第288話

夏休み。

特筆することはないが、みんなそれぞれ頑張っているようだ。パイロの日だけはみんなで集まって遊んだりお茶を飲んだりした。サンドラちゃんがお金を持ってないので、お茶は誰かの家だ。


そのサンドラちゃんの愚痴がすごかった。

「何なのよあいつら! そりゃ親がいなくて大変なのも寂しいのも分かるわ! だからって盗んでいいわけないでしょ! 全然会話にならないのよ!?」


サンドラちゃんによると孤児院の仲間達は……

・すぐに嘘をつく。意味があるものから無いものまで。

・すぐに盗む。使い古しのノートから下着まで。盗んだ物は絶対返さない。自分のだと癇癪を起こしてこちらが根負けするまで駄々をこねる。

・マウンティングしてくる。マウンティングという言葉はないが、やたら新入り扱いしてきて雑務を押し付けてくる。

・有る事無い事を院長に告げ口する。院長も承知はしており聞くだけで何も応対はしない。

・弟達は毎日泣いている。

・誰も勉強しない。


聞いてるだけでうんざりしてくる。

ファンタジーあるあるとしては孤児院では強欲な院長が補助金を私的に流用していたり、食事にも事欠く有様だったりする。それらはクタナツでは有り得ないためにその分子供が増長してたりするのだろうか? 私には分からない……


サンドラちゃん達姉弟は三人で一部屋を与えられたことも嫉妬を買っているらしい。通常は四人で一部屋だからだろうか? ほとんど変わらない気がするが。


二組には何人か孤児院在住の子がいるらしいが付き合いはないので、考えが分からない。彼らは何がしたいのだろうか。


当然サンドラちゃんは魔力庫が使えるので盗難の被害はない。しかしその分弟達が目を付けられているらしい。子供の世界も過酷だな。




通常ならば貴族が孤児となった場合、祖父母または親戚に引き取られる。しかし今回のような場合は誰も引き取りたがらない。そのため孤児院行きとなった次第なのだ。サンドラパパは一生奴隷だろうし、ママも五年は奴隷だろう。両親が奴隷である間は誰も引き取ってくれないだろう。当然かも知れないが世知辛い。




ちなみにセルジュ君はサンドラちゃん用にお姉さんのお下がりの服をいくつか用意していた。私は弟君用に私のお下がりを持ってきてある。

このメンバーならこれからも中古がたくさん出そうなので、きっと役に立てることだろう。

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