第562話 昼下がりの食事

昼休憩、私達はソルダーヌちゃんの招待に応じ移動した。私達がいた部屋は五人部屋だったが、こっちは十人部屋か。さすがに最上級貴族は違うな。


「ようこそ。あら珍しい。『才媛サンドラ』に『猛虎スティード』じゃない。久しぶりね。」


「どうも、お久しぶりです。恐縮ですわ。」

「失礼します。サンドラに付いて来てしまいました。」


室内にいたのはソルダーヌちゃんとエイミーちゃん。そして自称サンドラちゃんのライバル、イエールちゃん。あとは護衛が数名だ。


「いいタイミングで呼んでくれたわね。ちょうどお昼をどうしようかと考えていたところよ。」


「それはよかったわ。見に来るって聞いてたものだから。カース君とコーちゃんもようこそ。ペイチの実もあるわよ。」


「いつもありがとね。喜んでいただくよ。」

「ピュイピュイ」


そしてランチタイム。

サンドラちゃんとイエールちゃんは何か難しい話をしている。スティード君は置いてけぼりだ。

私は両サイドをアレクとソルダーヌちゃんに挟まれてしまった。はいあ〜ん攻撃はないものの少しプレッシャーを感じてしまうな。




「カース、眠いんじゃないの?」


そうなんだ。お昼を食べたらお昼寝タイムなんだ。アレクの膝枕が欲しいんだ。スティード君だって眠そうだ。しかし、いくら傍若無人な私達でもこんな貴賓室で雑魚寝はしにくい。


「いや、そうでもないよ。お腹いっぱいになったことだし戻ろうか。」


痩せ我慢だ。


「そうね。御馳走様。おいしかったわよ。」

「ピュイピュイ」


「ここにいればいいのに。おやつだって用意してあるんだから。」


「ありがとね。でもせっかくおじいちゃんが用意してくれた部屋だからさ。」

「そういう訳よ。ソルは明日も見るの?」


「残念だわ。ええ、明日も用意しておくからお昼には来てよね。絶対よ。」


「そう、ありがたく呼ばれるとするわ。悪いわね。」


そう言ってこの部屋を退出した私達。


「意外だったわね。」


「え? 何が?」


「ソルよ。カースが戻るのなら自分も付いて行くぐらいは言うかと思ったら。」


「こっちの部屋は狭いからね。ソルダーヌちゃん一人ならギリギリ入れるけど。」


「まああの子も色々あるものね。来客だってあるでしょうし。」


実際にはソルダーヌちゃんが来るとなるとエイミーちゃんだって来るだろうし護衛だって来る。それはさすがに入りきれない。

部屋に戻ると中にはシャルロットお姉ちゃんが一人きりだった。まあ護衛もいるけど。


「ただいま。あの二人はどうしたの?」


「ウリエンさんの所よ。きっと大変なことになってるわよ。だから私はここでお留守番てわけ。」


あー、王太子の二女も兄上を狙ってるんだったか。見に行きたいけど、もう昼休憩も終わるしな。


「お姉ちゃんが知る限りだと、今兄上を狙ってる女の子って何人ぐらいいるの?」


「そうね。まずは姉上とエリ姉と王太子殿下のご息女、ティタニアーナ様で三人でしょ。それからアジャーニ家のオウタニッサ様、大公家のデルフィーヌ様ぐらいかしら。トライA関連はエリ姉が全滅させちゃったからもういないと思うわ。その他の法服貴族系も全滅ね。市井にもたくさんファンはいるとは思うけど。」


面子が凄すぎる……

姉上がぶっちぎりで最下層じゃないか……

大丈夫なのか? いくら姉上でも……

無理に兄上を独占しようとせずにハーレムを作らせるとか妥協できないのか? できないんだろうなぁ……難儀な姉だ。かなり身の危険が危ないデンジャラスだ。むしろ私が姉上のとばっちりで狙われることを心配するレベルだよな?




『皆さまお待たせいたしました! 午後からも張り切っていきましょう! それでは三回戦を行う前に! 敗者復活戦を行います! 二回戦の敗者は三分以内に武舞台に上がってください! 急げ!』


またこのパターンか。いきなりだよな。何人選ぶんだろう?


『残り五名になるまで戦ってください! 始め!』


二回戦の敗者は二十七名。武舞台に上っているのは二十名ぐらいか。意外と割りのいい敗者復活戦なのかな?


『試合終〜りょ〜う! 以上五名を含めて三回戦の抽選を行います!』


これで三十二名で三回戦か。きりがいい数字だな。兄上がんばれ!





姉上のうるさい歓声を経て、兄上は勝ち上がった。もちろんレイモンド先生や他の無尽流の人も数人ほど勝ち上がっていた。みんな瞬殺だった。やはりレベルが高いな。いよいよ決勝トーナメントか。がんばれ兄上!

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