第134話

翌朝、いつも通り起きて学校に行く。

いつもと違うのは大人しく馬車内に座っていることだ。


「いってらっしゃいませ。」


マリーが声をかけてくれる。

気が重い。帰りたい。

くそ、もしかしたら小学校を休むクソガキ達もこんな気持ちだったのか。

もしそうだとしたら私はますます休むわけにはいかない。あんな身勝手な生きるゴミと同列になるわけにはいかないのだ。


「おはよう。顔色が悪いわね。」


サンドラちゃん……

あぁ短く切り揃えた金髪が今日も知的だ。


「おはよう。こんな時でも学校に来る僕ってやっぱり青春だよね。」


「おはよう。結局昨日の魔法の正体を聞いてないよ。昼休みに教えてよね。」


セルジュ君……もちろん教えるよ。


「おはよう。剣鬼様の話がまだ途中だからね。きっちり聞かせてね。」


スティード君……もちろん聞いてもらうよ。


「バカース! 今週末はうちに来なさい!」


「うちって? アレックスちゃんの家? それは嫌だよ。」


「えっ? 嫌なの!?」


いかん! アレックスちゃんが泣きそうだ!

つい反射的に言ってしまったが、騎士長の家だぞ? 行きたくないに決まってるだろ!


「いや、そんなことはないよ。ついうっかり本音が出てしまっただけなんだよ。みんな行くよね?喜んで行くさ。」


「あーごめんなさい。私は今週末は用事があるの。」

「僕も遊びに行く約束があるから。」

「僕も父上に新しい剣を買ってもらう約束なんだ。」


くそ、みんな上手く逃げやがった!

私一人で行くのか!?


「じゃあカースは来てくれるのね?」


「う、うん。喜んで行くよ。」


「じゃあデメテの日の昼前に来なさいよ! お腹を空かせて来るのよ!」


くっ、絶対アレックスパパがプレッシャーかけてくるパターンだろ!

うちのアレックスは渡さん! とか言うんだ。

こうなったら育ちの悪い子供だと思わせて、二度と来るな! と言わせよう。

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