第296話

ミスリルボードが完成してから数日後、ギロチンの製作に着手することにした。

要領は分かった。魔力も充実している。

いける!


さて、まずは加熱。

金操で浮かせたままどんどん温度を上げる。

同時に魔力も通す。

そして圧縮魔法で平らに加工。

今回は厚さ五センチ。形は台形。

台形の斜辺部分がギロチンの刃となる。


さて、台形への加工は済んだ。

魔力もまだ六割は残っている。ここからだ。


斜辺部分をさらに加熱し鋭い片刃になるよう金操をかける。先端の角度が三十度以下、できれば二十五度ぐらいになるよう調整する。あまり角度が鋭いと脆くなりそうな気がするので。その辺りは知識がないので感覚だ。


できた。


上底一メイル、下底二メイル、高さ一メイルの台形だ。ギロチンってよりは巨大な切り出し刀、またはカンナのようだ。

刃の断面もほぼ予定通り、先端が二十五度ぐらいに仕上がった。後はこれを研ぎに出せば完成か。いやいやまだだ。


台形の高さに当たる所、刃部分の反対側が残っている。こちらはノコギリに加工するのだ。

少し面倒だが四角錐になるように加工する。『魔切』をかけたナイフで削り落としていく。かなり面倒だ。しかも目の前まで近付いているので熱い。しかしこれは細かい作業なので手でやるしかない。

ナイフを金操で動かしてもいいのだが、魔力が足りなくなりそうなのだ……


どうにかできた。

下はギロチン、上はノコギリなーんだ。


ノコギリってより出来の悪いヤスリのようだな……

恐ろしい武器を作ってしまった。少々切れ味が悪くても相手が人間ならクチャっといってしまいそうだ。


上底、下底部分はハンマー代わりにもなるし。


さて、研いでもらうのにいくらかかるかなー。




一番街、防具屋ボーグの向かいの鍛冶屋『ラジアル』

アレクがナイフを頼んだのもここであるし、私もミスリルナイフはここに頼んだ。


「こんにちは。」


「へいらっしゃい! おっ、坊ちゃん!」


「研ぎをお願いしたいんです。物はこれです。ここの刃部分とノコギリ部分ですね。」


「はぁーこいつはまた……厄介そうだね。金貨二十枚はかかると思うよ。いいかな?」


「いいですよ。いつ頃できますか?」


「二、三日かな。お金はその時でいいよ。」


こうして研ぎの注文は終わった。何とかアッカーマン先生が到着するまでにマギトレントを狩りに行きたいのだが……

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