第83話 代表選考

そして代表選考当日。

学問は各学年の代表三人が同じテストを受けるため優劣が分かりやすい。


魔法と剣術は分かりにくい。

まずそれぞれが先生と対戦する。次にリーグ戦で全員が対戦する。

最後に巴戦を行う。

この三つの戦いの総評で代表者を選出することになっている。


その結果、サンドラちゃんが学問で代表に選ばれた。

魔法と剣術は五年生にただ二人の上級貴族が選ばれた。

スティード君とエルネスト君は二位なのか三位なのか分からない。一位以外は大した差はないということで公表されていないのだ。


改めて思ったが私の学年は上級貴族が五人いるが、これって多くないか?

五年に二人、四年に一人、二年にはおらず、一年にも一人だと聞いている。

まあ偶然だろう。


さて大会本番は一ヶ月後、参加者の出発は二週間後、本番一週間前に着く予定らしい。

それまでサンドラちゃんに勉強でも教えてあげたい気持ちはあるが、すでに彼女の方が成績が良い。

国語の読解分野ならまあまあ勝てるが、神代文字の読み書きでは勝てない。

算数は楽勝なので除外。

社会は全然勝てない、彼女は相当しっかり勉強している。五年生に勝つのも当然なのだろう。

よって算数だけは教えてあげられるが単元が分からない。何をどこまで教えればよいかが分からないのだ。前世の中学・高校のように範囲が公表されてないためだ。

もしサンドラちゃんが聞いてきたら教えよう。


勝負科目は、

・国語

・算数

・社会

・その他

ということだけは分かっている。


その他って何だ?

魔物の生態とか?

長旅だし無事に帰ってきてくれればそれでいいんだけど。


ちなみにサンドラちゃんはすでに割り算ができるのだが、かけ算・割り算に何かコツはないか相談があった。

だから倍数・約数・素数・素因数分解について教えておいた。

もしこれを現代日本で小学生に教えようとしたら二週間はかかる、五年生にだ。授業時間で言えば十から十五時間ぐらいだろう。


サンドラちゃんは四時間で終わってしまった。一対一で集中的に教えたことを差し引いてもすごい理解力、さすがだ。

勢い余って指数まで教えてしまった。

これは算数でも数学でも抜かれる日が近いのかも知れない。


はっ!?

そういえば金貸しにとって対数は必須!

負けるわけにはいかん!

追いつかれないよう頑張ろう。

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