第153話

そんな日々の合間、ギルドにて。


コカトリスの件でもめた冒険者達だが、リーダー以外の三人は個別に金を持ってきた。ギルドの受付に渡してもいいのに意外だ。

確実に返済して契約魔法を解除して欲しかったのだろう。実際は個人魔法だが、そうそうバレることもないだろう。

ところが、奴らは利子の計算もできないらしくいくらか足りなかった。十日後にするか今すぐ払うか迫ったらその足で装備を売って払ってくれた。ますます意外だ。

何よりあんな低級冒険者がよく金貨四枚半も都合できたものだ。


リーダーのスコットは立ち合いの日以来会っていない。だから借金額が減ったことも伝えていない。他のメンバーも伝えてないのだろう。全員が自分に借金を押し付けてパーティーを抜けたとでも思ってそうだ。


奴はあの日、他のメンバーによって身包み剥がれた訳だが、どうやって生きていくのだろう。

いくら犯罪に厳しいクタナツでも気絶してる間に盗まれてはどうしようもない。

人望があれば追い剥ぎ犯が捕まったかも知れないのに。


ギルド内で剣を抜き、間抜けにも自分の足を刺してしまった上に子供に負けて借金まで背負わされた。生きていけないレベルの恥辱だ。そりゃメンバーも見捨てるわな。


スコットについては当分放置する。

金貨四枚の借金がどこまで膨れ上がるか楽しみだ。どうせ逃亡したのだろうし。

表計算ソフトがあれば簡単に計算できるのだが、地道に手で計算するとしよう。



あっ、この前の先輩だ。

名前はゴレライアスさん。確か三十八歳、五等星だったかな。


「お勤めご苦労様です! この前はありがとうございました!」


「おぉオメーか。きっちり回収したのか。やるじゃねーか。」


「いえ、まだです。スコットでしたっけ? あいつの分が残ってるんですよ。しばらく放っておくつもりだからいいんですけどね。」


「俺も身に覚えがあるけどよぉ金は借りるもんじゃねーよな。オメーは問題なさそうだが、気ぃつけとけや。」


「押忍! ご忠告ありがとうございます!」


先達のお言葉は身が引き締まるぜ!

気をつけよう。


現在のカード残高、金貨二十三枚。

手持ちは銀貨、銅貨が数枚。

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