれに合うもので。まあ熱燗というか、ほどよく暖かくて旨い酒と注文したんだよな。ホットウイスキーでもホットワインでもいい。客室係のセンスにお任せだ。何が来るかなー。
「お待たせいたしました。アラキの新酒が入っておりましたのでお湯で割ってお楽しみください」
「ありがとう。これチップね。」
「ありがとうございます」
おっ、もしかして焼酎のお湯割りか。でも変だな。アラキ島の酒ってラムっぽいやつと芋焼酎っぽいやつの二種類があるんだよな。なのにこの前アラキ島に行った時はサトウキビ農場しか見てないんだよな。サツマイモっぽいのは一体どこで育ててるんだろうな? まあどうでもいいけど。
「ピュイピュイ」
おっ、お湯割りおいしい? よかった。私も飲もう。ふぅー、冷たい夜の空気を感じながら飲むお湯割りか。悪くないね。ツマミは……鶏肉の炭火焼きって感じかな? そういえば鶏って見たことないな。これは何の肉なんだろうね。
「ピュイピュイ」
おっと、そうだね。コーちゃんにはお薬もだね。
「ピュイピュイ」
美味しくてワイバーンになる? ふふ、何だいそれは。南の大陸産お薬の時は、美味しくてドラゴンになるとか言ってたのに。
あっ、こっちの漬物もポリポリして美味しい。大根っぽいのときゅうりっぽいやつ。うーん酒が進んでしまうね。あー星がきれい。クタナツから見る星空と星座は同じか。ふぅーお湯割りおいしい。じんわりと沁みるねぇ。
「ピュイピュイ」
ふふ、ずっと一緒? そうだね。もちろんだよ。コーちゃんにカムイ、そしてアレク。ずっと一緒にいようね。そこにアーニャ、あいつが加わるかどうかは分からないけど。
「ピュイピュイ」
難しいことを考えないでその時の直感で決めたらいい? ふふ、もちろんコーちゃんならそう言うよね。いつもありがとね。
アレクと二人で楽しむのもいいけど、たまにはこうやってコーちゃんと二人だけで痛飲するのもいいね。いや、痛飲はおかしいかな? しっとりと飲んでるんだから。ふぅ、美味しいなぁ。
さて、コーちゃん。そろそろ寝ようかな。明日は朝からローランドに戻るからね。コーちゃんかカムイは残ってもらうことになるかな。
「ピュイピュイ」
アレクはどうしようかな。本当は一緒に来て欲しいけど、アーニャのことがあるからな……起きてから考えよ……いい感じに眠くなってきたし。ふぁーあ。
目を覚ますと、目の前にアレクの顔が。本当に目の前だ。
「おはよ。そんな近くで何してたの?」
「おはよう。カースの顔を一番近くで見ていたかったの。よく眠っててかわいかったわよ?」
アレクにかわいいと言われた……照れるじゃないか、っうぷっ。私の口が塞がれた。もうアレクったら朝から悪い子なんだから。それだけで終わる気なんかないんだろう?
ほら、やっぱり。アレクの右手が布団の中へと入り込んで……どんどん下の方へと……
〜〜削除しました〜〜
ふぅ……朝から搾りとられてしまった……
アレクったら私が起きるのを今か今かと待っててくれたんだろうな。かわいいね。
さて、朝食も済んだことだし。
「アレク、僕はちょっとローランドまで帰ってくるよ。」
「え? いきなりなのね。どうかしたの?」
「ほら、シューホー大魔洞の神に魔力庫の中身を全部渡したじゃない? その中にクワナから預かった手紙があったんだ。届けるって約束したからには何とかしないといけないからさ。」
「ああ、クワナ・フクナガだったかしら。カースったら……律儀なのね。アーニャのことは私が見てるから心配しないで。どうせすぐ帰ってくるのよね?」
アレク……やっぱ来てくれないのか。でもこの的確な判断はアレクらしいな。確かに夕方までには帰ってくるつもりだし。本当はクタナツに寄ってポーション類の補充をしたいし、領都でシェルターの発注もしたいし、ノワールフォレストの森にマギトレントも伐採しに行きたいんだけどね。でもそれ系のことを始めたら慌しいし、キリがなさそうだしね。とりあえず各種補充はヒイズルでのあれこれが終わってからのんびり取り組めばいいだろう。
「夕方までには帰ってくるつもりだよ。アレクには退屈させちゃうけど、ごめんね。」
「ローランドまで日帰りってだけでとんでもない偉業だわ。カースにしかできないわよ。だから気にしないで。」
文脈がよく分からないけどアレクの言うことなら間違いない。
「ガウガウ」
カムイもお留守番してくれるのか。ありがとな。そうと決まればさっと行って、さっと帰ってこよう。
「じゃあ、行ってくるね。」
「ええ、気をつけてね。いってらっしゃい。」
そう言って私の頬に唇を寄せてくれるアレク。帰りを待つ女性がいるってのはいいもんだね。早く帰ってきたくなる。じゃあコーちゃん行こうか。
「ピュイピュイ」
イカルガを東西に分ける大きな通りまで出た。ここを南に下れば城門だ。それにしても南側にしか出入口がないのは防衛の面では強いとは思うが、物流の面ではかなり不便じゃない? 北側は丸ごと天王の住まい、天道宮とやらで占められているようだが。
「おやっ? 君はもしかしてドロガーのとこ、ブラッディロワイヤルのメンバーではないか?」
外に出るための行列に並んでいたら赤兜に声をかけられた。
「ああ。その通り。」
「おお! 見事シューホー大魔洞を踏破した英傑よ! お一人でどうされた?」
「なに、ただの散歩さ。夕方までには戻る。」
「そうかそうか。この天都イカルガ周辺には豊かな農地も広がっているし、山々は四季折々の顔を見せてくれる。ぜひ楽しんでくれ。おっと、一応規則だ。身分証を見せてもらえるか?」
「ほれ。」
作っててよかったギルドカード。
「なんと!? 十等星なのか!? それでブラッディロワイヤルのメンバーとは! これは恐れ入った! さあ、通ってくれ。」
「ありがとよ。」
誤解があるようだが敢えて訂正する必要もないだろう。気のいい赤兜もいるもんだな。おかげでさっさと城門を通過できた。
さて、少し歩いたらさっさと飛ぶことにしよう。目指すは楽園の西、北の街ことノルドフロンテだ。クワナのやつ、ちゃんと生きてるだろうな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます