第238話

弁当を食べた後、私達は蛇の魔物を求めて東に移動した。

灼熱地獄の砂漠をここまで気軽に移動するなんて。ズルをしてるような気分になるな。


五分後。

「この辺りでさぁ。準備はようがすか? 吹きますぜ。」


「いいよ。お願い。」


やはり澄んだ音色が響き渡る。




砂が起き上がる。これは……


「サンドゴーレムでさぁ。魔石しか価値が無いくせに魔石を狙わないと倒せねぇ、嫌な魔物でさぁ。」


金操なら一発だが、ここでそんなことをしたら死んでしまう。

よし、砂だから……


『風球』


しかし球ではなく、中空の円柱型で魔石をくり抜くようにぶつけてみる。

よし、魔石が落ちそうだ。もう一発。


『風球』


魔石が落ちた!

すかさず風操で拾いあげる。

サンドゴーレムは体を維持できずにサラサラと崩れてていく。


「さすが坊ちゃん! そんな方法がありやしたか! お見それしやしたぜ。」


「いやーうちの妹の魔法を参考にしたんだよ。まだ四歳なのにすごい魔法を使うんだ。」


もう次が来た!


「ジャイアントスコルピオンですぜ。弱い毒しかないんでやすが何せでけぇんで。」


『水球』


奴の全長は十三メイルぐらいかな。巨大な水球に閉じ込めてしまおう。さっきのヴェノムスコルピオンはノヅチに吸われてしまったから、こいつはゲットしたいな。


「まだまだ来やすぜ!」


蠍系がゾロゾロ来た。

まとめて水壁に閉じ込める。


「おっ、ようやく来やしたぜ。エビルパイソンですぜ。魔石は頭でさぁ。スパっとぶった切ってやっておくんなせぇ。」


となるとギロチンかな。

あれから鉄ボードの端を一ヶ所だけ鋭く加工しておいたのだ。


まずは動きを止めて……

『水壁』


頭だけ出してある。

抜け出さないうちに……

『金操』


スパっと首を切断できた。

やはり切り口が汚い。切れ味が悪い鉄ボードで無理矢理ぶった切ったからか……


急いで収納しようと思ったが、まだ胴体も頭も暴れてやがる。


「坊ちゃん! まだ来やすぜ! 大物、エビルパイソンロードですぜ!」


でかい!

さすがにノヅチ程ではないが。


『金操』


鉄ボードを首に叩き込む!

うわっ、弾かれた!


「坊ちゃん! 奴の外皮は中々頑丈ですぜ!」


うーん、と言ってもこれより硬い刃物なんかないしな。やはり固定して角度に気をつけて……


『水壁』


くっ、でかい上に力も桁違いか……中々抑え込めない。


ならば頭にも『水壁』


そして水壁と水壁の隙間に鉄ボードを全力で落とす! まさにギロチンだ!


切れた!

それでもやはり切り口は汚い。スパっときれいに切り落とすにはどうしたらいいんだ?


やはりまだ暴れているので収納できそうにない。


それからゴーレムや蠍などわらわらやって来た。さっきもノヅチが来なかったらこうやってたくさん来たんだろうな。


そろそろ日没も近い。

魔力も半分以上なくなったかな。

大物ワームの魔石は一つしかないが、大物蛇の魔石は三つゲットできた。

素材もどっさりだ。これでまた服が作れそうだ。


「じゃあグリードグラス草原に行こうか。暗くなっても大丈夫?」


「へえ、日没後は普通動かないもんですが、坊ちゃんなら関係ないでさぁね。」


「よーし、じゃあ行こうか。方向を教えてね。」




そしてわずか一時間後、グリードグラス草原に到着。もうすっかり暗くなってしまった。


「暗いけどイービルジラソーレの居場所は分かる?」


「大丈夫ですぜ。あいつらは群生してるんでさぁ。簡単に見つかりやすぜ。」


スパラッシュさんの言う通りに動いたらすぐ見つかった。


イービルジラソーレは巨大な向日葵の化け物だ。近付くと種を飛ばして攻撃してくる。

タチの悪いことにその種が体に入ってしまうと五分ぐらいで根を張ってしまう。そうなると手遅れ、恐ろしい魔物だ。


しかし現在は夜。やつらはほとんど寝ているように動かない。


「坊ちゃんの鉄の板で根刮ぎ刈り取ってやってくだせぇ。」


鉄ボードを地表付近を滑らせる。蛇に比べたら簡単に切れる。ざっと十数匹をゲット。


「さすがでさぁ。クタナツには入れやせんから野宿しますかい?」


「いや、バランタウンに行こうよ。あそこなら泊まれるよね?」


「そうでやした。坊ちゃんなら近いもんでさぁね。」


「じゃあ方向をお願いね。」


どうやら危なげなく宿をとることができそうだ。

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