第3話
「…………」
家に着くと、まず『エリダヌス座』について考えた。
俺は、昔からの生活環境のせいというのもあってか『電話』というモノを使わない。
そもそも約束を取り付けるにしても、刹那や龍紀は大体学校で会っているし、最悪直接会いに行けばなんとかなっている。
兄さんに至っては『手紙』だ。
しかし、ずっとこのままでいい……とは思っていない。なぜなら、こういう『調べものをしたい時』にものっすごく困るだからだ。
「……しまった。学校で何か借りてくればよかったな」
そもそも『電話』すらおぼつかない人間が『パソコン』なんて考え付くはずもなく、調べると言ったらもっぱら『本』ぐらいしか思いつかない。
しかも『パソコン』なんて授業で使うくらいだし、家にそもそもない。その上、テレビもない。
刹那や龍紀には「今時珍しい……」の一言で済んでいるが、普通はドン引きされていてもおかしくないだろう……と、最近は思う様になっている。
「はぁ……」
明日、再度刹那に聞いてもいいとは思うけど……というより、聞く方が手っ取り早い。
ただ、俺が面倒なだけで。
「…………」
それにしても、気になるのは刹那の一言だ。
『うーん、コレが『こいぬ座』ならなんとなく分かるんだよ? でも『エリダヌス座』だからさ』
俺はその言葉を聞いた時、真っ先に『大きさ』の『大と小』やを連想した。しかし、本当は刹那が言いたかったのは『それだけ』だったのだろうか。
それにしては、刹那の次に発した言葉や心配そうな表情を見せた『理由』の説明がつかない。
「……」
もしかしたら、その『星座』の『由来』も関係してる可能性が十二分にある。
だからこそ、刹那は『この『カード』があるって事はやっぱり雨宮さんが関係あるのかな?』と心配していたのかも知れない。
「うーん『エリダヌス座』か」
とりあえず、分かっている事は『川』が関係しているという事と、その『由来』が刹那が思わず心配になってしまうほどの事だというくらいだ。
「川……か」
思い返してみれば今までの『カード』は『動物』や『人間』ばかりだった。しかし、今回は『川』である。
俺としては『自然』が『星座』になっている……という事には正直、驚きだ。
でも、それは今まで出会わなかったり本にたまたま載っていなかっただけである。つまり、俺がただ無知なだけで知らないというだけだ。
空には無数の星が瞬いており、俺の知らない星座がもっともっとある。今回の『カード』にしたってそうである。
この手元にある『カード』や空に渡しているこの『カード』は全部で四十八枚あるらしい。
それが後どれくらいかかるか……なんて、俺には全然分からない。
しかし、関わっている以上「分からない」で終わらせるわけにはいかない。たった四十八枚で「知らない」が出てくる。
今も自分なりに勉強しているつもりだが、どうやらまだまだ足りない様だ。
「はぁ……」
もちろん「知らない」や「分からない」が出てくるのは当然だ。でも、その後どうするか……それが問題で課題である。
ため息をつきつつそう思いながら、俺はゴロンと床に寝っ転がり、軽く目を閉じた――。
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