第443話
楽園に帰り着いた。トビクラーの焼肉を始める前に、鉄板焼き用のミスリル板を作ろう。
辺境開拓記念パーティーの時のミスリルの削りカスをしっかり集めて固めておいたからな。半径三十センチぐらいの円板ぐらいなら作れそうだ。
できた。
しかし作ってから気付いたが、フライパン代わりなのだから表面は鏡のようにツルツルであるべきだ。または脂が流れやすいように波打っていた方がいいのか。
今度研ぎに出そう。もしくは発注だな。ミスリルのフライパン、美味しい料理ができそうだ。
さあコーちゃんにカムイ、どんどん焼くからしっかり食べるんだぞ。
「ピュイーピュイー!」
「ガウガウガウ!」
ふふふ、美味しいのか。魔力もしっかり込めたしな。私も食べよう。
やはりトビクラーの肉はオークとは別格だな。脂っぽくなく、旨味がダイレクトに伝わってくる。問題は塩味しかないってことだ。
先生の料理は色んな調味料、香辛料などを使いバリエーション豊かな味わいだった。
私は岩塩しか持ってないから素材そのものの味か塩味でしかない。そりゃあ確かに旨いけどさ。よし、次回領都に行ったらあれこれ仕入れておこう。美味しい料理を作るんだ。香辛料とか高いんだろうなー、南の大陸からの舶来品って聞いてるし。
何にしてもお腹はいっぱいになった。少し寝てから作業開始と行こう。
よく寝た。すっきりだ。
よーし、今日の作業は東西の石畳敷設だ。石切は終わっているので、並べるだけだ。コーちゃんとカムイはお互いの尻尾を捕まえるゲームをしているようだ。楽しそう……
夕方までに西側が終了。晩御飯にしよう。ついさっき昼ご飯を食べたような気がしたが……気のせいか。
夕食後はカムイにフリスビーを投げてもらう。そう、心眼の稽古だ。
しかし、やってみると……稽古にならなかった。カムイの投げるスピードは遅く、しかもフリスビーは大きいので暗闇でも簡単に捉えることができてしまう。
そこで次のアイデア。
小石を数十個ほど上空に飛ばし、そこから落ちてきたやつを斬るなり避けるなりしてみる。
これはいい! 暗闇の中を落ちてくるわけだから全然見えない。スピードも中々速い。これなら十分稽古になりそうだ。真剣で石を狙うなんて刃こぼれが怖くて気が咎めるが、先生の教えなので刃こぼれ上等で気にせず励もう。
楽園では夜にすることがないので、修行にはもってこいの環境だったりする。曇ってたら本当に真っ暗だし。もうすっかり夏なのに、この城壁内は虫がほとんどいないことも嬉しい誤算だ。水源が何もないからだろうか? 雨が少ないもんなー。寝よ。
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