第273話

週末、デメテの日の早朝。

私はスパラッシュさんと待ち合わせてヘルデザ砂漠に飛び立った。


「聞きやしたぜ、坊ちゃん。あの二人にお灸を据えていただいたとか。」


「あの二人? いきなり絡んできた馬鹿な二人?」


「ええ、そいつらでさぁ。オウエスト山でお会いした時に連れてた内の二人でさぁ。」


「あー、あの時の! あの二人やばいよ!? ゴレライアスさんにもケンカ売ってたよ? 剣鬼さんがバックにいるとか言ってたし。」


「見下げ果てた奴らでさぁね。最近あんな奴らが増えてるせいでアンデッドも増えてるんでさぁ。開拓で賑わうのはいいんでやすがねぇ。」


「あー、この前の鍛錬遠足でアンデッドには苦労させられたよ。弱いけどしぶといんだよね。」


「でがしょ? あんな奴らが魔物を倒して放ったらかしにするもんで、アンデッドも上級魔物も増えてるんでさぁ。」


なるほど。許せんな。マナーは大事だってのに。


「おっ、この辺りですぜ。じゃあ吹きますぜ?」


風壁解除。

暑い!


前回同様澄んだ音色が響き渡る。この笛をクタナツで吹いたら大惨事なんだろうな。


およそ二分後。

現れたのは、ヴェノムスコルピオン、サンドワーム、サンドゴーレムと大物とは言えない面子だった。ヴェノムスコルピオンは初ゲットだが。


「来やせんね。場所を移しやしょうか。」


それからスパラッシュさんの指示に従い東に移動した。そこでまた笛を吹き鳴らす。


しかしロクな魔物が来ない

小さい蠍系や蛇系、ゴーレム系しか来ない。


「今日は当たりやせんね。昼飯にしやしょうかい?」


「そうしようか。じゃあ食べる間の待ち時間に餌でも撒いておくよ。」


『土塊』

『土塊』

『土塊』


最近全然出番のない、土を出すだけの魔法だ。砂の上に大量の土を出したからここだけ農業ができるかも。無理だな。水がない。

高度を上げて、さあ弁当だ。

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