第3話
「……元気か?」
「あっ、うん」
三日……たった三日、されど三日。
人によってはこの『三日』が長かったり短かったり感じる長さは様々だろうが、今の俺にとって『三日』は……比較長く感じる。
しかし、いくらなんでも「元気か?」という言葉は……ないな……と今となっては思う。
現に空も困惑していたし、今となっては「いや、どこの父親目線の話し方だよ」なんて自分自身にツッコミが出来るほどだ。
「……」
刹那に頼まれ『スーパームーン』を撮影しに『穴場』と呼ばれる場所に行き、そこで何らかの『儀式』を行っていた空に出会った。
そんな空の姿に思わず声をかけてしまい、それが『キッカケ』で『カード』がバラ撒かれてしまった。
そして、『カード』をバラ撒いてしまった責任を取る……という形で俺は空の『カード集め』の手伝いをしている。
「……」
俺は今起きている『問題』を再度頭の中で確認した。それは、修学旅行先で偶然再会した折里実苑さんと黒見里聡さんとの会話だった。
『カードの暴走が起きているのは『第三者』が関わっている……』
そして、名前が挙がったのが俺の兄『龍ヶ崎想』だった―――。
「あの……」
「なんだ?」
「……私は、兄弟がいないので瞬さんの気持ちは正直……全くと言っていいほど分かりません」
「……だろうな」
「でも……何か悩んでいるなら……私でも、刹那さんでも龍紀さんでも話してください」
「…………」
「それが……友達だと思うので……」
「…………」
それだけ言うと空はそのまま俺とは逆の方向へと歩いていった……。
「……友達……か」
この時の俺はというと……正直、空の言葉に驚いていた。
何が空を変えたのか分からない……が、今日の刹那と龍紀……を思い出した。二人とも、何やら俺に気をかけてくれていたように感じた……。
理由は……分かっている。
『それが……友達だと思うので……』
雪の中、信号を待っている間、その言葉が俺の頭に強く響いていた……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「………………」
俺の住んでいるマンションは学校からさほど離れていないところにある。その為、今待っている信号を渡ればすぐに俺は自分の家に帰ることが出来る。
『友達』
その言葉を考えると……俺の最初の友達は……刹那になるのだろうか。
「……」
俺は小学生一年生の時、刹那に出会った。
その時の刹那は見た目と世間の目に恐怖心を抱き、引っ込み思案にだった。しかし、周囲はそんな彼を野放しにはせず、拒絶する事も出来ない彼に寄って来た。
そして、それを面白くないと思った同級生達にイジメられていた。
どうやら刹那曰くあの頃の俺はそんな事は知らず思ったことをどうやら口にしていたらしい。それのおかげで変わることが出来た……と今となっては感謝されている。
でも、あの時の俺は……。
遠足の時に俺らは『迷子』になり、しかも『悪霊』にまで追われる……なんてトラウマ必死な……無駄なオマケまで付いてきた。
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