この世に神がいるとすれば、無力な神か冷酷な神だ
魔獣たちの棲む森の中に、孤島のように開けた国、アトゥルシカ神国。
そこでは、女神の化身のもと、魔術師たちが国の頂点に君臨していた。
時は、神国に敵対する反乱組織の、悪魔の呪いに怯える時代。
高等部に上がったメルは、勉強や武芸に励み、充実した毎日を送っていた。
しかし一時の平和も束の間、少女の足元には少しずつ影が忍び寄る。
不気味な人形、魂喰らいの花、そしてあの、悪魔の入れ墨の男――。
怒りと悲しみが、少女を長い旅へと誘う。