ひいらぎ

作者 さくも

50

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★★★ Excellent!!!

「切ないよ。終わっちゃうこと考えたらね」

あらすじにもある通りのそのセリフに、先の未来を見据えた柊の感情を想像して、私は胸が雑巾のように絞られてしまったようだった。ギュッ、と感じるこの痛みを、柊も感じていたのだろうか。
主人公を通して語られる柊の姿に、私は思わず自分を重ねてしまった。あまりにも、女性として共感せずにはいられなかったし、ありありと彼女の姿、感情が思い浮かぶような素晴らしい描写だったせいもある。


「あたしは、ユウキにも好きに生きて欲しいよ」

愛、とは。なんだろうか。柊は一種の答えを出している。そう考えた時に、「私はどうだろうか」と、ふと思った。
圧倒的な切なさと諦め、絶望と僅かな希望が静かに語られ、そしてあなたの「愛」そのものの姿を問われる、読んで損は無い小説だ。

★★★ Excellent!!!

なぜだろう。僕は、この小説にとあるイメージを持った。その正体は、日曜日の昼下がりのカフェ。そこでゆっくりとコーヒーを飲みながら、この小説を読んでみたい。そんな気分になる。
この小説は、時間の流れがゆっくりだ。というのは、はっきりとした事実ではなく、僕がそう感じているだけなのだが。
そして、柊が口にする一言一言に、哲学が含まれている。
「純愛ってなんなんだろうな」
深い。深すぎる。
そして、ここまで深い小説を短編で書くことも高評価。恋愛というより、純文学要素の強い作品だと思った。
日々を怠惰に生きて目的を見失っているのを踏まえて読むと、それぞれの会話が、世間に対する柊のエゴのようにも感じられる。
疲れた心にそっと寄り添うような、そんな作品。この世界では、1時間は30分として流れるのだろう。