第301話
どうしたコーちゃん!?
コーちゃんは斜め上空を向いて鳴いている。何がいるんだ?
いない!?
でも警戒、自動防御をしっかり張っておく。
あれか!? 上空から何かが飛んできた。
「あの魔物は何?」
「ぬあっ! 灰色の羽毛!? 鉤のように曲がった嘴!? 白く輝く鋭い爪!? ありゃラセツドリ!? ヤバいですぜ! すぐ仕止めてくだせぇ!」
速そうだ。ならば『狙撃』
くっ避けやがった! そのまま突っ込んで来やがる……ならば『火球』
避けない? 突っ切りやがるのか……
それは……甘いな。
下からの弾丸が奴の胴体を貫く。
火球に突入して無傷なのは褒めてやる。
しかし一瞬視界が閉ざされた隙に、先ほど外した弾丸を奴の死角から打ち込んでやった。
当然リサイクル可能だからな。
トドメだ! その弾丸で今度は上から頭を貫く。
さすがに死んだだろう。風壁に閉じ込める。動きはない。風壁に小さい穴を開け、手を入れて収納。よし、死んでた。
「危なかったねー。あの勢いで来られたら防御を突破されてたかも知れないよ。コーちゃんありがとね。スパラッシュさんもありがとう。助かったよ。」
「さすが坊ちゃん! あいつは小さい割に厄介な魔物なんでさぁ。目玉が好物なんだとか。目玉を目掛けて一直線に突っ込んで来るもんで腕に覚えがある連中なら楽勝なんでさぁ。そうでない奴らは目玉ごと頭を貫かれて終わりでさぁ。」
なるほど、達人は簡単にカウンターが取れるわけか。
あの速度に!? 私には無理だ。
あー、怖かった。隠形が効かない魔物もいるのか。一メイル程度の大きさだけに気配に敏感とか?
よし、この勢いで行こう。
『火球』
『火球』
『火球』
丸ごと灰にするわけではない。
先ほどマギトレントの場所はチェックしたので、そこ以外と枝葉を燃やしてしまうのだ。そうすればスムーズに倒せると見た。
ただし他の魔物が来ないうちに済ませなければ。急ごう。でも焼けるのを待たなければならない。もどかしい!
待つこと十分。まだ焼けている最中だが待ち切れない。風壁を厚めに張って地表に降りる。
マギトレントは慌てて枝を振り回したり、水の魔法を使っているようだ。すごく悪いことをした気分だが『金操』
構わず根元を切り倒す!
枝葉がかなり燃えたため、簡単に倒れてくれる。潰されたら即死だな。注意せねば。
倒れたマギトレントの枝を刎ね真ん中から二等分、明らかに二十五メイルより長いのでせめて半分に切らないと収納できないのだ。
スイスイと伐採は進み合計六体分のマギトレントをゲットした。
「よし! スパラッシュさん帰るよ!」
スパラッシュさんは周辺から湧いて出る雑魚魔物を狩ってくれていた。さすがだ。
「合点で!」
高度を上げたら消火をしよう。
『水球』
こんな魔境で消火の必要があるとは思えないが、一応ね。
さすがに魔力を使い過ぎた。魔力ポーションで回復しておこう。あー不味い。魔力ポーションは高いほど不味い。
大物が来るのを待ちたい気持ちはあるが安全第一だ。
全速力でクタナツへと向かう。
帰りにスティクス湖に寄ろうと思ったが無視だ。無事に帰ることが最優先だ!
夕方には帰れるはずだ。
「いやー、無事でよかったね。スパラッシュさんの指示が適切だからいつも助かるよ。」
「いやいや、坊ちゃんの腕があってこそですぜ。飛んでるラセツドリを撃ち抜くなんてさすがでさぁ。」
「一発目を避けられたのは驚いたね。素直にたくさん撃てばよかったよ。」
コーちゃんもピュイピュイ言ってる。帰ったらラセツドリを食べるかな? このサイズならマリーも解体できると見た。
今夜はご馳走たーい。
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