第995話 事後処理

「ピュイピュイ」


アレクがいた? さすがコーちゃんありがとね。それより、霞の外套を着ている私の元に迷わず帰ってくるのね。コーちゃんすごい……

よし、行こう。




ここね。穀物倉庫かな。『風球』

扉をブチ壊す。アレクは……いた!


「アレク!」


縛られているじゃないか……こんなにきつく……血が止まっている……あ、頭に怪我してる! しかも魔封じの首輪まで……皆殺し決定だな。


「誰じゃおらぁ!」

「殺すぞこらぁ!」

「抜け駆けかぁ!? お頭にチクんぞおぉ!?」


『狙撃』


確認するまでもない。どうせ盗賊だろ。


『風斬』


アレクのロープを切る。ついでにアイリーンちゃんも。


「カース……?」


「アレク! 大丈夫!? 助けに来たよ!」


「ごめんなさい……ありがとう……」


ああもう、こんなに弱ってしまって……


「これ飲んで。そして帰ろう。マーリンがご馳走を用意して待ってくれてるから。」


こんな時はやっぱりポーションだな。


「うん……ありがとう……」


「ピュイピュイ」


コーちゃんも心配だったよね。


「うぅ、カース君か……すまない……」


この二人がいてどうしてこうなった? まあそれは後回しだ。


「盗賊だよね? 皆殺しにしてくるからちょっと待っててね。」


「待ってくれ! 人質が……村人が……」


「残念だけど無理だね。可哀想だけど。」


人質なんか私が気にすると思っているのか? アレクだって人質は気にしないしアイリーンちゃんも気にするタイプじゃないだろうに。


「何もんじゃぁ! 殺すぞおらぁ!」


『狙撃』


お前が死ねよ。うわぁタチ悪い。こいつ子供を盾にしやがった。しかし残念。私の狙撃の前には子供の体では盾にならない。しかもこの子供……死体かよ……すでに殺していたってのか……

何の罪もない子供を……許せんやつだな。


「てめぇよくもお頭を!」

「ブチ殺すぞぉらぁ!」

「こっちにゃ人質がまだおるんじゃあ!」

「お頭の仇じゃあ!」

「おらぁやれるもんならやってみろやぁ!」

「先にこいつらが死ぬぜぇ!」


人質か……女の子ばかりだ。ちゃんと生きてるな。明らかに凌辱されてるけど。それを思うとアレクが無事でよかった。もしアレクがそんな目にあってたらと考えると……この村を潰すぐらいじゃ済まないな……


『狙撃』


その気で狙えば人質の隙間を狙うことなど難しくない。


「待ってください! こいつらが死んだら毒が!」

「解毒剤がないと!」


今さら言われてもね。もう三人殺したぞ? 残りは何人だ? すでに村の外周は水壁で覆っているから誰も逃がさないけどね。


「てっ! てめぇ! 人質がどうなってもいいってのか!」

「殺す! マジ殺すけぇのぉ!」

「やってやらぁぁぁーー!」


はい無理『狙撃』


どう考えてもこいつらがナイフを振るうより私の魔法の方が早い。とりあえず目の前の盗賊は全員殺した。


『解毒』


どんな毒かは知らんが死汚危神だいおきしんほどではないだろう。


「とりあえずみんなで固まっておいてくれるかな。盗賊を片付けてくるから。」


「は、はい!」

「あ、ありがと……ござ……」




村人は何人かいた。とりあえず全員を一ヶ所に集めて尋問開始。私には村人か盗賊かの区別がつかないもんな。




拷問と契約魔法で尋問した結果、生き残っていたのは全員盗賊だった……村人は若い女性以外全員殺したそうだ。アレクとアイリーンちゃんが無傷だったのは売り飛ばす予定だったからだと……

その他の女性は自分達の慰み用。その上で売れるなら売る予定だったと……


そして許せないのが……


「ロザリー、レジーヌ。やってくれたわね。その程度の浅知恵で……」

「レジーヌ……お前のことは友人だと思っていた……そんなにも首席に拘っていたとは……」


この女どもが黒幕か。まあ盗賊を利用しようとしたら逆に利用されたのか。ざまぁないな。


「ふん! あんた達みたいな才能がある女には分からないのよ! 私達がどんな思いでここまで来た『狙撃』


「カース君! 何を!」


「何って? もう用はないよね? アレクを殺そうとした時点でこいつは生かすつもりはないし。だからこれ以上聞くこともない。というわけで妹も死ね。」


「ま、待ってく『狙撃』


もちろん待たない。さて、一応生かしておいた盗賊達はどうしよう。もう殺してもいいけど証人は証人だしな。小銭稼ぎにもなることだし生かしておこうかな。


さて問題は……明日の朝まで領都に帰れないんだよな。さすがにもう城門は閉まっているだろう。せっかくのマーリンの料理が……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る