第21話 補助魔法使い、服のお披露目会をする
お風呂を済ませ、夕食を頂き、僕たちは部屋でゆっくりすることにしました。
明日には村を出る予定なので、休める時に休むのは大事ですよね。
そんな訳で、部屋で服のお披露目会になったのですが……。
「ユアン、この下着もつけて」
「嫌ですよ!」
シアさんの着せ替え人形にされそうになってます。
ちなみに、胸に巻いていた布は卒業しました。パンツも含め、新品を穿いています。
最初は付け方がわからずに、手伝って貰いましたが、もう大丈夫です。
「部屋着なら兎も角、下着を目の前で着替えるのは恥ずかしすぎます!」
「……わかった、部屋着みたい」
「わかりましたから、一応あっち向いていてくださいね」
シアさんに服を買って貰ったので断る訳にはいかず、僕は服を着替えます。だけど、女の子同士とはいえ、着替えをマジマジと見られるのは勘弁です。
「どう、ですか?」
「可愛い」
魔法道具の服はすごいです。着る時に魔力を流すと本当に自動で大きさを調整してくれました。
意志と連動しているようで、ゆったり着る事もぴったりと着る事も可能のようです。
もちろん尻尾穴も作れるので尻尾も自由に動かせます!
「すごいですねー」
自由に尻尾が動かせるのが嬉しくて、つい尻尾を振ってしまいます。今日も一日窮屈な思いをさせてしまったので、サービスです。
「黒も見たい」
「わかりました」
次は黒色の部屋着に着替えます。
「色が違うだけですね」
「でも、似合う。可愛い」
シアさんは何を着ても同じことを言いそうです。シアさんに褒められるのは嬉しいですけどね。
最後に、水色を着てみますが、僕には少し似合わない気がします。
「そんな事ない、可愛い」
「もぉ、シアさんそれしか言わないです!」
「事実。可愛いものは可愛い」
「むー……。それじゃ、次はシアさんですね!」
「わたし?」
「はい、これ。僕のお金ではありませんが……サービス品で選びました。シアさんに着て貰いたいです」
「ユアン……」
シアさんが目を潤ませて、すごく嬉しそうにしてくれています。それだけで、僕も嬉しいです。
「……。私には似合わなさそう」
「そんな事ありませんよ! きっと似合います」
包みから服を取り出すと、シアさんは困った顔をしていました。
それでも、僕がプレゼントしたからか、ちゃんと着てくれました。
「スカート……初めて」
「シアさんは足が長いのでいい感じですね。スカートもっと短くてもいいかもですけど」
「こんな感じ?」
膝下から膝上までスカートが短くなりました。
「もうちょっと……ですかね?」
「これは、短い」
太股あたりまで、スカートが短くなりました。
「僕はそれくらいがいいと思いますよ!」
「ユアンがそう言うならそうする」
流石にこれ以上は危ないですからね。しかし、こういった服はいつ着ればいいのでしょう。
「普段着にするから平気。ユアンが選んでくれたからそうしたい」
「ですが、危ないですよ」
「前と大して変わらないから平気。もともと防具はつけないから」
「そういえば、そうでしたね」
「ユアンもローブだけ、変わらない」
僕は防御魔法がありますからね。
ギルドで見かけた冒険者もそうでしたが、基本的に動きやすい軽装の人が多かった。
騎士とかと違い、山や森など動きを制限される場所での依頼も多いですからね。そこで、フルプレートなどの重装備は却って危険ですから。
そう考えると、最低限の防具をつける冒険者としてはありかもしれません。僕の防御魔法でシアさんも守れますし、実際にスカートを穿いた冒険者もいますからね。
「けど、スカート捲れそうですね」
「ユアン、変態」
「ち、違いますよ! 見たい訳ではなくて、シアさんの下着が他の人に見られるかもって事です!」
「大丈夫、対策はしてある」
シアさんがスカートを捲ると、その下には下着ではない黒色のズボンが穿かれていました。
「それなら問題なさそうですね」
「うん」
お披露目会も無事終わり、シアさんは部屋着に着替えてしまいました。少し残念ですが、明日から見る事が出来るので我慢します。
「そういえば、シアさんのポーチは魔法道具だったんですね」
「うん。小さいけど便利」
「ちょっと、見せて貰えますか?」
「うん」
シアさんからポーチを受け取り、ポーチに魔力を流す。
「一般的な物ですね」
「そう。大きいのは高い。これで十分」
しかし、改良の余地はありそうですよ!
皮には魔法文字が刻まれています。その細かさや意味などで効果は変わります。それは、作り手の技量を表すのと同じ……つまりは、その魔法文字に手を加えれば……。
「出来ました!」
改良できれば、僕の技量が上回ったという事、僕の勝ちですね!
「うん?」
「シアさん、ちょっと使ってみてください」
「うん……大きくなってる?」
「後、2階層に増やしてみました! 今までよりも深く手を入れればそこも収納として使えますよ」
「ユアン、すごい」
「えへへ、実はこういうの得意なんですよ。素材が良ければもっと大きくできますけどね」
「ううん。十分」
「後、魔力を流しながら収納すると袋の入り口よりも大きなものを入れる事が出来るようにしておきました!」
「すごい、便利」
魔法収納と違い、魔法道具は基本的に入口よりも大きい物は収納できません。しかし、そこに入口と収納先の次元を繋げれば大きなものも収納できるように出来ます。簡易版の転移みたいなものですね。
人の転移は今の所出来ませんけどね。
「ただし、時間は経過してしまうので気を付けてくださいね」
「うん、ありがとう」
「いえ、色々買って貰ってしまったのでそのお礼ですよ」
それに、次元魔法は扱いが難しいので理論は解析できていません。僕の魔法収納がどうして時間を経過しないのかはわかりません。
知識があって魔法が使えても、あくまで魔法を扱う為の知識であって、どうしてそうなるかはわかりませんからね。
解析はしていますが、次元魔法の解析はまだまだ甘いです。
それでも、シアさんに喜んで貰えて良かったです。
「それじゃ、そろそろ僕は寝ますね」
「うん、寝る」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
ベッドに潜り込むと、シアさんまで潜り込んできます。
「あの?」
「ユアンが落ちない為の処置」
「そんな毎回落ちませんよ」
「そう……」
残念そうにシアさんは自分のベッドに戻っていきます。それに、折角広いお布団なのに勿体ないですからね。
毎日、宿屋に泊まれる訳ではないので、シアさんにも堪能してもらいたいです。
その後は、ぐっすり眠る事が出来ました。
しかし、翌朝には一緒に寝ていました。
シアさんは、僕がベッドから落ちたからと言っていましたが、僕には記憶がありません。本当に落ちたのでしょうか?
それでも、シアさんがぬくぬくと温かくてそのまま眠ってしまいましたけどね。
ちょっと暑いとも思いましたが、許容範囲です。
何よりも2度寝の心地よさには敵いませんから。
そんなこんなで僕たちは出発の朝を迎えました。
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